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なぜ大手企業は「副業」を解禁するのか?

2016年04月01日 公開
2017年10月13日 更新

金子欽致(起業コンサルタント)

プロが独立開業より「サイドビジネス」を勧める理由

近年、「副業解禁」のニュースが世の中をにぎわせている。ベンチャーはもちろん、大手企業も続々と副業を解禁。これを受け「今こそ、独立起業よりも副業を考えるべき」と説くのは、起業コンサルタントの金子欽致氏。なぜ今、企業はこぞって副業を解禁するのか、そして個人が副業を考えるべき理由とは何か。ご寄稿いただいた。

 

10人に4人が副業を考え、1人は実際にやっている!?

今年、大手企業はベアを実施し、所得も上向いていると言われます。しかし、景気回復を実際に肌で感じている人は、いったいどれくらいいるのでしょうか?

国税庁によれば2014年の平均年収は414万円。派遣社員、契約社員など非正規雇用となれば、これよりさらに少ない金額となります。一方で平均寿命は延び、男性も80歳まで生きる時代となりました。65歳で定年退職するとして、その後15年間生活するための老後の蓄えが必要となります。1カ月の生活費を20万円とすると1年で240万円、15年では3600万円にも上ります。昨年ベストセラーとなった『下流老人』の著者・藤田孝典氏は、「高齢者の9割は貧困化する」と、これからの老後不安に警鐘を鳴らし話題となりました。

最近、副業を始める人が増えているのも、まさにこうした背景があってこそでしょう。シンクタンクのMDD研究所が2015年にビジネスパーソン7724人に調査をしたところ、「14%が副業をしている」という結果になったそうです。また『月刊SPA!』の調査によると、「副業はしたことはないが興味がある」と答えた人は43%に上るといいます。世の中が下流化するなかで、副業人口は今後ますます増えていくことが予想されます。

 

大手企業が副業を認める本当の理由とは?

とはいえ現在のところ、副業を禁止している会社のほうが圧倒的に多いのが現実です。ただ、ここ数年で副業NGが当たり前の風潮に変化が起こり始めています。最近も、ロート製薬が4月から副業を容認すると公表し話題となりました。あまり知られていませんが、日産、富士通、花王など、大手企業にも以前から副業を認めている会社は少なくありません。

では、なぜこれらの大手企業は副業をOKとしているのか。その理由はシンプル。「優秀な人材を確保する」というのが最も大きいのです。

優秀な人材であればあるほど、各種プロジェクトからの誘いや会社を通さない形で直接仕事を依頼されるケースもまた多くなりますが、副業規定の制限があると当然、彼らも動きにくくなります。その結果、「副業がNGなら会社を辞めようかな」と、より魅力的で自由度の高い会社に引き抜かれてしまうということが起こります。

これは企業にとって大きな痛手であり、リスクです。ならば、「優秀な人材を組織に留めておくために、副業を容認しよう」ということになるのです。

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著者紹介

金子欽致(かねこ・よしとも)

株式会社ATLUCK代表取締役。

集客プロデューサー、起業コンサルタント。(株)ATLUCK代表取締役。
埼玉県生まれ。慶應義塾大学卒業後、人材開発コンサル会社に入社。上場企業の組織開発と研修講師に従事。会社員時代にうつを発症し苦悩の時期を過ごすが、一念発起しマーケティングとコピーライティングを独自に研究し、独立。売り込みが苦手な人でもできる「マグネット集客法」をSNSで公開し、ネット上で反響を呼ぶ。独立起業を指導した人数は1000名以上。人に役立ち感謝されながら月収100万円を越える「個人ブランド型起業家」が次々誕生。無料で公開する人気の教材「マグネット集客メール講座」のダウンロード件数は2万を突破している。週1回は映画館に通うほどの映画ファン。

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