2015年05月29日 公開
2023年05月16日 更新
「メモ」が大事なことはわかっているが、なかなか習慣化できない……という人は多いはず。「メモを習慣化するには、その重要性を知ることが大事」と言うのは、「メモの達人」として知られるビジネスプランナーの坂戸健司氏。そのノウハウを教わった。
(イラスト:勝山英幸)
今でこそメモ術を教えている私ですが、実は20代の頃にはまったくメモを取らない人間でした。自分の記憶力を過信していたところもあります。ただ、徐々に仕事が増えてくるとやがて追いつかなくなり、約束をすっかり失念してしまったことも。この失敗以来、メモ帳を肌身離さず身につけています。
このことからもわかるように、メモの一番の効用は「忘れないこと」。どんなに注意しても、人間は忘れる動物です。ただ、メモにはそれ以外にも数多くの効用があります。以下、その7つのポイントをご紹介したいと思います。
メモの基本は、相手の言うことを一字一句書き留めるのではなく、「キーワードだけを書き出す」こと。つまりメモとは、相手の話のポイントを要約してつかむ作業でもあるのです。
これを繰り返すことで、相手の言いたいことや思っていることを見抜く「察知力」が手に入ります。
メモは自分に対する指示書。一日の初めや前日の夜にTODOリストを作ることで、「自分は何をやるべきか」を客観的に把握できます。
また、若いうちは、上司からの指示を逐一メモすることも重要。こうして書き出すことは頭の整理に役立つのはもちろん、「この仕事の意味は何か」を深く考えることにつながります。その考える習慣が、仕事における思考力を高めるのです。
わからないことをスルーする人と、メモしてあとでちゃんと調べ直す人とでは、頭の性能は大きく違ってきます。知らないこと、わからない単語などが出てきたら必ずメモして、あとで確認する習慣をつけましょう。
どんな話にもすぐに対応し、ぱっと返事ができる「反射神経がいい人」。実はこれ、頭の働きよりも「情報量」が重要です。
私の知人に、十年前の会話内容もすぐに思い出せる人がいます。秘訣を聞くと、「会ったすぐあとに、話した内容をメモする」、そして「再び会う前に、そのメモを読み返す」ということでした。その積み重ねが「打てば響く人」という評価につながるのです。
取ったメモは、必ずあとで見返すこと。そして、そこに自分のコメントを入れたり、重要な個所に線を引いたりすることで、その情報は「自分のもの」「自分の言葉」になっていくのです。
気分がモヤモヤしているときは、その思いを率直にメモに吐き出しましょう。「課長のバカ野郎」でもなんでもOK。あるいはパニックに陥っているとき、自分を苦しめている問題を書き出してみる。すると、自分の感情や問題を客観視でき、「なんだ、こんなことか」と、一気に気分が楽になるはずです。
私は自分の手帳に、自分の好きな言葉を書き込んでいます。それを見返すたびに気分が高揚するのです。
ここに挙げた能力はどれも、あらゆるビジネスに必要なものばかり。メモを習慣化することは、仕事能力を高めることに直結することが、おわかりいただけると思います。
以下、具体的なメモの技術をご紹介します。
更新:11月22日 00:05