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お笑い芸人・寺田寛明が教える大喜利のコツ 「写真で一言」に面白く答えるには?

2025年02月27日 公開

寺田寛明 (お笑い芸人)

大喜利

お笑い芸人・寺田寛明さんによる「大喜利入門講座」。今回は、お題の写真を見て一言で返す「写真で一言」に面白く答えるコツについて解説します。ビジネスパーソンでも大喜利が得意になる、そのポイントとは? 

※本稿は、『THE21』2024年2月号の掲載記事より、内容を抜粋・編集したものです。

 

苦手な人ほど使いがち「センス」の正体とは?

まず、「センス」という概念について、少しだけお話をさせてください。

というのも、大喜利に苦手意識のある芸人と話していると、かなりの高確率で「センス」という言葉が出てくるのです。「僕は○○さんみたいにセンスないですから~」といった具合に。

大喜利に限らず、ギャグセンス、ファッションセンスと、日常のあらゆる場面でセンスという言葉は出てくると思うのですが、センスという言葉自体の意味がかなりふわっとしているせいで、実態が何なのかよくわからず使っている人が多いのではないかと思います。

私は実際のところ、センスという言葉はその分野についてよくわかっていない人が使う言葉だと思っています。「大喜利はセンスだから......」とか言ってる人は大喜利のことがわからないから、センスというあやふやな言葉で理解から逃げているのです。

また、ありがちな誤解として、センスを「まったく新しい何かを生み出すこと」と考えている人は少なくないのではないのでしょうか。

ですが、実際のところ、センスがあるとされる人たちはみな、新しい何かを生み出し続けているでしょうか。

ファッションに例えればわかりやすいかもしれません。ファッションセンスとは結局のところ、自分で服を作ることではなくて、既存の服から何を着るか選ぶことですよね。

私はこの「選ぶ」ことが、センスの正体だと考えています。

ゴテゴテに高級ブランドで固めるよりは、少し着古した上着をサッと羽織ったほうが、小洒落ていると思われます。つまり、ベタ(=オシャレでいうところのブランド)から少し外れたところを選ぶ、その選択の塩梅が「センス」と言えるのではないでしょうか。

芸人の中でも、お笑いのボケのパターンというのはとっくに出尽くしてしまっていて、それらをどう選び、組み合わせるかが大切だと言われています。限られた選択肢の中で、多数派の選択から少し外れたところを選ぶと、「面白い」と判断されやすいのです。

 

大喜利における「センス」の捉え方

もう少し大喜利っぽい話にしましょう。

「五十音の中で、いちばん面白い平仮名はどれだと思う?」という質問があったとします。

「ぬ」とか「ふ」は、なんか形も音も面白い気がしますよね。「ん」とかはぜんぜん面白くない。

たぶんですけど、アンケートを取ったら「ぬ」が1位なんじゃないでしょうか。一般的な気がします。

しかしどうでしょう。先ほどの理論で言うと、1位が「ぬ」になった瞬間から、面白い平仮名を聞かれて「ぬ」と答えることはベタで安牌な選択となり、センスがあるとは言えなくなるのです。

だからと言って30位のやつを選んでいるようでは逆張りし過ぎですし、8位ぐらいのやつがちょうど面白い平仮名になるのではないでしょうか。個人的には「そ」なんかは書き方も変だし面白い。

つまり、センスの良い選択をするためには、大多数が選ぶ1位2位の選択を常に把握している必要があるのです。

この手の質問に決まった正解などありません。追いかければ追いかけるほど逃げていく最適解を、世の中の流れを察知して選び取るしかないのです。

大喜利には基本的な答えの考え方はあるものの、このセンスの部分が大喜利を難しいものにしています。同じ趣旨の答えを出すのにも、単語の選び方、言い回し一つで伝わり方が大きく変わります。

逆に言うと、経験を積むことでしか培われていかない部分なのです。生まれ持ったセンスなどというものは存在せず、自ら選択を行なわないと磨かれていかないものなのです。

そのことを意識したうえで、この先を読んでいただければと思います。

 

人気の大喜利形式「写真で一言」

前回は「こんな○○は嫌だ」を中心に、文章のお題に対して文章で回答する例を紹介しました。

それに対して今回は、画像のお題に対して文章で答える、いわゆる「写真で一言」です。お題を考える必要性がないため、一般企業のマーケティング戦略なんかでも用いられることが多いです。各種SNSなどで目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

初めにお伝えしておくと、「写真で一言」は、通常のお題より難しいです(私自身が苦手だというのもあるのですが......)。フジテレビの大人気大喜利番組「IPPONグランプリ」では、通常のお題は一定時間複数人で回答を出し合うのに対し、「写真で一言」は即興で一度だけ答えるお題となっています。このことからも、煮詰まりやすい、手の焼けるお題だということがわかります。

今回は、そんな「写真で一言」についての解説です。

 

 

「写真で一言」の思考回路① 主観で回答する

ゾウ

まず最初は、写真Aのゾウの写真をお題にしてみましょう。言葉による補足が一切なく、これだけでお題として成立するのが「写真で一言」の最大の特徴です。

はじめは、前回の復習です。回答を導く最初の手順は、「連想する」でしたね。ゾウから連想できるワードを書き連ねてみましょう。

【ゾウから連想するもの】
鼻、象牙、サバンナ、動物園、サーカス、水浴び、お絵かき、かわいそうなゾウ、夢をかなえるゾウ、ガネーシャ、平面の地球を支える......

