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簡単にできる!“デスクワークの疲労”回復法

2014年12月11日 公開
2023年05月16日 更新

坂詰真二( スポーツ&サイエンス代表)

『THE21』2014年12月号[総力特集:「疲れない」仕事術]より》

 

ビジネスマンはむしろ「動かない」から疲れている
こまめに動くことで“静的疲労”を解消しよう

多くの人が、まったく運動をしていなくても疲労を感じているのではないだろうか。
実は、身体を激しく動かしたあとの疲労と、長時間の仕事をしたあとの疲労は別物だという。
アスリートへの指導も行なうトレーナーの坂詰真二氏に、疲れにくい身体を作る運動習慣についてうかがった。

坂詰真二 (さかづめ・しんじ)スポーツ&サイエンス代表

1966年、新潟県生まれ。横浜市立大学文理学部卒。NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。各種アスリートへの指導、スポーツ系専門学校講師を務めながら、雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで運動指導、監修を行なう。著書に、『やってはいけないストレッチ』(青春出版社)、『痩せる!筋トレ』(河出書房新社)など多数。

 

デスクワークの疲労は“リセット”できる

 疲れない身体を作るには、疲れる前に“リセット”することです。疲れは溜まれば溜まるほど、回復しにくくなるからです。

 身体の疲れには、2つの種類があります。1つは、筋肉が強く伸び縮みし、エネルギーを消費することで発生する「動的疲労」。これをリセットする方法は、身体を休めることです。

 もう1つは、同じ姿勢を長時間続けることで起こる「静的疲労」。多くの現代人に当てはまるのは静的疲労です。

 静的疲労は、血流が滞ることで引き起こされます。姿勢を維持する際、筋肉が、弱い力ですが同じ長さで収縮し続けます。すると、筋肉の間を通る血管が圧迫されてしまうのです。

 足を例に説明します。足に血液を送る往路は、心臓が収縮する圧力が働きます。これに対して、血液を心臓に戻す復路では心臓の圧力が不十分で、筋肉がポンプの役割を果たします。

 筋肉の疲労を感じさせる原因の1つが、エネルギー源のブドウ糖を分解するときに生まれる老廃物、乳酸です。スポーツや歩行のように筋肉が伸び縮みする場合は筋肉のポンプが機能して血流が促され、乳酸を筋肉から排出してくれます。

 しかし、座ったまま、立つたままだと筋肉の長さが変わらないのでポンプとして働きません。その結果、乳酸が除去されず疲労が起こるのです。

 またこの際、血管から血液の血漿(液体)成分がにじみ出て足がむくみ、神経を圧迫して痛みを感じます。

 肩や腰も同様に、血流が滞れば、痛みや疲労感を感じます。ですから、デスクワークで生じる静的疲労を取るには、筋肉を伸び縮みさせてあげるのが効果的です。

 一番簡単な方法は、歩くことです。1日20分程度で、細切れでも大丈夫。ランチのとき少し遠い店まで出向く、通勤途中で多めに歩くなどでもいいでしょう。リズミカルな運動を続けると、セロトニンという安心感を得られる神経伝達物質も分泌され、疲労感が和らぎます。

 またストレッチも有効です。血流やリンパの流れを良くし、乳酸などを筋肉から取り除きます。

 静的疲労は、この20分のウォーキングとストレッチ、そして良質な睡眠によって十分に解消できます。

 疲労物質は、溜めれば溜めるほど、取り除きにくくなります。「疲れた」と感じてからストレッチをするようでは遅いのです。むしろ、疲れが蓄積する前に、リセットしましょう。たとえば、1つの作業を50分行なったら、10分の休憩を取り、ストレッチを行なうなどです。

 座ってパソコン作業をしているときには猫背になりがちです。すると、首や腰の筋肉の収縮が強くなり、血流が滞りやすくなります。そこで、図にあるように、背を反対に反らす動作をします。

 また、立つたまま、イスに座ったままだと、先ほどお話ししたように足の血流が滞るので、かかとを上下させる運動で脚のむくみを軽減しましょう。

 さらに自宅に帰ったら、より多くの筋肉を動かすストレッチもお勧めします。

 誰しも、仕事中は目先の効率だけを優先しがちです。しかし、それでは疲れはどんどん溜まり、かえって仕事の効率が低下します。こまめな疲れのリセットをしましょう。

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