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ゴディバの準備は2年半前から始まる! バレンタイン商戦にかける執念

橋田美緒(ゴディバ ジャパン株式会社 マーケティング本部マーケティング チョコレートカテゴリー)

ゴディバ ジャパンのマーケター、橋田美緒氏が、商品が完成するまでの知られざる開発の舞台裏を明かす。

※本稿は、ジェローム・シュシャン 著『挑戦するブランド、ゴディバ』(Gakken)の内容を一部抜粋・編集したものです。

 

バレンタインデーに向けて、2年半前から準備が始まる

ーーそして、なんといってもバレンタインシーズンが重要になりますよね。どのくらい前から準備を始めるのですか?

【橋田】2年半くらい前です。ベルギーの開発チームとコンセプト作りやチョコレート開発のためのブレーンストーミング、ワークショップといったキックオフから始めます。

バレンタインデー向けには、大きく分けて二つのコレクションを作ることが多いです。女性のお客様がかわいいチョコレート、美味しいチョコレートを求められるシーズンでもあります。華やかでかわいらしいチョコレートを、ご自分で召し上がったり、親しいお友達に差し上げたりする。

こうしたニーズを私たちはキュートなニーズと呼び、それに向けたコレクションを用意します。例えばピンク色でハートのかわいいテイストのものなど、バレンタインデーらしい商品です。

一方で、この時期だからこそ、ゴディバの本格的な職人の技術と厳選された素材を使ったチョコレートを買いたい、贈りたいというニーズもあります。こうしたニーズに向けた、オーセンティックでシックな、ゴディバの本格感を打ち出したチョコレートのコレクションも同時に発売するようにしています。

この両者があることが、近年のゴディバのバレンタインコレクションの特色です。

ーー2026年には、「アリスのティーパーティ コレクション」が展開されて話題になりました。

【橋田】これもベルギーのチームと2年半くらい前から準備を始めて、生まれたものです。初期のブレーンストーミングでは、実は「アリスのティーパーティ」以外にもコレクションのテーマ候補がいくつかありました。その中から消費者調査をして、お客様の興味や評価を確認しながら選んでいきました。

ーーそれにしても2年半も前から企画が始まるというのは、驚きです。

【橋田】とりわけチョコレートの場合は、生産と輸送に時間を要します。たくさんの量を作りますし、海を越えて運んできますから、どうしても時間がかかる。そのリードタイムを加味すると、やはり早めの準備は必須になってきます。

 

箱に並べたとき、最も美しく見えるような配置を考える

ーー「アリスのティーパーティ コレクション」では、物語に出てくるいろいろな形のアイテムが、ちゃんとチョコレートになっていました。

【橋田】『不思議の国のアリス』のストーリーがモチーフになっていますので、印象的なものをチョコレートで表現しました。どんなモチーフをチョコレートにするのがよいか、シェフやベルギーの開発チームと一緒に話し合っていきました。

例えば、アリスといえばティーポットは外せない、というような話をしました。ただ、ティーポットの形をチョコレートで作るのは簡単ではないのです。最初は急須みたいになってしまって、これはティーポットじゃなくて中国茶だぞ、といった具合に(笑)。そこからトライ&エラーを繰り返して作り上げていきました。

ーーほかにもフルーツやナッツのケーキなど、色も華やかになっていますね。

【橋田】チョコレートを箱の中に配置したとき、かわいい見栄えにできるかどうかも、とても大事です。例えば、このコレクションに深い赤色をしたハートのチョコレートがありますが、最初ベルギーからイメージとして上がってきたものは明るい赤色でした。

コレクションのほかのチョコレートとパッケージに詰め合わせたときに、全体の見栄えから、赤色だけ浮いて見えてしまったので、少し抑え目のシックで大人っぽい色に仕上げていきました。

ーーウェブサイトを見ると、チョコレートの断面の写真も出ていましたが、何層にもなっているのですね。

【橋田】ゴディバのチョコレートの多くは、私たちがシェルと呼んでいる外側のチョコレートで作る殻の部分の中に、フィリングと呼ばれる素材を入れることで作られていきます。

このフィリングにもこだわりがあって、何層も積み上げたりします。このフィリングもご覧いただきたくて、ウェブサイトなどでカットした断面の写真を掲載しました。

ーーフィリングもいろいろあるわけですね。

【橋田】何を入れていくのかは、ベルギーのチームと話し合いながら作っていきます。フィリングによって味は変わっていきますが、シェルをダークチョコレートにするのか、ミルクチョコレートにするのかでも味は変わります。どの味が一番よいバランスになるのか、話し合いながら一粒ひと粒、作っていきます。

ーーあとは、ゴディバといえばなんといってもパッケージ。本当にいつも美しいです。これも、作っていかないといけないわけですね。

【橋田】はい。パッケージは、外側も大事ですが、内側も大事なのです。チョコレートがきちんと入るサイズ感もそうですし、最も美しく見えるような配置も考えていきます。蓋を開けたときの印象は、とても大事ですから。

パッケージは、ゴディバのチョコレートを楽しむときの一つの要素です。バレンタインシーズンの人気のハート缶は、毎年楽しみに待っておられる方がいます。年号も入っているので、集めている方もいらっしゃるようです。

ーーそういえば、「アリスのティーパーティ コレクション」のパッケージには、アリスがいませんね?

【橋田】はい。あえてそうしました。実は「アリスはお客様ご自身」という考え方です。お客様ご自身にアリスになって、この不思議な世界を旅していただきたい、と。ですので、パッケージにはアリスが入っていないのです。

プロフィール

橋田美緒(はしだ・みお)

ゴディバ ジャパン株式会社 マーケティング本部マーケティング チョコレートカテゴリー

2016年に入社。宣伝販促・CRM担当として従事し、若い世代を含む新規ユーザーの獲得に貢献。マーケティングの知見やカスタマーインサイトの洞察を商品開発に活かすべく、チョコレートカテゴリーに異動。チョコレート商品の年間の商品ポートフォリオ設計から、商品企画開発、およびチームのメンバーの育成を担う。

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