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後悔しない決断をするための「熟断思考」とは?

2016年08月26日 公開

籠屋邦夫(ディシジョンマインド代表)

いつ頃、どうなったら嬉しいかを考える

自分が直面する課題が熟断すべきものだとわかったら、具体的な思考の作業に移りましょう。熟断思考は次の三つのステップで行ないます。

第1ステップは、「タイムリミットの設定」です。「熟断」といっても、仕事である以上は必ずデッドラインが存在しますから、最初に考える期限を設定します。

第2ステップは、「課題のフレーミング」です。難しく聞こえるかもしれませんが、やるべきことはシンプルです。
まずは自分にとって、あるいは自分の組織にとって「いつ頃、どうなったら嬉しいか?」を考え、リストアップしてください。
次に、そのリストを元に「これらの『嬉しいこと』を実現するには、自分に何ができるか」という打ち手を考え、こちらもリストアップします。
二つのリストアップが終わったら、これらを見比べて、心に浮かんだことを書き出します。不安や懸念、迷いなどネガティブな要素から、自信があることや喜びを感じることなどポジティブな要素まで、徹底的に洗い出してください。

そして第3ステップが、「検討要素の抽出」です。第二ステップでラフに書き出したことを、「選択肢」「不確実要因」「価値判断尺度」の三つに分類して精査します。
「選択肢」は、「『嬉しいこと』を実現するには、自分に何ができるか」をリストアップした中に含まれます。これを具体化するため、書き出した選択肢が「自分が実際のアクションに移せるか」を確認し、あてはまらないものは捨てて整理します。
「不確実要因」は、「自分にはコントロールできない要因」のこと。先ほど書き出した不安や懸念をもとに、「その選択肢を選んだ場合、結果に大きな影響を及ぼす不確実性にはどのようなものがあり、それぞれの不確実性にはどのようなシナリオが考えられ、それぞれのシナリオはどれくらいの確率で起こるのか」を考えます。
「価値判断尺度」は、最終的に選択肢を選ぶ際の判断基準となるもので、喜びや自信を書き出したものがベースとなります。それをもとに再度、「自分にとって、これは本当に嬉しいことなのか」を考え、価値判断尺度を明確にしてください。そして、整理した選択肢と不確実性のシナリオの一つ一つを価値判断尺度と照らし合わせ、「相対的な嬉しさ」を測定します。

ここまでが「意思決定」の検討プロセスです。最後は自分の心に従って選びます。

 

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著者紹介

籠屋邦夫(こもりや・くにお)

ディシジョンマインド代表/ディシジョン・アドバイザー

1953年生まれ。78年、東京大学大学院化学工学科修了。84年、スタンフォード大学大学院エンジニアリング・エコノミック・システムズ学科修了。三菱化学を経て、マッキンゼー社東京事務所にて、エンゲージメント・マネジャー/ディレクター・オブ・リサーチとしてコンサルティングに携わる。90年より渡米、ストラテジック・ディシジョンズ・グループ(SDG )に参画。2000年に帰国し、ATカーニー社ヴァイスプレジデント。現在は、企業やビジネスマンの戦略スキルや意思決定力向上を支援するエデュサルティング(Education+Consulting )活動のほか、スタンフォード大学などで講義も行なう。

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