2016年05月28日 公開
2023年05月16日 更新
「ビジネスで成功した人にはワイン好きが多い」というイメージを持っている人は多いのではないだろうか。確かに、エグゼクティブが集う会合やパーティーにはワインが似合う。
そんな一人が、マネックス証券の創業者の一人であり、現在は資産運用のプロとして数々のメディアに登場している内藤忍氏だ。内藤氏は知る人ぞ知る「ワイン好き」であり、なんと、ワインバーまで経営するに至っている。
そんな内藤氏に、氏がプロデュースするワインバー「SHINOBY’S BAR銀座」にてお話を伺った。
飲食店経営の経験があったわけでもない内藤氏。なぜ店を始めようと考えたのだろうか。
「最初は、投資家たちが集まるセミナールームが欲しいと考えていたのです。ただ、味気ない会議室よりは、ワインを飲みながら投資も学べるというスタイルのほうが絶対に楽しい。そう思ったのがきっかけです」
内藤氏がワインに興味を持ったのは大学生の頃。「カッコ良く見られたい」という実に単純な理由だったという。
「ちょうどバブルが始まる直前で、当時流行った『見栄講座』という本に、『レストランで“ボジョレーを少し冷やして”と注文すれば、女の子にモテる』などと書かれていて、じゃあやってみようかと(笑)」
ワインの本当の魅力に気づいたのは、社会人になり、1本のワインに出合ってからだ。
「ワインバーでたまたま注文した、ブルゴーニュの赤ワインでした。『このシルクのような舌触りと香りはなんだ!?』と驚き、急にワインに興味が湧いてきたのです。ワインにハマる人は『たまたま飲んだワインがすごくおいしかった』という、偶然の出合いがきっかけになることが多いようですね」
とはいえ、銘柄にこだわってばかりいたわけではない。
「当時はマネックスを立ち上げたばかりで忙しく、ワインを飲む場といえば、もっぱら会社近くのファミレス。社長の松本(大氏)をはじめ、社内にもワイン好きが多かったので、『輸血』と称して夜中にファミレスで赤ワインを飲み、あれこれディスカッションしてまた仕事に戻る。仲間でワイワイ飲めば、ファミレスのワインも十分楽しめました」
こうした経験から、内藤氏は他のお酒にはない、ワインならではの効能をこう分析する。
「ワインを飲んでいると、なぜか気持ちが前向きになるのです。赤ちょうちんでビールや焼酎を飲みながらだと、つい会社や上司の悪口になりがちですが、ワイングラスを片手に愚痴を言う人はほとんどいません。私が経営するワインバーに来る人たちの会話も、『将来はこんな仕事がしたい』『ワンルーム投資の次は海外不動産投資にチャレンジ』といったポジティブな話題ばかりです」
ただ、ワインは「ハードルが高い」と心配する人も多いだろう。だが内藤氏は、それをあっさりと否定する。
「ワインは非常に主観的なもの。どれをおいしく感じるかは人それぞれ違って当然だし、ワインに正解も間違いもありません。細かいことにこだわるワインマニアなんてごく一部ですし、そもそも同じワインでも、輸送方法や保管状態、あるいはそのときの体調や気分によっても味わいは違います。
最近は多種類のグラスワインを提供する飲食店も多いので、さまざまなワインを少量ずつ飲み比べてみてください。そのうち『ブルゴーニュのピノ・ノワールが好き』『アルゼンチンのマルベックがおいしい』といった『自分の好み』がわかってきます。自分のスタンダードとなる『産地×ブドウ品種』が一つ見つかれば、ワインを飲むのがぐっと楽しくなります」
更新:11月22日 00:05