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今、知っておきたい憲法の論点~伊藤真(弁護士)&内山奈月(AKB48)

2015年12月20日 公開
2023年01月05日 更新

『THE21』編集部

「新しい人権」と今後の憲法のあり方

内山 私が注目しているのは、まだ憲法には盛り込まれていませんが、「新しい人権」についてです。最近、マイナンバー制度が始まって、情報漏洩が問題になったりしていますよね。だから、たとえばプライバシーの権利を憲法に盛り込んだらいいんじゃないかなって。

伊藤 なるほど。プライバシー権などの「新しい人権」は、今は13条の幸福追求権の解釈によって認められるとは言われていますが、もっとはっきり、誰が読んでもわかるように書き込むというのは一つの考え方ですね。

内山 それと、伊藤先生の『憲法問題』を読ませていただいたのですが、すごく興味深かったです。この中で先生が書いていらっしゃったのが、今の憲法は人間中心の憲法で、他の生物との共存という視点がないって。そういう考え方もあるんだなって、すごくおもしろいと思いました。
地球環境がこれだけ問題になっているので、環境についての規定があってもいいなと思います。

伊藤 そうですね。ただ、人権というのは、ある人の人権と、別の人の人権がぶつかることがあります。

内山 マスコミの表現の自由と、記事を書かれたり写真を撮られたりする人のプライバシー権、などでしょうか。

伊藤 そうです。あるいは、環境権という人権は確かに素晴らしいんだけれども、「環境権を侵すような経済活動はダメですよ」と、やはり人権のひとつである経済的自由権を制限する根拠として環境権が使われるということもある。
新しい権利が認められるということは、他の人たちの何らかの権利を制約する、その根拠を新たにつくりだすということにもなる。メリット・デメリットを考えながら、みんなで議論してみることが大切です。

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著者紹介

伊藤真(いとう・まこと)

弁護士/伊藤塾塾長/日弁連憲法問題対策本部副本部長

1958年、東京都生まれ。81年、東京大学法学部在学中に司法試験に合格。82年、大学卒業後、司法修習を経て弁護士登録。95年、「伊藤真の司法試験塾(現 伊藤塾)」を設立。2009年、「一人一票実現国民会議」の発起人となり活動している。日本国憲法の理念を伝える伝道師として、講演・執筆活動を精力的に行なう。著書は多数あり、中でも『伊藤真 試験対策講座』シリーズ(弘文堂)は、法律を勉強する多くの人に広く読まれている。

内山奈月(うちやま・なつき)

アイドル

1995年、神奈川県生まれ。人気アイドルグループAKB48のメンバー。愛称なっきー。2012年5月、AKB48第14期研究生オーディションに合格。13年6月日本武道館における研究生コンサートで日本国憲法を暗唱して話題となる。同年8月に昇格しAKB48Team4に所属。14年4月にAKB48TeamBに異動。慶應義塾大学経済学部に入学。同年6月後の第6回AKB48選抜総選挙で63位に入り初のランクイン。15年6月の第7階総選挙では39位。

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