2015年12月20日 公開
2023年01月05日 更新
内山 私が注目しているのは、まだ憲法には盛り込まれていませんが、「新しい人権」についてです。最近、マイナンバー制度が始まって、情報漏洩が問題になったりしていますよね。だから、たとえばプライバシーの権利を憲法に盛り込んだらいいんじゃないかなって。
伊藤 なるほど。プライバシー権などの「新しい人権」は、今は13条の幸福追求権の解釈によって認められるとは言われていますが、もっとはっきり、誰が読んでもわかるように書き込むというのは一つの考え方ですね。
内山 それと、伊藤先生の『憲法問題』を読ませていただいたのですが、すごく興味深かったです。この中で先生が書いていらっしゃったのが、今の憲法は人間中心の憲法で、他の生物との共存という視点がないって。そういう考え方もあるんだなって、すごくおもしろいと思いました。
地球環境がこれだけ問題になっているので、環境についての規定があってもいいなと思います。
伊藤 そうですね。ただ、人権というのは、ある人の人権と、別の人の人権がぶつかることがあります。
内山 マスコミの表現の自由と、記事を書かれたり写真を撮られたりする人のプライバシー権、などでしょうか。
伊藤 そうです。あるいは、環境権という人権は確かに素晴らしいんだけれども、「環境権を侵すような経済活動はダメですよ」と、やはり人権のひとつである経済的自由権を制限する根拠として環境権が使われるということもある。
新しい権利が認められるということは、他の人たちの何らかの権利を制約する、その根拠を新たにつくりだすということにもなる。メリット・デメリットを考えながら、みんなで議論してみることが大切です。
更新:11月22日 00:05