2015年09月13日 公開
2023年03月08日 更新
このようなストレスチェックテストを実施することにより、ある集団のうつ病患者数が減ったなどの医学的エビデンスは(まだ)ありません。専門家たちからも、この制度がメンタルヘルス不調者の予防に本当につながるのか等々、様々な課題が指摘されています。新制度の効果は誰にもわかりません。
わかっていることは、ストレスチェック制度の開始は多くの企業にとって、人、お金、時間のかかるものであることです。そして、この新しい制度を社外の業者任せにして、形ばかりで導入しただけでは、会社と社員両者にとって、ほとんどメリットがなく、何の効果も期待できないだろうということです。
もうひとつわかっていることは、ストレスチェック制度の開始は、年に1回すべての従業員が自分のストレスやメンタルヘルスについて考えるきっかけになるということです。制度の実施方法ばかり考えるのではなく、この機会に会社として従業員のメンタルヘルス対策をどのようにしたいのか、そのためにストレスチェック制度をどのように活用したいのかを考えることも大切だと、産業医の私は考えます。
ストレスチェック制度への対策は難しくありません。ストレスチェックテストの結果、高ストレス者となり補足的面談や面接指導を希望した人たちに対応することは簡単です。会社の担当者の方々にはぜひ、その先に考えていただきたいことが2つあります。
1つめは、ストレスを抱えながらも手を上げない4人に1人の人たちをどうするかです。ストレス・メンタルヘルスの話題がネガティブ視・タブー視されがちな組織環境ではなく、このような話題をもっと明るく楽しく前向きに、ポジティブに社内で語り合えるようになる、そのような企業文化こそが、これからは必要なのではないでしょうか。
2つめは、同じ環境で働きながらもメンタルヘルス不調にならない人たちからこそ、ストレス対策を学ぶということです。この人たちは、ストレスをどのように捉えているのでしょうか。その人たちに共通する考えや習慣を学び、身につけることも、ストレス対策のセルフケアになるのではないでしょうか。
更新:11月22日 00:05