2026年10月30日 公開

ゴディバ ジャパン代表、ジェローム・シュシャン氏が、「両利きの経営」について語った。
※本稿は、ジェローム・シュシャン 著『挑戦するブランド、ゴディバ』(Gakken)の内容を一部抜粋・編集したものです。
ーー新規事業の展開や、コラボレーションなど新しい取り組みが目をひきますが、ギフト市場へはどう対応していきますか?
【シュシャン】ギフト事業がゴディバにとって大切なのは、今までもこれからも変わりません。
先ほど、成長のドライバーを作るお話をしましたが、既存事業をしっかり発展させていくことも大切です。
ゴディバ ジャパンは、両利きの経営(アンビデクストラス経営)戦略を取っています。
ーー両利きの経営というと?
【シュシャン】既存事業の深化と、新規事業の探索を並行して実施していくことです。ゴディバ ジャパンにとって、深化すべき既存事業は、ギフト事業です。従来のフォーマルギフトも大切ですし、昨今のギフト市場の変化により増えてきたカジュアルギフトにも対応しています。
一方、新規事業は、ここまでお話ししてきたゴディパンや、カフェなどのフードサービス、そしてドリンクなどのセルフトリートの分野になります。
新規事業は注目を集めやすく、話題にもなりやすい。一方で既存事業はビジネスの中核を担うものです。自社の強みを活かして既存事業でしっかりビジネスを作っていくことは、新規事業を立ち上げることと同じように重要です。また、ここで大切なのは、既存事業だからといって守りに入るのではなく、市場の変化に対応して新しいチャレンジをしていくことです。

ーー既存事業でも挑戦は続くのですね。ギフト事業におけるチャレンジとは、具体的にどのようなことでしょうか。
【シュシャン】ギフト市場は昨今大きく変化しています。お中元やお歳暮といったフォーマルギフト需要のほか、日頃の感謝を伝えるちょっとしたギフトや、誰かと会うときの手土産など、カジュアルギフトの市場が拡大しています。この変化は、特にコロナ禍によって加速したように思います。
市場の変化に合わせて、ゴディバもカジュアルギフトに使いやすい商品ラインナップも増やしています。さりげないギフトとして贈りやすいサイズ感のものや、カジュアルなデザインのパッケージの商品など、ゴディバのお店に行くと、手に取ってみたくなる、気軽に誰かにあげたくなるものが見つかると思います。
また、フォーマルギフト用の商品も、近年の夏の暑さに対応した商品を発売しています。焼き菓子を強化し常温で持ち運べる商品を増やしました。また、ひんやり楽しめるジュレやムース、そしてアイスクリームのギフトセットも充実させてきました。
ーー既存事業も新規事業も両方を進めていく。これは実際には大変なことですよね。
【シュシャン】既存事業と新規事業とは、運営の仕方も求められることも異なります。課題になることも大きく違う。ですので、同じ物差しで評価したり、同じ方法で課題を解決しようとしても、なかなかうまくいきません。それぞれの事業を担うチームを分けて必要なタレントをアサインしていく。
そして、社員すべてが、各事業の役割をしっかり理解して協力し合う。そうすることで、それぞれの事業が、スムーズに進んでいきます。
先ほど同じ方法では課題解決ができない、と言いましたが、既存事業で培ったノウハウが新規事業に活きることもたくさんあります。チョコレート作りのノウハウはもちろん、食材の知識、商品開発の技術、全国規模のリテールビジネスの運営力、接客力、そして社員の結束力など、これまでゴディバがギフト事業で育ててきた力は、新規事業を支える力にもなっています。
更新:10月30日 00:05