2016年04月08日 公開
2023年05月16日 更新
本日(4月9日)発売の『THE21』5月号では、「できる人の雑談術」を特集している。営業マンにとって、雑談の目的は顧客との関係構築である。そう断言するのは、営業目標の絶対達成を支援するコンサルタントの横山信弘氏。話題選びから話の展開のさせ方、本題へのつなぎ方まで、「成果に結びつく雑談」の秘訣をうかがった。
コンサルタントとして顧客企業の目標達成をサポートする横山信弘氏は、その経験を通して、「営業マンが成績を上げるためには雑談のスキルが欠かせない」とつねづね感じているという。横山氏は、ビジネスにおけるコミュニケーションの中で、「雑談」をどのように位置づけているのだろうか。
「コミュニケーションには『論理コミュニケーション』と『表面コミュニケーション』の2種類があります。営業においては、前者が本題、後者が雑談です。
論理コミュニケーションでは、相手と話の歯車を噛み合わせなければなりません。一方、表面コミュニケーションは、その歯車に潤滑油を差すためのもの。まったく別物ですから、明確に切り分けなければなりません。つまり、商談をしているのか、雑談をしているのか、よくわからない話をしてはいけないのです」
そのうえで、横山氏は雑談のポイントを2つ挙げる。
「1つは、定期的に行なうこと。定期的に油を差さないと歯車は回りません。
もう1つは、『雑談8割、本題2割』という割合です。これは、1回の面会での時間配分についてだけではありません。雑談のための訪問と用件を持って赴く訪問との回数も8:2の割合にすべきなのです。
用件がないときは、『ちょっと近くまで来たので』と、受付辺りで立ち話をするだけで十分です」
一見、ムダに思えるかもしれないが、これこそが顧客との関係構築のために欠かせないプロセスだ。
「関係構築ができていないまま提案をすると、どんなに内容が優れていても、相手の反応は鈍い。良い返事がもらえない営業マンは『商品が悪いのか?』『説明に説得力がないのか?』などと悩みますが、実は、そもそも関係構築ができていないことが原因であるケースが非常に多いのです。訪問回数を増やして関係構築をすることにこそ、多くの労力を割くべきです」
用件を持たずに訪問して、いったいどんな雑談をすればいいのだろうか。話題選びの基本は、「最初は大きく、徐々に小さく」。つまり、誰とでも話せる話題から始めて、徐々に相手の会社や担当者の具体的な話題に移行することだと横山氏は言う。
「互いに良く知りあっていないうちは、天気について雑談するのが典型的なパターンです。『暖かくなりましたね』『雨が続きますね』などの無難な話にも、実は、重要な意味があります。それは、相手に『YES』を何度も言わせること。このことが、良好な関係作りの第一歩なのです。
天気の次は、時事的な話題を選ぶのが定番。毎朝、新聞に目を通して、話ができそうな話題を見つけておきましょう。
ここでのポイントは、意見ではなく事実を話すこと。『米国の大統領選が盛り上がっていますね』は事実ですが、『トランプ氏が大統領になったら大変ですね』は意見です。相手が『YES』と言うとは限りません。相手に『YES』と言ってもらうには、否定しようのない事実を話すことが大切です」
時事的な話題は、相手の会社の話題へと移行する布石としても使える。
「たとえば、『就活の季節になりましたね』から『今年は御社も新卒採用をされるのですか?』と話を持っていけます。
相手について話題にするときは、相手に関心を持っていることを明確に伝えましょう。『4月からホームページのデザインが変わりましたね』などと変化を指摘すると、相手は『うちのことを見てくれているのだな』と嬉しく感じます」
更新:11月23日 00:05