
AI、キャッシュレス、データ活用――。
コンビニといえば、つねに身近にあって、馴染みの店には会話できる従業員さんがいて...。筆者はそんな日常を心地よく感じます。
ですが都会ではもはや、そんな接客は求められていません。むしろ会話を避ける客さえ多く、そそくさと買い物を済ませると、ビジネスパーソンたちはオフィスビルの谷間に消えて行きます。(もちろん地方や下町にはまだまだ人情は残っていますが...)
昨今のコンビニ報道を眺めていると、省人化設備の導入、AI開発による店舗運営の効率化、キャッシュレス決済の促進、従業員の負担軽減、といったトピックスが並びます。
もっと言うと、それらを推進するために外部資本との提携など、企業目線の大きな話が中心です。
コンビニ成長期には、現場の接客、清掃、品揃えといった店舗レベルの向上に力が注がれました。商品開発も各社が切磋琢磨して、オリジナリティの高い高付加価値商品が数多く生まれました。
今日、訪日外国人が日本コンビニに羨望の眼差しを向けています。それは長年に渡る各社の努力の賜物です。ところが今、コンビニ各社の視点は別のところにあるようです。競合他社と争うより、自社の強みを磨いて独自性を出すという発想です。
たとえば、ローソンはエンタメ、KDDIとの連携、店内調理。ファミマはアパレル、デジタルサイネージ、ユニークな商品開発。セブンはデイリー商品の品質向上。これらが意味するところとはいったい何でしょうか。
ソフトバンクの孫正義氏や伊藤忠商事の岡藤正弘氏のような大物経営者の、過去のインタビュー記事やメディア発表などを辿ると、彼らが描いている壮大な構想の輪郭がうっすらと浮かび上がります。
7月31日、セブン&アイ・ホールディングスはソフトバンク、PayPayなどとの資本提携を発表しました。PayPayと顧客データを統合するほか、人工知能(AI)の活用でも協業を広げるそうです。孫氏の構想にコンビニが重要なプラットフォームとして存在することは間違いありません。
また、8月26日に開催された「ファミマフェス」、テーマは「コンビニではたらく」。「ファミマではたらく」とは言ってないところがミソです。
一年前、岡藤氏はセブン&アイ・ホールディングスへのⅯVO参画を断念した際、報道陣の取材に対し、コンビニの未来像や「国益」の観点を熱く語っていました。
もはや大手コンビニは自社の利益だけを追求していては駄目だと。そういう時代に入っていくことを示唆しています。事実、この一年で報じられた、こまぎれのコンビニ報道を繋いだだけで、理に聡い人は、業界に何が起ころうとしているかは察しがつくはずです。
そのうえで現場に眼を転じると、社会保険料や人手不足に起因する人件費の負担増。これらはやはり加盟店オーナーの大きな心配材料です。
本部は加盟店の痛みを理解して、攻防一体の成長戦略を描かなければなりません。たしかに、このようなグランドデザインを描けるのは、前述の巨人たちなのかもしれません。
しかし現場を正確に捉えているのは、あくまで日々加盟店と接している本部経営相談員(スーパーバイザー)です。彼らに発言力や権限を与えるのか。もしくは効率を優先してAIに代替させるのか。これがコンビニの未来を占ううえで分かれ道になりそうな気がします。
更新:10月01日 00:05