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多忙なコンサルタントの「スターの時間」活用法

2016年01月11日 公開
2022年11月14日 更新

小宮一慶(経営コンサルタント)

 

小宮一慶

 

2、3分のロスを生む小さなムダもつぶす

小宮氏が心がけているのは、「スターの時間」に行なう仕事の下準備を、前もって済ませておくことだ。

「たとえば、自社のメールマガジンの原稿は、いつも約20分で書き上げるのですが、それだけ短時間で書けるのは、事前に原稿の論理構成を考えているから。大まかな内容を考えるぐらいなら、『スターの時間』を使わなくてもできます。
他にも、眠くてもできるような仕事はたくさんあるはず。それを『スターの時間』に行なうのは大きな損失です。事前にしておくべきことは、手帳でスケジュールとは別にTODOを書き出して、スキマ時間で終わらせています」

また、小さなムダを減らす工夫もしている。

「すぐに執筆にとりかかれるように、パソコンの電源は消さないで、スリープ状態にしておき、その日に書く原稿のファイルを立ち上げておきます。たかだか2~3分のロスかもしれませんが、ちりも積もればバカになりません。
また、オフィスのパソコンのモニターは二つにしています。片方の画面で統計データなどを見ながら、片方の画面で原稿を書くと、効率良く執筆できます」

「スターの時間」を活用する上で、意外と見落としがちなポイントは、「夜ふかしをしないこと」だ。

「22時半には寝たいので、会食があっても一次会しか行かず、8時過ぎには切り上げてもらうようにしています。遅くまで飲んでいたら、朝、頭が働くはずがありません。
また、肩や腰などが痛くなくても、定期的に鍼治療に通っています。痛くなってからでは遅い。仕事のクオリティを常に一定に保つためには、こうした体調管理も重要だと考えています」

 

できない予定を入れてストレスをためない

 

予定を立てても、計画通りに進まず、後で苦しむ、ということは、誰でも経験があるだろう。しかし、小宮氏はそういう事態に陥ることがほぼないそうだ。

「計画通りに進まないのは、おそらく、自分の実力を過大評価して、スケジュールを組んでいるからだと思います。私は、どの仕事がどれぐらいの時間がかかるか、正確に把握しています。
たとえば、メールマガジンの原稿を書く時間は、推敲も含めて20分必要なので、必ず20分は時間をみます。新幹線のなかで書くことが多いので、東京から新横浜あたりまでに終わらせると決めています」

さらに、少し手間取ったときのために、バッファーの時間をとっているという。

「メールマガジンの原稿なら、一応、あと10~20分ほど余裕を見ています。こうすれば精神的に余裕ができ、変に焦らずに済む。計画通りに進まず苦しむことも減るでしょう」

計画通りに終わらせるには、一緒に働くスタッフの協力も欠かせない。小宮氏が心がけているのは、何かお願いごとがあれば、できるだけ早いタイミングで依頼することだ。

「たとえば、原稿執筆に必要な資料探しをスタッフにお願いするときには、何日か前に頼みます。直前に頼むと、スタッフも困ってしまうし、焦ってミスも生まれる。
こちらも、予定していた時間に必要な資料がなければ、原稿が書けず、時間のムダです。仕事が速い人は、例外なく、周囲のスタッフの時間の使い方も意識していますよ」

分刻みのスケジュールをこなす小宮氏だが、一日中ギッシリ仕事をしているわけではない。夜は執筆活動をしないし、国内線の飛行機のなかでは、原則、仕事をしない。

「夜に仕事をしてもはかどりませんからね。また、飛行機は、離着陸時にはネットが使えませんし、飲み物も出てきますから、集中できる時間は意外と少ない。仕事の予定を入れても、どうせできませんから、無用なストレスをためるだけです。だから、割り切って落語や音楽を聞いています。
リラックスする時間も持ったほうが、集中すべきときに集中できるのではないでしょうか」

 


小宮氏の使っている手帳は、自身がプロデュースした『小宮一慶のビジネスマン手帳』(ディスカヴァー)。1日の流れが見やすいバーチカル式で、月間目標や日々の気づきを書き込む欄も確保。

 

≪『THE21』2016年1月号≫

著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年、大阪府生まれ。1981年、京都大学法学部を卒業後、東京銀行に入行。1986年、米国ダートマス大学経営大学院でMBAを取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務や国際コンサルティングを手がける。1993年には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1996年、〔株〕小宮コンサルタンツを設立。『小宮一慶の1分で読む!「 日経新聞」最大活用術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

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