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50代の副業に特別な才能はいらない 成功に近づくためのシンプルな3ステップ

財部優次郎([株]まる優 代表取締役)

財部優次郎

新たな収入の柱として、副業を検討しているビジネスパーソンも多いだろう。今回は㈱まる優代表の財部優次郎に、50代のビジネスパーソンに焦点を当て、副業を始めるうえでの注意点やポイントについて解説してもらった。

 

50代会社員が直面する「静かなリスク」

「副業を始めたいが、何から手をつければいいのか分からない」

そう感じている50代の会社員は、決して少なくありません。役職定年や収入減、社内での役割の縮小は、突然ではなく、静かに進行していきます。会社に依存し続けることへの不安を感じながらも、具体的な一歩を踏み出せない人が多いのが実情です。

実際に、医療資材や設備、教育分野など複数の事業を立ち上げてきた中で、私は多くのビジネスが「相談」を起点に生まれ、継続してきた現場を見てきました。副業についての相談も、この数年で明らかに増えていますが、特に多いのが50代の方々です。

しかし、多くの人が副業を考える際、最初の一歩で共通した“思考のズレ”によってつまずいてしまいます。それは、「何か面白いアイデアはないか」「好きなことを仕事にできないか」といった発想から始めてしまうことです。

一見すると前向きな考え方ですが、このアプローチから始めた副業は、ほとんどの場合うまくいきません。理由はシンプルで、需要から出発していないからです。本記事では、そのポイントを明らかにしながら、50代からの副業を現実的に成立させるための考え方について解説していきます。

私がこれまで複数の分野で事業を立ち上げ、継続して収益を生み続けているものには明確な共通点があります。それは、例外なく「相談」から始まっているという点です。この原則は、会社員が副業を始める場合にもまったく同様に当てはまります。

 

あなたはすでに「副業の種」を持っている

実は多くの人が、自分では気づいていないだけで、すでに副業の種を持っています。これまでの仕事の中で、部下から繰り返し質問されることや、同僚や他部署から頼られる場面、あるいは取引先から相談を受ける機会があったはずです。

これらは単なる日常的なやり取りではなく、そこには必ず「困っている人」が存在しています。相談が発生しているということは、課題が実在し、その解決に対するニーズがあり、それが継続的に発生しているという状態がすでに成立しているということです。

つまり、相談されている時点で、その領域にはすでに市場が存在しており、「売れるかどうか分からない副業」ではなく、「売れる前提がある副業」として成立する可能性を持っているのです。

一方で、「やりたいこと」から始めた副業はどうなるでしょうか。本当にお金を払う人が存在するのかが見えず、最初の顧客像も曖昧なままスタートすることになります。その結果、方向性が定まらず、気づけば時間だけが消耗していくという状態に陥ります。

そして多くの場合、「思ったより稼げない」「続かない」「最終的にはやめてしまう」といった結果に至ります。つまり、時間だけを費やしながら収益化に至らないケースがほとんどなのです。

 

50代の副業は「挑戦」ではなく「リスクヘッジ」

50代にとって、副業は新たな挑戦ではなく、あくまでリスクヘッジとして位置づけるべきものです。会社に依存した状態から徐々に離れ、収入源を分散させていくための現実的な手段として捉える必要があります。

だからこそ、「やりたいこと」ではなく、「すでに求められていること」から始めるという視点が重要になるのです。

では、具体的にどのように進めていけばよいのでしょうか。50代からの副業は、非常にシンプルな三つのステップで考えることができます。

まず第一に、これまで受けてきた相談を書き出すことです。内容の大小に関わらず、繰り返し聞かれることや頼まれることを整理していくことで、自分自身の価値が可視化されていきます。

次に、それらを小さく引き受けてみることが重要です。最初から収益化を急ぐ必要はなく、場合によっては無償でも構いません。単発でも実際に提供してみることで、それが価値として成立するかどうかを確認することができます。

そして最後に、本業とどのようにクロスさせるかを考えます。副業を単独で切り離して考えるのではなく、これまでのキャリアや人脈と結びつけることで、副業は単なる一時的な収入源ではなく、「第二の柱」として機能し始めます。

50代には、若い世代にはない明確な強みがあります。それは、これまで積み上げてきた経験や人脈、そして業界に対する深い理解です。これらは、ゼロから何かを始める人には決して持ち得ない、大きな資産です。

にもかかわらず、それらを活用せずに新しいことを一から始めようとするのは、非常にもったいない選択です。副業のヒントは外にあるのではなく、すでに自分の足元に存在しています。

繰り返し相談されていることや、無意識に対応していること、「それはどうやっているのか」と他者から問われること。これらを「仕事として成立するか」という視点で見直すだけでよいのです。

副業とは、特別な才能や斬新なアイデアを必要とするものではありません。すでに自分が持っている価値を、適切な形で提供することに他なりません。

50代は、「これから何かを成し遂げる年齢」というよりも、「これまで積み上げてきたものを回収する年齢」です。

やりたいことを探し始める前に、一度立ち止まり、自分がこれまで誰に対して、どのような価値を提供してきたのかを思い出してみてください。そこにこそ、会社に依存しない人生を築くためのヒントが存在しています。 

プロフィール

財部優次郎(たからべ・ゆうじろう)

株式会社まる優 代表取締役

福岡県久留米市出身。23歳で“知恵の商社”まる優を創業し、医療資材、工場設備、教育、人材、環境分野など多角的に事業を展開する起業家。布団の訪問販売では、顧客ごとにニーズを診る「処方型営業」で19歳にして月収100万円を達成。

創業後は、顧客の「こんなものはないか」という声に応えながら新規事業を立ち上げ続け、地域の課題解決に取り組んできた。コロナ禍ではマスク不足に対応し、1週間で4,000件の供給体制を構築。海外取引の損失2億円を半年で巻き返すなど、“逆境を力に変える”高いAQの持ち主として注目されている。
株式会社まる優 会社HP: https://maruyu.net/

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