こんなところでしょうか。ではここから、「写真で一言」独自のテクニックを紹介します。

「写真で一言」独自のテクニック、それは「主観の回答」ができるということです。

主観の回答とは、写真の中でスポットの当たっている人物や生き物になりきって、そのセリフや思考をそのまま述べる回答です。

主観の回答は、勢いや感情、かわいさを乗せることができるのが利点です。今回のように動物がお題のときは特に、かわいさを意識するとよいでしょう。これは個人的な意見ですが、かわいいものを見たときについ頬が緩んでしまうように、かわいいと面白いは近い感情にあると思っています。

では、先に挙げたゾウの連想から、主観の回答を作ってみましょう。鼻を頭に乗せている様子が、人間でいうところの「頭を抱える」ようにも見えるので、焦りや困惑の感情を乗せて......

【回答】地球支えるシフト俺だっけ!?

最後に連想した「平面の地球を支える」から、このような回答にしてみました。「ゾウが平面の地球を支えている」というのは古代インドで伝承されていたとされる宇宙観で、多少のインテリジェンスを要求しますが、壮大な話なだけにゾウの焦りがまざまざと感じられるようになったと思います。

 

猫

続いて、写真Bのネコの写真でも同様に、回答を作っていきましょう。まずは連想です。

【ネコから連想するもの】
ペット、猫じゃらし、マタタビ、魚、猫カフェ、わがまま、長靴をはいたネコ、干支になれなかった、シュレディンガーのネコ......

次は写真のネコから感情を読み取ります。驚きの感情が強いように思えます。先の連想の中から、驚きと親和性の高そうなものをピックアップして......

【回答】干支の入れ替え戦あったの!? 呼べよ!

「ネズミに騙されて干支になれなかった」という昔話から、このような回答にしてみました。せっかくこちら側を見ながら驚いてくれているので、「呼べよ!」と訴えかけるようなセリフも追加しました。

 

「写真で一言」の思考回路② 無関係な要素も用いる

ここまでは、前回解説した「連想」から主観の回答をする手順をお伝えしました。

連想で導き出せるワードは、お題の要素と親和性、類似性の高いものですが、「写真で一言」はその自由度の高さゆえ、一見関係のなさそうなワードからも、回答を作り出すことができます。

写真Aのお題に戻って、一つ回答を作ってみました。先ほどと違って俯瞰の回答ですが、例えばこんな......

【回答】ゾウにかかる税金『ゾウよ税』がすごくて扶養外れた

「ゾウにかかる税金」みたいな説明部分はダボついているので省いて、整えてみてもよいでしょう。

この回答は、ゾウと贈与税をかけた単なるダジャレです。この2つに直接的な関係は一切なく、連想では絶対結びつかないワードです。「ダジャレになっている」程度の薄いつながりでも回答として成立する自由度も、「写真で一言」というフォーマットの魅力と言えるでしょう。

写真Bのネコでも、同じように回答を作ってみましょう。

【回答】紅(くれにゃい)だーーー!!!

もはやダジャレと言い張るのもギリギリですが、勢いも助けて、回答として成立しています。

 

最後に写真Cではどうでしょうか。一見すると主婦が床に寝転がっている様子ですが、そう決めつけてしまっては広がりが生まれません。

【回答】ご覧の通り、本日のお料理教室は中止で~す

写真の女性が先生に見えなくもないですが、直接的にお料理教室を連想させるような要素は、一切ありません。その要素の無さを逆手にとって、「お料理教室は中止」という回答にいたりました。

元々何の関連性もない回答を「そう言われればそう見える」と思わせるのが、「写真で一言」というフォーマットの懐の深さと言えるでしょう。では、こういった回答はどうでしょうか。

【回答】カレーぜんぶこぼしちゃった。引っ越しましょ。

写真にはカレーの「カ」の字もありませんが、こう言われたら人は自然と、写真の延長線上にカレーのこぼれた床をイメージしてしまいます。そしてひとたびイメージがつけば、写真の範囲のきれいな床も、カレーの汚れを際立たせる、ギャップの役割を果たしてくれます。

このように、写真に写っている内容だけにとらわれずに回答を作ることを心がければ、その幅は広がっていきます。情報が少ないことはすなわち、それだけ想像の余地があるということです。

今回は「写真で一言」の回答の作り方を解説しました。途中でも述べましたが、「写真で一言」は、SNSなどでも頻繁に遊ばれているフォーマットです。今回の内容を活かして、ぜひ挑戦されてみてはいかがでしょうか。

大喜利のコツ

 

【寺田寛明(てらだ・ひろあき)】
お笑い芸人。1990年、埼玉県生まれ。マセキ芸能社所属のピン芸人。2021年より、4年連続「R-1グランプリ」決勝進出。10年以上に渡り、大喜利ライブ『大喜利千景』を主催している。芸人のほか、現役の塾講師としての顔も併せ持つ。

 

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