2013年02月05日 公開
2022年12月08日 更新
『THE21』2013年3月号の[総力特集・「いい仕事」が出来る人の条件]では、業界や立場の異なる6人の方々に、自らの経験に基づく「いい仕事の条件」を語っていただいた。
山本真司(経営コンサルタント):不安を取り除いて「心の余裕」を作る
北尾吉孝(SBIホールディングス社長):「知る」から始めて、「楽しむ」境地へ至る
大西 洋(三越伊勢丹ホールディングス社長):異質なものを受け入れて、積極的に変化を求める
斎藤 泉(日本レストランエンタプライズ アドバイザー):ミスやトラブルからでも成長の種をつかみ取る
名越康文(精神科医):仕事がスタートする「朝」から根本的に見直す
森永卓郎(経済アナリスト):創意工夫を凝らしながら“遊ぶ”ように働く
ここではそのまとめとして、彼らビジネスの賢人たちに倣い「ひとつ上の働き方」をめざすために、大切にしたいポイントを解説しよう。
多くの人が、自分の仕事に不満を抱えている。「いい仕事」をめざすには、この「マイナス要素」を取り除くことが必要だ。
「仕事量が多い」「収入が少ない」「上司とウマが合わない」……山ほどあるだろう。大事なのは、その気持ちにふたをしないこと。カリスマ新幹線販売員の斎藤泉氏が不満をきっかけに改善をスタートしたように、それが自分を変える契機になる。
たとえば、紙に書き出してみればいい。不満の出所を突き止め、それを解消する具体的な方法を考える。精神科医の名越康文氏がいうように、体調を整える必要もあるかもしれない。
「仕方がない」で片づけてはいけない。不満にしっかりと向き合って、それを「行動」に転換することが大切だ。
ただ仕事をこなすだけでは、大きな成果も、深い満足も得られない。ビジネスの全体像のなかに自分の仕事を位置づける「戦略的視点」が必要になる。
とはいえ、急に仕事の全体像がみえるようにはならない。だからまず、自分の仕事が誰のどんな役に立っているのか、会社のなかでの役割は何かなど、身近なところから再考してみよう。
そして、経済アナリストの森永卓郎氏が、取引先の知見を深いめたように、少しずつ枠を広げていく。すると、自分の仕事の意味づけが変わってくる。
それと同時に、「原点」に帰ることだ。三越伊勢丹ホールディングス社長の大西洋氏が店頭に立つのも、広い視点をもちつつ、仕事の原点を確認するためだ。ビジネス全体を見渡す鳥の目と、目の前の仕事を大切にする虫の目があれば、どんな場面でも判断に迷うことはない。
多くの仕事は「与えられる」ことから始まるが、ビジネスの賢人たちはもちろんそこに留まらない。森永氏が、タバコの梱包作業を工夫してやったように、彼らはどんな単純作業にも、改善の余地を見出していく。
「どうやったらもっと早くできる?」「もっと安くするには?」「もっと楽しくできないか?」……さまざまな観点から仮説と検証を繰り返す。その過程を通じて、「与えられた仕事」を「自分のもの」にしていくのだ。
この努力があるからこそ、彼らは「あなたでないとできない」といわれるような仕事ができるのだ。
経営コンサルタントの山本真司氏がいうように、エゴに基づく働き方は、意外に長続きしない。誰だって家族や仲間から力をもらったことがあるはず。人は自分ではない誰かのために働いたときに、もっとも深い喜びを感じることができるのだ。
山本氏は「利他欲」と表現しているが、これがさらに高まっていくと、「公のために働く」という意識が芽生えていく。
SBIホールディングス社長の北尾吉孝氏は「経営に伴うのは、楽しさというよりも、重い責任感だ」と語るが、その責任感を果たせるのも、そこに「深い喜び」があるからに違いない。
公のために働く喜び、すなわち、「天命に従う喜び」を求め続けることが、「いい仕事」をするための王道なのだろう。
2013年2月号の読みどころ
ビジネスマンは誰でも「成果」を求めています。しかも、できれば「楽しく」、そして「意義ある結果」を残したいと考えています。でも、そういう「いい仕事」ができている人は、意外と少ないのかもしれません。では、どのように考えて、どのように行動すれば、周りの役に立ち、自分の成長につながる働き方ができるのでしょうか。今月号では、ハードな仕事をこなしながら「働く意義」を見い出してきた各界の「ビジネスの賢人」たちにそのヒントをうかがいました。
更新:11月25日 00:05