2016年07月26日 公開
2023年05月16日 更新
さまざまなメディアで健康や食習慣について取り上げられるうえに、口コミでも多くの情報が飛び交う昨今。ダイエットや病気予防について「この食材が良い!」と言われると、その食材が売り切れてしまうほどだ。でも、そのウワサ、本当に正しいのだろうか? ここではそんな、食習慣に関する巷のウワサについて、本当のところはどうなのか、テレビ番組や著書で人気の医師・秋津壽男氏に、一問一答形式でうかがった。《取材・構成=塚田有香》
→○本当。ただし、大半の人は正確な計算ができない
正確にカロリー計算をして、それをきちんと守れば、たしかに太ることはない。問題は、大半の人が計算通りに食事を調整できないこと。たとえば、一般的に「とんかつ定食=820kcal」となっていたとしても、店によってとんかつの大きさやご飯の量は異なるし、キャベツや味噌汁、ごはんをお代わりする人もいる。よってカロリー計算をしても、実際の摂取量とは2割や3割の誤差が簡単に発生しまうのだ。
「食事をコントロールするなら、カロリー計算に頼らず、『毎朝体重を測る』というシンプルな方法がおすすめ。前日と体重が同じ、あるいは前日より減っていればOK、体重が増えていればその日の食事は腹八分目にする。それだけで適正な体重を維持できます」(秋津氏)
→×ウソ。あくまでも補助的なものと考えるべき
野菜ジュースやサプリメントから栄養を摂れるのはウソではない。ただし、「食事で十分な野菜を摂れない人が、不足分を補うために飲むもの」と理解するのが正しい。よって、昼食に牛丼を食べた人が野菜ジュースを飲むのは間違っていないが、野菜たっぷりのサラダを食べた人が、あえて野菜ジュースを飲む必要はない。
「市販の野菜ジュースは飲みやすいように糖類を加えているので、カロリーの摂り過ぎにも注意が必要。また、冷たいジュースは胃腸を冷やし、免疫力の低下につながるので、飲むなら常温をおすすめします」(秋津氏)
またサプリメントには、大量摂取すると副作用が出るものも。「栄養は食事から摂る」を基本とし、サプリメントを過信しないように。
→×ウソ。肉の種類ではなく、部位によってカロリーが異なる
「鶏肉は低カロリーでヘルシー」というイメージがあるが、それが当てはまるのはササミくらい。皮付きの胸肉やもも肉はそれなりにカロリーが高い。一方、カロリーが高いと思われている牛肉も、脂肪が少ない赤身の部分や仔牛肉ならカロリーは低い。よってカロリーが気になるなら、肉の種類ではなく部位に着目し、鶏皮や霜降り牛肉といった飽和脂肪酸を多く含む部位を避ければよい。
「部位を選べばどの肉でもカロリーは同じなので、栄養面から考えれば、牛・鶏・豚をローテーションで食べるのが一番。牛肉には良質のアミノ酸、鶏肉にはビタミンK、豚肉にはビタミンB1など、それぞれに良い栄養素を含んでいるので、万遍なく食べることを勧めます」(秋津氏)
→○本当。ただし塩分の摂り過ぎには注意。
和食の健康面での優位性は、いまや世界にも認められている。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのも、「健康的な食生活を支えるための栄養バランスに優れている」と評価されたからだ。ここで言う「和食」とは、昔ながらの「一汁三菜」を基本とした食事。イメージするなら「サザエさんの食卓」であり、和食といっても天ぷらや刺身ばかり食べるような食生活が健康的なわけではないことを理解しよう。また、酢の物や海草類を摂れるのも和食のメリット。酢のクエン酸や海藻に含まれるヨードやミネラルは非常に健康効果が高い。
「ただし、塩分が多いのが和食の唯一の欠点。減塩タイプの調味料を使うなどして塩分を減らせば、和食はこれ以上ない健康食になります」(秋津氏)
→×ウソ。果糖は太りやすい!
果物に含まれる果糖(フルクトース)は、実は太りやすい。果糖は身体に吸収されやすく、そのまま肝臓に運ばれるので中性脂肪に変わりやすいからだ。しかも今の果物は甘みを強くするため、昔に比べて糖度が高くなっている。とはいえ、もちろん果物にも良い効果がある。果実に含まれるビタミンやミネラル、色素に含まれるカロチンやリコピンなどは、人間にとって欠かせない栄養素だ。よって、果物は摂ったほうがいいが、食べる量にはくれぐれも注意したい。
「適量の目安は『旅館の食事で最後に出てくるくらいの量』。いちごや巨峰なら3粒から5粒、りんごなら4分の1から半分程度。食後に食べるなら、これくらいの量で十分です」(秋津氏)
更新:12月02日 00:05