THE21 » マネー » 杉村太蔵「大事なのはいつ買うか」 高値づかみを恐れない投資プロの心得

杉村太蔵「大事なのはいつ買うか」 高値づかみを恐れない投資プロの心得

杉村太蔵(タレント・元国会議員)

「THE21」杉村太蔵

株と不動産で数億円の富を築き、「投資のプロ」を自認する杉村太蔵氏。「資産運用をするかしないかで中間層が二極化するのでは」と危惧する同氏に、投資を始めるタイミングや心構えなどを聞いた。(取材・構成:坂田博史)

※本稿は、『THE21』2026年4月号第1特集[仕事と投資に役立つ! 経済ニュースの読み方]より、内容を一部抜粋・再編集したものです。
※前後編の後編です。

※本稿は2026年3月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。

 

「いくら」で考えてはダメ 給与と配当の両取りを目指せ

――お話を聞いて、株式投資をやってみたくなりました。ただ、すでに日経平均5万円を超えている状況なので、高値づかみになるのではないかという怖さもあります。

【杉村】よくわかります。なかなか投資を始められない人は、日経平均が3万円台を回復したら、「今が一番高くて今後は下がるんじゃないか」と思い、4万円台になったときも、5万円台になったときも同じように思ってしまう。株価が下がったら買おうと考える人は、いざ下がったら「もっと下がるんじゃないか」と思ってしまってやっぱり買えない。「いくら」で考えているうちは、資産運用はできません。

大事なことは「いつか」です。私は投資のプロを自認していますが、「いくらで買う」「いくらで売る」とは考えていません。「いつ買うか」「いつ売るか」を考えています。

例えば、投資に回せる余剰資金ができたときが買い時。老後資金のための投資であれば、老後になったときが売り時です。

――確かに、「いくら」で考えていたら、いつまでたっても買えそうにありません。

【杉村】私が今危惧しているのは、日本経済を支えてきた分厚い中間層が、10年後、20年後には、「中の上」と「中の下」に二極化してしまうのではないかということです。

その大きな分かれ目は、資産運用をするか、しないか。給与所得をずっと銀行に預けて何の資産運用もしない人は中の下へ下がっていき、逆に、余剰資金で資産運用をする人は中の上へと上がっていく。なぜなら、前者は給与所得だけですが、後者は給与所得に加えて配当所得を得ることができるから。二つのインカムがあるかないかで、中の上と中の下に分かれていくのではないか。だとしたら、「いくら」で考えるのをやめ、「いつ買うか」を決めることです。

前述したように、日本は高度経済成長期に入っているので、これから株を買っても遅いということはありません。繰り返しますが、投資に回せる余剰資金ができたときが、その人の買い時だと思います。

――では、余剰資金ができたとき、どういった企業の株式(銘柄)に投資すればいいのでしょうか。

【杉村】私は、資産運用には「資産形成」と「投資」の二つがあると考えています。この二つは目的が違います。資産形成は、老後資金など自分たちのために行ないます。他方、投資は、社会課題解決のためです。

ですから、自分たちの資産形成に適した銘柄と、世の中を変えていく投資に適した銘柄とは、当然ながら違います。詳細については拙著を読んでもらいたいのですが、例えば、資産形成が目的なら、配当金が3%程度得られる銘柄を選びます。配当金が生活費のプラスなりますし、複利で運用すれば、資産を2倍にすることもそれほど難しいことではありません。

また、銘柄を選ぶときには、自分が就職したいと思う企業、あるいは自分の子どもや孫が就職してほしい企業を選ぶことを強くお勧めします。実際、自分のお金は自分の子どものようなもので、投資先は就職先のようなものです。投資先企業に大きく育ててもらって帰ってこいよと送り出す。「できたら、年2回、配当という仕送りを送ってね」と。資産形成は、こうした感覚で行なうと良いのではないでしょうか。

 

資産運用しながら国を成長・発展させる

――新NISAがスタートして、全世界の株式の指数やアメリカ「S&P500」に連動する投資信託が人気を集めています。

【杉村】私は「オルカン(オール・カントリー)」や「S&P500」などの投資信託を買うことは、新手の貯金だと捉えており、資産形成として有効なことは間違いありません。

ただ、これらの投資信託を買うことは、私の定義では投資ではなく、あくまで資産形成の手段です。投資は、社会の未来を信じ、価値ある会社にお金を託すことで、その成長を応援する。そのうえでしっかり利益を出すことです。

さらに言えば、自分の国を成長させる、発展させることが資産運用の原点にあると私は考えています。なので外国株式指数に連動する投資信託は積極的には推奨していません。

また、冒頭に述べた通り、日本は第2次高度経済成長期に突入しました。すでに物価が上がっていますが、今後、おにぎり1個が1000円になる日が来るかもしれない。かつての高度経済成長期、うどん一杯30円が300円になったわけですから。であるなら、大きな成長が望める日本へ投資したほうがいいのではないでしょうか。

――日本の成長のために、自分のお金を託す。ものすごく共感します。

【杉村】私はこれまで、数々の資産形成や投資に関する本を読んできましたが、私のやり方が今の日本人には一番合うと思っています。

日本政府が今何を考え、これからどうしようとしているのか。それらを把握し、日本の社会課題解決に適した企業を投資先として選ぶ。これが私たちの資産を託す、最も良いやり方なのではないかと思っています。

そのために、各企業のホームページは見るべきです。その企業が何を目指しているのか。経営者の戦略がどのようなものか。それと骨太の方針が合致しているかどうか。こうしたことをチェックして投資先を選ぶことが大事になります。

資産運用のために政策に関心をもつ。政策に関心をもつということは政治に関心をもつということ。政治に関心をもつということは良い有権者になるということです。資産運用を通して、良い有権者が一人でも増えてくれたらいいなと思って、今回私は本を書かせてもらったのです。

――政治や政策に関心をもつことが、自分の資産運用のためにも、日本の将来のためにもなるのですね。

【杉村】そう思います。本では伝え切れなかったことも多々あったので、今年になって「杉村太蔵の〝実務〟日本経済講義」というYouTubeチャンネルを始めました。

私は日本政治の歴史を学ぶために、歴代総理大臣の施政方針演説を研究してきました。YouTubeでは、初代伊藤博文が議会開設前に行なった演説も解説しています。前述した第2次高度経済成長期や経済財政諮問会議について解説する動画などもアップしていますので、より詳しく知りたい人は、ぜひチェックしてみてください。

杉村太蔵「THE21」

プロフィール

杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)

タレント・元国会議員

1979年、北海道生まれ。筑波大学中退後、清掃員を経て外資系証券会社に勤務。2005年9月、自民党公認候補として衆議院議員選挙に立候補し、当選。現在はタレントとして「サンデー・ジャポン」などで活躍。株式投資で多額の利益を上げる他、商社「杉村商事」の社長でもある。近著に『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(文藝春秋)がある。

THE21の詳細情報

関連記事

編集部のおすすめ

なぜ投資知識が豊富な人が騙される? SNS投資詐欺約3,000件が示す「巧妙な罠」とは?

ウェルスナビ

ヒト型ロボットが予感させる 「働かずに年収2000万円」の未来

鈴木貴博(経済評論家、経営戦略コンサルタント)

「55歳からの投資」 定年5年前に始めるべき3つの理由とは?

川口幸子(金融コンサルタント)

「インフレ率10%超えもありえる」元モルガン銀行東京支店長が危惧する最悪のシナリオ

藤巻健史(元米モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)在日代表兼東京支店長,前参議院議員[2期])