2015年11月23日 公開
2023年05月16日 更新
どんな組織でも「イノベーター」が必要、というのはよく言われることだ。だが、実際はどうやったらイノベーションを起こす人材になれるのか、その答えを持つ人は少ない。リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブプランナーとしてイノベーション人材の可視化に取り組み、『なぜエリート社員がリーダーになると、イノベーションは失敗するのか』などの著書もある井上功氏に、その条件をうかがった。
イノベーションは、パーソナルな感覚や想いから始まります。「何かおかしい」「これは変だ」「なんとかしなければ」「そもそも私はこの問題を解決したくて入社したんだ」……。このような個人的な想いや問題意識が発端となり、解決策を考えて、考え抜いて、磨いて昇華して、新しい価値の創出につながっています。
10年位前にこの世の中になくて、今ごく普通にあるもの。スマホ、東京スカイツリー、水素自動車、i-pad、クマモン、北陸新幹線……、これらはイノベーターの想いが生み出したイノベーションのほんの一例です。
企業の機能が、顧客・市場を創ること(マーケティング)と、新しい価値を創ること(イノベーション)である限り、イノベーションはどの時代にも必要とされます。外的環境の変化が急激に起きている現代や未来には、なおさら求められることです。
では、イノベーションとはいったい何でしょうか? それは、「経済成果をもたらす革新」です。社会の役に立つ新しいことであり、かつ経済成果を伴うものがイノベーションです。非連続なものや連続的・カイゼン的なものもあります。天才的な発明からおきるコトもあれば、日常の小さな工夫も経済成果をもたらします。変化を創りだすことでもあります。では、イノベーションをおこすために、私たちは何をすべきでしょうか?
イノベーションは、イノベーターである「ヨソ者」「バカ者」「若者」がおこします。彼・彼女らは異端児でこそあれ、エリート社員ではありません。
「ヨソ者」は組織人から対極の存在です。組織人は、自らが置かれている立場・役割・日常業務・目標等から抜け出すことは難しいでしょう。一方、「ヨソ者」は大胆かつ無責任になれます。既存事業や既得権益から一定の距離を置くことができるのです。
「バカ者」とは、何かに熱中する人、不器用な人のイメージです。ひとつのテーマや技術に没入するあまり、修行僧のような雰囲気を醸しだす人です。組織の中ではその所作が際立ち、変に浮いている人が「バカ者」です。
「若者」は、事業を推進するための様々な基準やシステム、暗黙のルール等に染まっていない人、勤務経験日数が少ない人です。経験を積んでいない分だけ、斬新なものの見方・考え方ができます。
「ヨソ者」「バカ者」「若者」のように働く。それは、所属する組織での作法や常識に拘泥されず、自ら変化を創りだしていくことともいえます。
更新:11月22日 00:05