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自然とオフィスに人が集まる? カード1枚の福利厚生が社内交流を変える

栗田廉([株]miive 代表取締役CEO)

福利厚生がカード1枚で完結? 日常に溶け込む最新システムを紹介

福利厚生は、従業員の定着や社内コミュニケーションにもつながるという。「miive」を手掛ける栗田氏が、これからの福利厚生のあり方を語る。(取材・構成:川端隆人、写真撮影:丸矢ゆういち)

※本稿は、『THE21』2026年秋月号の掲載記事より、内容を抜粋・編集したものです。

 

Visaプリペイドカードで日常で使いやすい福利厚生を

――御社のサービスの概要を教えてください。

【栗田】miiveは、Visaプリペイドカードとスマートフォンアプリを使った福利厚生のプラットフォームです。

企業は、miiveを使って、従業員に提供したい福利厚生を柔軟に設計し、その内容に応じたポイントを、従業員一人ひとりが持つ専用のVisaプリペイドカードに付与します。

従業員は、そのカードで決済するだけで、会社が用意した福利厚生を利用することができます。

例えば食事補助なら、会社が対象店舗や利用条件をあらかじめ設定しておき、従業員はその店舗で、カードで支払うだけ。付与されたポイントをそのまま食事代に充てられる、という仕組みです。

多くの企業が従業員に福利厚生を提供していますが、利用率が低いという問題があります。miiveでは、カード決済によって、福利厚生を日常で使いやすいものにしています。

――食事補助に特化した「miive食事補助」というプランも提供しています。福利厚生として食事補助を行なっている企業が多いのですか?

【栗田】現在、500社を超える企業にmiiveをお使いいただいていて、その6割ほどが食事補助を行なっています。

理由の一つは、今年4月に施行された税制改正です。

食事補助は、従業員が食事代の50%以上を自己負担していれば、一定金額まで、会社負担分に所得税がかからない制度です。この非課税枠の上限が、月3,500円から7,500円に引き上げられました。これが、企業・従業員の双方にとって大きなメリットになっています。

例えば、5,000円を給与に上乗せして現金で支給すると、所得税がかかります。一方、5,000円分の食事補助だと、税金を引かれずに従業員のもとに届くわけです。

また、インフレ下にあって、従業員の生活を守る必要があると考えている企業は多くあります。とはいえ、給与は上げづらい。一度引き上げた給与は、仮に業績が下がった際にも下げるわけにはいかないからです。

しかし、食事補助であれば、制度を柔軟にコントロールできるうえ、従業員の可処分所得を最大限に高めることができます。

 

食事とコミュニケーションが人と組織を元気にする

――食事補助は現在の経済環境にマッチしているのですね。

【栗田】それに加えて、食事が最も「原始的」で「普遍的」なものだから、という理由もあると思います。老若男女、職種や働き方を問わず、誰でもご飯は食べますから。

miiveによる福利厚生は、会社の目的や「思い」によって、柔軟に設計できます。

例えば、「従業員に健康的な食事をしてほしい」という思いがあれば、そうした食事ができる店で利用できるようにする。

最近はリモートワークと出社を組み合わせた働き方の会社も多いですよね。なかには、会社としては出社率を高めたいけれども、強制するとハレーションを起こしてしまう、というケースもあるでしょう。

その場合は、オフィス周辺の飲食店限定で食事補助を利用できるように設定することで自主的な出社を促す、といったこともできます。

また、「皆でご飯を食べて、交流を深めてほしい」という目的があれば、複数の従業員が一緒に食事をする際に利用できるようにする。miiveでは、「3人以上でランチに行った場合のみポイントを使える」といった条件も簡単に設定できます。

話が広がるのですが、従来、日本の福利厚生は「箱物型」が中心でした。保養所を利用できたり、映画館の料金が割引になったり、といったものです。

これらは、終身雇用制度や家族的経営が前提だった昭和・平成の時代において、従業員の家族や余暇まで支援する、当時の社会構造にマッチした仕組みだったと思います。

ただ、現代の働き方は根本から変化しています。転職が当たり前で、1社に在籍する期間が3~4年程度ということも珍しくない。そうなると、福利厚生に対する考え方も変わらざるを得ません。

年に1回使うかどうかの保養所よりも、日々の「従業員体験」をいかに豊かにできるかが重要です。より日常的に頻度高く従業員が利用し、制度を通じて「良い会社だな」と感じてもらえる施策が求められています。それが、定着率向上や採用にもつながります。

例えば、社内で話したことがなかった5人、あるいは10人とランチに行けば、1人くらいは意気投合して仲良くなる人が見つかって、会社で働くのが楽しくなるんじゃないでしょうか。

朝起きて、眠い目をこすりながらでも、ちょっとポジティブにオフィスに向かえるようになったり、「あの人が頑張っているから自分も頑張ろう」と思えたりするようになるでしょう。

実際、ある1,000名規模のIT企業でmiiveをご導入いただいた事例では、導入からわずか半年間で2,000回もの新しい社内コミュニケーションの機会が生まれました。

福利厚生が、働く意味を見出す助けになる。そんな手応えを感じています。

福利厚生プラットフォーム「miive」

プロフィール

栗田廉(くりた・れん)

㈱miive 代表取締役CEO

1997年生まれ。岐阜県出身。就職活動時の「福利厚生」への違和感から、2020年に㈱miiveを創業。人的資本経営を支える次世代の福利厚生プラットフォーム「miive(ミーブ)」を展開。日本の閉塞感を打ち破るべく、「働く」すべての人の未来を創造する事業を拡大中。2022年すごいベンチャー100、Forbes 30 Under 30 Asia 2023選出。ソフトバンクアカデミア15期生。

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