2016年03月18日 公開
2023年05月16日 更新
生きていくうえで誰しも必要な食事。その摂り方次第で、体調や仕事のパフォーマンスは大きく変わってくる。肥満を防ぎ、健康になれる食生活をカンタンに実行する方法を、食事管理サービス「あすけん」管理栄養士の道江美貴子氏にうかがった。
40代になると多くの人が実感する「中年太り」。中年太りは、見た目がカッコ悪いだけではありません。糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化など、あらゆる生活習慣病の根底には「肥満」が潜んでおり、生活習慣病への序章となってしまうのです。
中年太りの最大の原因は、基礎代謝の低下にあります。基礎代謝とは、呼吸や生理機能など、生きているだけで消費されるエネルギーのこと。10代後半をピークに下降し、40代では、ピーク時に比べ1日当たり100~120キロカロリーほど落ちてきます。それなのに20代の頃の食事を続けていると、単純計算で毎月約0.5キロずつ脂肪が溜まり、1年で約6キロも増加することになります。
そこで、健康的な身体を維持するためには、運動をして筋肉を増やし基礎代謝を上げるか、食生活を見直して摂取カロリーを減らすなどの対策が必要です。落ちてくる基礎代謝の100~120キロカロリーは、食事ではお茶碗半分くらいのごはんの量に相当します。運動はちょっと……という方は、日々の食事を少し変えてみませんか。それだけで、疲れない身体を手に入れ、日々の仕事のパフォーマンスも格段に向上するはずです。
健康的な身体を維持するために大切なことは、まず「太らない食べ方ルール」を習得することです。それには、食べる量を減らすよりも、「食べ方を変える」ことに重点を置くこと。そのための大原則は次の3つです。
❶タイミングを変える
同じラーメンを食べるのでも、夜中と昼では脂肪のつき方が違います。22時~深夜2時の間は、脂肪細胞中のBMAL1(ビーマルワン)という脂肪を溜め込むたんぱく質が増えるため、日中の20倍も脂肪がつきやすくなります。カロリーが高いものは日中に食べるようにしましょう。
また、食事はまず野菜から食べること。最初に低カロリーの野菜でお腹を満たすことで、ご飯やお肉の食べすぎを防ぎ、また、野菜に含まれる食物繊維が脂肪の吸収を抑えてくれます。このように、食べる量やカロリーは同じでも、タイミング次第で、太りにくい食べ方に変わるのです。
❷食べるものを少し「ズラす」
食べるものを少しだけ「ズラす」と大きな変化を得られることがあります。たとえば、とんかつならロースよりヒレ、ラーメンならトンコツではなく塩や醤油味、丼物なら、油をたっぷり吸った天丼より、親子丼や牛丼など。同じ料理でも素材や調理法に着目して料理を選ぶのがお勧めです。また、単品で頼むよりも、定食やセットにして品目を増やすことが、バランスの良い食事の基本となります。
❸1週間単位で考える
たとえば、1日の摂取カロリーを決めてしまうと、急な飲み会が入ったときに行きたいのに行けない、もしくは行ったことに罪悪感を覚えるなど、ストレスを溜めてしまうことも。
男性はとくにストイックになりがちなので、1日単位ではなく、1週間単位で考えるといいでしょう。食べすぎたと思ったら次の日に調整すればOK。もっと気楽にやりましょう。
メタボ気味のビジネスマンの栄養相談を受けると、圧倒的に多いのが、食に興味がない人。「お腹が満たされればいい!」というスタンスで、ラーメン、焼肉、炭酸飲料など、そのとき食べたいものを食べ、そして健康診断で危険数値が出て、ようやく目覚めるタイプです。
このタイプの場合、自分の食生活を把握することが、見直しのスタート地点になります。まずは、毎日何を食べているのか記録して食事を把握し、次に必要なカロリーについて考えていきましょう。
最近では、食事記録に便利なアプリも増えています。私どもが開発した食事管理アプリ「あすけん」は、食事内容を記録するだけで自動的にカロリー計算が可能。さらに年齢や身長・体重に応じた食事量がわかり、食事内容に関する栄養士のアドバイスも受けることができます。
さらに、毎日体重計に乗るのもお勧めです。自分の体重を数値として可視化すると、体重の増減に応じて、食生活を自然と見直すようになるからです。
このように、食べている物や自分の身体を可視化することが、健康な身体への第一歩です。そして、仕事の管理をするように、食生活をマネジメントし、自分の体調もコントロールする――それが40代からも元気に活躍し続ける人の条件なのです。
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更新:11月24日 00:05