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テレアポで信頼を勝ち取る「15秒間」の話し方

2015年12月12日 公開
2022年06月14日 更新

吉野真由美(プレゼン話し方研究所代表取締役社長)

第一印象は会う前の電話でも左右される!

電話では、メールや手紙と違いリアルタイムでの対応を求められる。要領を得ない電話をかければたちまち相手に「会いたくない」と思われてしまうリスクがある。たとえば営業電話(テレアポ)などが代表的だ。営業やテレアポのコンサルタントである吉野真由美氏に、電話での第一印象を良くする方法について教えてもらおう。<取材・構成=前田はるみ>

 

「どうでもいい電話」と思われないための15秒

 

電話での第一印象は、最初の15秒で決まります。会ったことのない相手から電話がかかってきて、15秒以上も話を聞いてもらうことはほぼ不可能ですから、最初の15秒で、「すごい会社の、重要な人物から、自社にメリットのある電話がかかってきた」と感じてもらうことが大切です。
 

ところが、実際は、この逆をやって失敗している例が九割以上だと思われます。会社名と名前を名乗り、取り次いで欲しい相手の名前を伝えるだけでは、「訳のわからない会社から、どうでもいい電話がかかってきた」という印象が残るだけです。特にカタカナ社名の場合は、ほとんど聞き取れません。

では、好印象を残すためにはどうすればいいのでしょうか。まずは、何をどのような言葉で話すのかという、「トーク」について考えてみます。
「すごい会社」と思われるために効果的なのが、「自社をブランド化して名乗る」ことです。たとえば、「私どもは○○株式会社と申しまして、○○分野での人材派遣では日本でナンバーワンの会社です」。
このように名乗れば、相手は「世の中で支持を得ている会社なんだな。すごい会社から電話がかかってきた」と興味をそそられるでしょう。

必ずしも「日本でナンバーワン」でなくても構いません。「日本で三本の指に入る会社です」といった表現でもいいのです。根拠に基づく表現であれば、自社のすごさをきちんと言葉にして伝えるべきです。実際、このように名乗った場合、相手企業の重要な人物に取り次がれ、アポが成立し、仕事につながったという事例が多数あります。

自分の名前を名乗るときは、フルネームで伝えるのが基本です。そうすることで、「正々堂々とした人」という印象につながります。

相手にとってメリットのある電話であることを伝えるためには、数字を盛り込んで具体的に伝えるようにします。たとえば「携帯電話を活用した経費削減に関する情報のご提供でお電話いたしました。一例を挙げますと、◯台の携帯電話をご活用の会社で、年間約20万円の経費削減につながった事例もございます」。
具体的な数字を入れることで、「うちはどれくらい削減できるだろう」と相手の好奇心を刺激することができるのです。
以上のことを、相手に用件をたずねられてから答えると後手にまわってしまいます。自分から先に伝えることが肝心です。

 

「2~3分よろしいですか」はNG!

電話をかけるときに避けたいのは、「話が長い人」と思われてしまうことです。「実際に会ったら、もっと話が長いだろうな」と警戒されて、会ってもらえない可能性が高くなります。
また、話が長いということは、「論理的思考ができない人」、もっと言えば「知性が低い人」という印象を与えかねません。

「話が長い」と思われる人の話し方には、共通点があります。
一つの文が長く、また「~ですけれども」「~なんですが」といった否定的な接続詞でつながっていることです。
「私、○○会社の○○と申しますが、このたび○○様にご面談のお約束をいただきたいのですが、○○様もお忙しいとは存じますが、……」。
実際にこのようなトークをたくさん耳にします。

話が長いと思われないためには、一つずつの文章を短くすることを意識しましょう。「今回は○○の件でぜひお時間をいただきたく思っております。なぜなら、~だからです」。理由を述べる場合は、文章を分けると効果的です。一文を短くすることで、「簡潔に話のできる人」、すなわち「仕事のできる人」という印象を与えることができます。

電話の冒頭で使いがちな、「2~3分お時間よろしいですか?」という表現も、「話が長くなるのではないか」と相手を警戒させるため、避けるのが賢明です。私が既存のお客様に対してこの表現を使う場合でも、「また改めて」と言われるケースがほとんどで、電話が後日に延びてしまうことがわかっています。「少し」という表現も同様です。

これを、「1分ほどお時間よろしいですか」に変えると、話を聞いてもらえる確率が高まります。「1分で済むのなら、この瞬間に話を聞いてしまおう」と考える人が多いのでしょう。
冒頭でも述べたように、15秒あれば、「すごい会社の重要な人物からかかってきた、自社にメリットのある電話」という印象を与えられるので、1分でも十分なはずです。

もし、1分を超えてもまだ会話が続くようなら、「もう少しお話ししても大丈夫ですか」とその時に聞けばいいのです。
その時点では、相手もあなたの話に興味をそそられているでしょうから、大抵はそのまま話し続けることができます。電話で1分話すことができたら、相手はあなたに良い印象を持っていると考えていいでしょう。

 

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著者紹介

吉野真由美(よしの・まゆみ)

プレゼン話し方研究所株式会社 代表取締役社長

同志社大学経済学部卒業後、生命保険、コンピューターの販売を経て、1994年、世界最大手の幼児英語教材会社に入社。トップセールスののちに最年少で役員に。2005年、日本プロスピーカー協会主催のプロスピーカー試験に、過去最高得点で合格。(2005年10月時点)。05年に同社退社後、企業研修と営業コンサルティングのプレゼン話し方研究所を設立。「営業のカリスマ」と言われ、営業研修や講演が大人気。テレアポ、営業などに関する著書多数。

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