2015年11月11日 公開
2015年11月13日 更新
使わないモノが収納スペースを占拠し、使うモノが放り出されて散らかりを招く。この現状を打破するために「片づけ」を始めるわけだが、そこには守るべき「順番」があるという。
「多くの人は、片づけを始める際に『しまう』ことから始めます。しかしこれは失敗のモト。最初にすべきは『出す』ことです。片づけは、『出す→分ける→しまう』の順番で行なえば、必ずうまくいきます。
オフィスの片づけも同じで、まずは引き出しや棚の中のモノを、すべて出してもらいます。すると各自が持ち物の総量を把握できます。不要な持ち物にも気づくでしょう」
次に『分ける』作業が来るが、分け方にも注意が必要だ。
「『いるか、いらないか』で分けると、『いつか使うかも』と『いる』にばかり分類しがち。『今、使っているか、使っていないか』で分けるのが賢い方法です。
ここでポイントは、『使っていない』と分類したモノも、すぐに捨てる必要はないということです。捨てるとなると、不要な物であってもためらいを覚えるもの。ですから、しばらく猶予期間を持つのです。
ただし、それらを入れた段ボールは一番目立つところに置きます。休憩所のテーブルの上や通路の脇、来客に見える場所など。これはかなり嫌ですよね(笑)。でもそれが狙いです。邪魔だと感じれば感じるほど、自発的に『処分しよう』という意識が芽生えるからです」
なお、その箱には期限を明記しておくことも必要だ。
「そうすると、処分するきっかけをつかみやすくなります。オフィスの場合は長くて三カ月、短くて一カ月程度が妥当。これは、手放すことへの『納得感』を醸成する期間とも言えるでしょう」
そして最後は、空いた収納スペースに「しまう」プロセスだ。
「ここではまず、動線を極力少なくすることが大事。キャビネットの内容物は、その近くに座る社員の仕事内容と関連させ、各人の移動距離をできるだけ少なくしましょう。
また、用途の近いモノは近くにしまうこと。たとえば、複数台あるパソコンのマウスとアダプターは同じ引き出しに収納。このとき、それぞれに番号を振るのも良い方法です。そうすれば、どのマウスがどのPCに対応するかも一目瞭然です」
動線と同じく、「共有」も重要なキーワードだ。
「カテゴリー分けされたアイテムにラベリングし、誰がどの棚を開いても内容物がわかるようにしましょう。見やすく分類することで、閲覧・処理のスピードが上がります。情報共有も活発になり、生産性も上がるでしょう」
小島氏のオフィスでは、デスクの上にあるものは電話のみ。パソコンも退社時には共有の収納棚に入れる。その棚にも必要なものだけが無駄なく収納され、空いたスペースには雑貨や植物が美しく配置されている。
高すぎる棚を置かず、すべてを「目の高さより下」に収めているのも特徴的だ。これは、収納の「中・下・上の法則」を意識してのことだという。
「モノを出し入れするとき一番楽な位置は、腰から目の高さの範囲内にある『ゴールデンゾーン』。棚で言えば中段に当たります。ここに、よく使うモノを集中して入れます。その次に楽なのが下のスペースで、下段は社員のロッカーとして使っています。そして、一番出し入れしづらいのが上段。ですから当社では、目の高さより上に棚は作りません」
小島氏の会社ケイスタイルでは、オフィスの壁面に作りつけられた棚に、すべての事務用品や書類が集約されている。
書類はファイルごとに分けてラベルを貼り、ひと目でわかるように。
文具類は必要なモノがすぐに取り出せるよう、「kaku(書く)」「kiru(切る)」など用途の似たモノをまとめて一つの箱に。引き出しの中も区分けして使いやすく。
棚のスキマのスペースも有効活用。ここにノートパソコンを立てて収納している。
小島氏のデスクの上はすっきり片づいてパソコンと電話のみが置かれている。
《『THE21』2015年11月号より》
更新:11月23日 00:05