2015年09月19日 公開
2023年05月16日 更新
何か問題を解決しようとしても、考えれば考えるほど頭の中がごちゃごちゃになる……そんな悩みを持つ人は多いはず。それに対して、巷ではよく「シンプルに考えろ」ということが言われる。だが、そう簡単に「思考をシンプルに」できれば、最初から悩むことはない。
それに対して、経営コンサルタントの鈴木進介氏は「シンプルに考えることは難しくない」と主張する。誰でもすぐに実践できる「セパレート思考」について、教えてもらった。
「成功は、シンプルから生まれる」、これはグーグルの共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏の言葉です。生前のスティーブ・ジョブズ氏にいたっては、「物事をシンプルにすれば山をも動かせる力になる」という主旨のことも語っています。今や世界を席巻するスター企業は、みなシンプル思考にこだわって驚異的な成長を成し遂げました。
一方、私たちの頭の中は普段どうなっているでしょうか?
「やるべきことが多すぎて、何から手をつけたらよいのかがわからない」
「選択肢を絞れなくて、何を残して、何を捨てればいいのか迷う」
「つい考えすぎてしまって、なかなか行動に移せない」
こうしていつもシンプルさとは真逆で、頭の中のゴチャゴチャに悪戦苦闘しています。複雑化してくる時代環境、情報が洪水のように押し寄せてくるスマホ社会、放っておくと頭のゴチャゴチャはいつまでも解消されることはありません。先が見えない混沌とした時代では目の前の仕事もどんどん複雑化しているため、それに比例するように頭の中も複雑化してきています。これでは、問題の本質が見抜けず、決断力や行動力が鈍ってくる恐れすらあります。
そこで、問題をシンプルに捉えることで、複雑化した社会に立ち向かう準備が必要になります。それでは、どのように問題をシンプルに捉えれば良いのでしょうか?
1つは、毎日、強い意識を持って思考のシンプル化を行うことです。特に向上心や好奇心を強く持つ人ほど無意識のうちに、スキルアップや情報のインプットを積み重ね、“思考の足し算”を繰り返してしまいます。こうなると、様々な選択肢が複雑に絡まり合ってしまい、本質が見えなくなるおそれが出てきます。だからこそシンプル化(引き算)を常に意識する必要があります。
もちろん、意識を変えただけでは実際にはシンプル化は容易ではありません。そこで2つ目の策として“セパレート思考”をおすすめしています。
セパレート思考とは、情報や選択肢を「仕分け(セパレート)」することで、瞬時に頭の中をシンプルにする方法のことです。「戦略は絞り込め」「やるべきことに集中しよう」などと世間では、シンプル化を煽る言葉が飛び交っていますが、その多くは一足飛びにシンプルにしようとして上手くいきません。みな、どのようにして絞り込めばいいのかわからず、問題を抱えたままこう着状態に陥ってしまうのです。
そこで、いきなり複雑に絡み合った問題を紐解いたり選択肢を絞り込んだりせず、まずは頭の中にある情報や選択肢を「仕分け」することで、本質を見えやすくします。これは、言い換えれば頭の中の「整理整頓法」と言えます。たとえば、衣替えの季節では「いる服」と「いらない服」を仕分けることで、タンスの中を整理整頓します。これは頭の中でも全く同じことなのです。
頭の中も「必要なもの」と「必要ではないもの」を仕分けしながら整理していきます。セパレート思考による整理法は、本来集中すべきことに集中し、その人や会社が持つ価値を最大限に引き出してくれるパワーも持っています。
混乱した頭の中→選択肢&情報の「仕分け」(セパレート思考)→物事の本質が見える→正しい決断と行動→問題解決
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更新:11月22日 00:05