2015年05月29日 公開
2023年05月16日 更新
メモを習慣化するためには、当然だが常に持ち歩くことが必須だ。それも持ち歩くだけでなく、いつでもすぐに取り出せるようにしておかなければならない。ポケットに入るサイズの手帳やメモ帳を常備しておこう。
メモが苦手な人の中には、相手の言うことをすべて書き留めようとして間に合わなくなる、という人が多い。しかもこの方法だとメモにばかり目を奪われて話に集中できず、相手にも悪印象を与えてしまう。メモするのはあくまで「キーワード」のみでいい。
ただ、慣れないうちはキーワードだけを抜き出すのもなかなか難しいもの。そこで最初のうちは「5W2H」(いつ、どこで、誰と、なぜ、何を、どのように、いくらで)を意識してメモを取るといいだろう。あらかじめメモに5W2Hを書く欄を作っておき、話を聞きながら埋めていく、という手も。
メモに慣れてきたら、発言内容だけでなく、その際の相手の表情やしぐさといった「空気感」までメモしておくことをお勧めする。見返したときに記憶がよみがえってきやすいだけでなく、相手の言葉に潜む真意にあとで気づくこともある。
「文字を速く書くのが苦手」という人は、記号を活用するといい。たとえば電話なら「T」、ミーティングなら「M」、企画なら「キ」など、自分がよく使う単語を記号化しておけば、メモのスピードはぐっと高まる。また、互いに関係ある事柄や、因果関係にあるものを矢印でつなぐというルールを作っておくのもいい。
あらゆるメモに日付をしっかりと入れておくことは、基本中の基本。「メモの右上」など、あらかじめ場所を決めておくと習慣化しやすい。また、日付や時間、金額などの「数字」の間違いはビジネスでは致命傷になることがある。メモはどんなに汚い字でも自分が読めればいいが、数字だけは正確に、読みやすく書く練習をしておこう。
「メモを書く場所をあらかじめ決めておく」のも一案。たとえばノートの左ページに相手から聞いたこと、右ページに自分の気づいたことを書く、などとルール化しておくとスムーズ。会議などの場合、あらかじめ参加者の名前を書いておき、そこに発言を書き込んでいくという技も。
会った人の名前や顔はもちろん、話した内容まで覚えておくことが、人間関係構築に重要だということは前述のとおり。だが、せっかく取ったメモをすぐになくしてしまう人もいるだろう。ならば、「名刺」に直接書き込んでしまっていい。必要なのは会った日時と場所、簡単な話の内容など。また、顔が覚えられない人は、メガネや髭などの特徴をイラストで描くのもいい。
取ったメモは必ず見直すクセをつける。その際のコツの一つが、「メモにタイトルをつける」こと。たとえば、「今やるべきこと」「準備すべき備品」、あるいは「来年取るべき戦略」など、なんでもいい。自分の思考が整理されるとともに、あとで見返すときのインデックスにもなる。
あとから自分の意見をメモに書き込むこともお勧めだ。その際に役立つのが「色」。重要だと思ったところを赤丸で囲むなど、自分なりのルールを持っておくと良い。あるいは最初から「3色ボールペン」を用意して、相手の話したことは黒、自分の意見は青、その後重要だと思ったことは赤、などとルール化しておけばよりスムーズ。
メモは精神の安定や高揚に役立つと述べたが、そのためにお勧めしたいのがこの方法。たとえば今気になっていることを、「気になることベスト10」として書き出してみる。すると急に気分が楽になる。また、「こうしたいことベスト10」を書き出せば、自分が進むべき道が見えてくる。こうした「ベスト10」は、手帳などに挟んで常に持ち歩くのがポイントだ。
私は取ったメモをあとで読み返しやすくするために、A4のノートに貼りつけている。さらにそのノート同士を貼りつけて1冊の「本」にする。こうしてできた「本」は何十冊にも及び、今でもたまに見返してはいろいろなヒントを得ている。
(『THE21』2015年5月号より)
更新:11月22日 00:05