2013年07月29日 公開
2022年12月28日 更新
熟考した計画を実行しても、失敗することもある。失敗すると、次の挑戦に二の足を踏みがちになるもの。失敗を恐れずに前進するためには、失敗したときは即座に撤退する潔さも必要だという。
「『俺の~』のビジネスモデルも、成功するまでには何度も失敗しています。たとえば、来店客を増やすためにドリンクを無料で提供したことがありますが、効果はゼロでした。
ドリンクは自宅で飲むほうが断然安いので、レストランで無料にしてもインパクトが薄いのでしょう。このように考えてみれば当たり前のことも、試してみて初めて気づくわけです。
社長がよく言うのは、失敗したら止めればいいのだと。すぐに撤退すれば、失敗による傷も浅くてすみます。失敗を恐れずに挑戦するためにも、適切なタイミングで止める決断をし、頭を切り替えることが大切です」
また、考えている途中に雑念にとらわれてしまい、建設的な思考ができないという人もいるだろう。安田氏は、ある解決法に出合ったことで、雑念に惑わされることがなくなったという。
「私の場合、雑念にとらわれそうになったときは、江戸時代中期に鍋島藩の家老、山本常朝によって書かれた『葉隠』の一節を思い出すようにしています。三島由紀夫が『葉隠入門』を書いたことでも知られています。
わかりやすく言えば、次のようなことが書かれています。『人生など大したことはない。どんなに頑張って総理大臣になっても、大金持ちになっても、10億年後の世界からみればちっぽけなこと。自分の自己満足でしかないのだよ』。
一見すると、『ビジネスでは利益を生み出すことが大事』という主張と矛盾しているように思えるかもしれません。しかし、『何事もしょせんは自己満足のためなら、精一杯やって失敗したっていいじゃないか』というのが葉隠のメッセージだと解釈できます。
このような心境になれば雑念はなくなり、必要なことのみシンプルに考えられるようになるはずです」
(1)世の中の支持を基準にする
考えるといっても、むやみやたらに考えるのではなく、重要なことに絞って考える必要がある。そこで基準となるのは、「利益を生み出すかどうか」。
もし利益が出ないのなら、世の中がそれに対して価値を認めていないということになる。「儲けの出ないことを考えるのは自己満足でしかありません。思考するときは、世の中の支持に従うのが良いでしょう」と安田氏は話す。
(2)自分の才能を見極める
利益の出ないことを考えてしまうのは、自分の才能を見誤り、優位性を発揮できない土俵で勝負しようとしているからでもある。「自分にはないものに憧れ、畑違いの分野で勝負することほど危険なことはない」と安田氏。正しく思考するためには、自分の才能を見極めることが前提となる。
(3)大局的に仕事を見る
「失敗したらどうしよう」などと不安を感じると、冷静な思考が働かなくなる。こうした雑念を取り除くには、長期的な視野から物事を俯瞰して見てみることが効果的。
「もしも重大な失敗を犯したとしても、10億年後の世界から見ればちっぽけなこと。そのように考えることができれば、雑念は消えていくでしょう」(安田氏)。
更新:11月23日 00:05