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ノートとの連動で、タスクも思考も一元管理する「手帳術」

2015年11月09日 公開
2023年05月16日 更新

舘神龍彦(手帳評論家)

 

アイデア用の手帳にはクラウドも活用

 さらに私は、手帳とノートに加え、システム手帳用のバインダーに切り取り式のリフィルを挟んだ「第3の手帳」も持ち歩いています。手帳と連動させるノートは現在動いている仕事に関連する情報を整理するのに使いますが、この第3の手帳には今の仕事とは関係のないことをなんでも自由に書き込みます。日々の生活で発見したことや気づいたことを、思いついたときに書き留めておくのです。

 このノートは「アイデア」「発見」「課題」などの文字をゴシック体で印刷した項目にページを分け、付箋でタグをつけています。これを時々見返すだけでもいいのですが、私はページをスキャンし、エバーノートにアップしています。情報が大量にストックされても、エバーノートならゴシック体が文字認識されて検索対象になります。日々のタスクと直接結びつかない情報は、検索性に優れたデジタルツールと連動させると、あとで必要になったときに取り出しやすいので便利です。

 

予定だけでなく「やったこと」も記録する

 手帳は予定管理に使うだけでなく、「やったこと」を記録するログとしても活用できます。行動を振り返ることで、どの作業にどれだけの時間や労力を費やしたかというコストが算定できるからです。ログには成功も失敗もすべて記録されるので、振り返れば改善策も見えてくるし、未来の行動に活かすことができる。たとえば、プロジェクトが成功したとき、手帳を見返せば、どんなアイデアが決定打になったのか、キーマンがどこを見ていたかが確認できます。

 私の場合は、手帳のスケジュール欄の横にあるメモ欄に、毎日の作業ログを残しています。その日やるべきタスクは前日までに書き出しておきますが、その際にざっくりとした優先順位をつけ、番号をつけます。そして、作業が終わったら、メモ欄に、対応する番号と実際にやった作業の内容を書く。タスクが「1.企画書を仕上げる」だったら、メモ欄には「1.エバーノートを整理し、ワードで清書」などと書くわけです。さらに、作業が終わった時間も記録します。それが夜遅い時間だったら、「もっと効率的にしなくては」といった反省や改善につながります。1日1ページタイプの手帳なら、このように各種の情報をページの中に凝縮できます。

 手帳を有効活用するには、「なんのために使うのか」という目的を明確にすることが重要です。私のように「スケジュール管理用」「プロジェクトベースの情報整理用」「メモ用」などと役割を決め、「いつ、何を、どう書くか」を決めておかないと、いくら立派な手帳を買っても使いこなせません。

 紙の手帳は一覧性に優れているのがメリット。エバーノートやドロップボックスなどのデジタルツールは、目的の情報を取り出すには便利ですが、ちょっと時間が空いたときにパラパラとめくって情報を見返せるのは手帳ならでは。追記もしやすいし、多色ボールペンが1本あれば文字の色分けも簡単です。

 今回は私の手帳術を紹介しましたが、これが万人にとってベストとは限りません。皆さんもいろいろと創意工夫しつつ、ぜひ「手帳のマイルール」を作って、情報や思考の整理に役立ててください。

 

《取材・構成:塚田有香》
《『THE21』2015年11月号より》

著者紹介

舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

手帳評論家

神奈川県生まれ。〔株〕アスキーを経て、ライター・編集者として活動。手帳全般のトレンドや活用術について講演や執筆を手がける他、手帳・文具メーカーのコンサルティングにも携わる。手帳活用の基本をまとめた「手帳音頭」を作詞作曲し、YouTubeで公開している。また、2016年版の成美堂出版の手帳で手帳術指南の冊子を担当。

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