2016年09月09日 公開
2023年05月16日 更新
マイナス金利が導入され、さらに消費税増税延期が決定した今年。"大きな買い物"である住宅はまさに「今が買いどき!」な気がする。しかし、住宅価格は右肩上がり。果たして今、本当に買ってもいいのだろうか? そこで、住まいの専門家である池本洋一氏に、最新住宅トレンドや住宅購入の際の注目ポイントをうかがった。
来年4月に予定されていた消費税10%への引き上げが延期されました。住宅購入を考えている消費者、そしてハウスメーカー側にとっても、ひとまずいいニュースと言えそうです。
なぜなら、増税前後は住宅需要が乱高下します。増税前は価格が高騰し、増税後は需要が冷え込み価格が下がるという双方にとって、売りにくい・買いにくい極端な状況となります。今回、増税が見送られたことで、住宅購入希望者は、腰を落ち着けて物件探しができ、過度の需給競争に巻き込まれる心配が少し収まったと言えそうです。
さて、最近の住宅市場の動向はどうなっているのでしょうか。ここ2年で首都圏の住宅市場は活況を呈し、全体的には物件価格は上昇しています。
その要因の1つはアベノミクス。景気対策で市場にお金が出回り、株式と不動産投資に流れています。もう1つは、建築コストの増大。鉄筋コンクリート造の建築需要が増し、資材の値上がりや人手不足からコストが上がり、それが物件価格に反映されています。
東京のマンション事情で言えば、2年前と比べ、20~25%ほど値上がりしています。23区では60平米の3LDKのマンションで6,000万円超、さらに駅前の好立地や人気の街だと1億円を余裕で超える物件も。この状況は当面続くと予測され、物件価格だけ見れば、消費者にとっては不利な状況です。
ただし、今はマイナス金利という好材料があります。住宅ローン金利が史上最低の水準にありますから、物件価格は上昇している一方、金利がぐんと下がっているので、実は毎月の返済額にさほど大きな変化は生じていないのです。
過去の5%、8%の増税では、増税分を相殺する住宅購入優遇政策が発動されてきましたが、消費税10%では予定されていません。ですから、マイナス金利が続くならば、増税前に住宅を購入するのは1つのチャンスです。
更新:11月21日 00:05