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最高難度のFP1級に合格! サバンナ・八木真澄さんが教える「世界一ゆるい勉強法」

2025年10月21日 公開

八木真澄(お笑い芸人)

八木真澄

人気お笑い芸人として全国を飛び回る傍ら、資格勉強を続けて超難関資格・FP(ファイナンシャルプランナー)1級を取得した八木真澄さん。「もともと勉強は苦手だった」という八木さんは、問題を図にしたり、テキストを拡大コピーして視覚的に理解しやすくするなど、独自の「世界一ゆるい勉強法」を編み出したといいます。本稿では、ストレスなく学びを続けるための秘訣を伺いました。(取材・構成:横山瑠美)

※本稿は、『THE21』2025年10月号の内容を一部抜粋・再編集したものです。

 

資格取得の期限は決めない! 合格まで試験もルーティン化

勉強継続の秘訣はゆるさにあり

【八木】無理なく勉強を続けるために1日の勉強時間や勉強量は決めず、とにかく勉強をルーティンにすることを心がけていました。

――「勉強がルーティン」と聞くだけで気が重くなるのですが、具体的にはどのように? 

【八木】人によってそれぞれだと思いますが、僕の場合は「今日は勉強の日」「明日は休日」ときっちり分けるほうがストレスになるんです。

365日、小さな努力を続けるほうが苦にならないんですよ。

ただ、仕事がありますから、勉強時間は決めていません。2問しか解けない日もあれば、6時間勉強する日もある。それでいいと思っています。

「今日はここまで終わらせる」というノルマもないですね。だから、勉強のストレスは本当にないんです。

逆に言うと、家族旅行のときも勉強しています。飛行機の中でテキストを読んだり、朝早く目が覚めたら問題を解いたりね。

試験前日に根を詰めて勉強したりもしません。いつも通り無理なくやって、予定が入れば夜、飲みにも行きます。

――試験前夜に飲みに⁉

【八木】行きますよ。

高校や大学の受験勉強みたいに試験日から逆算して勉強したり、「いつまでに資格取得!」と目標を立てたりする人は多いんじゃないかと思います。ただ、その通りに勉強が進めばいいですが、そうじゃなかったときに試験日が来たらつらいですよね。

だから、僕は試験もルーティン化していました。勉強が予定通りに進んでいようがいまいが、試験日が来たら受けるんです。FP1級の学科試験は4回受けて、3回落ち、4回目で合格しました。

ただし、試験当日は一切勉強しません。脳が疲れますから。移動時間や休憩時間にテキストを見ることもしないですね。

 

あえて新幹線「こだま」に乘り、その時間を勉強に充てたことも

――勉強をストレスにしなかったのが合格の秘訣だったのですね。ただ、普段はお仕事で全国を飛び回っていますよね。勉強時間の確保が難しかったのでは?

【八木】そうでもなかったです。僕は勉強はとにかく細切れに、スキマ時間でやることを意識しているんですよ。芸人の仕事には移動時間や待ち時間が必ずありますから、それを活用していました。

例えば、時間に余裕のあるときはあえて東京­­­―新大阪間が4時間かかる新幹線「こだま」に乗り、その時間を勉強に充てるんです。早めに現場入りして、近くの喫茶店で勉強したこともあります。もちろん10分、30分といった短い空き時間でも活用する。ジムではずっとFP勉強用のYouTubeを聞いていました。

ただし、計算問題だけはまとまった時間が必要なので、まだ脳が疲労していない朝の時間を確保して取り組んでいます。5時起きして、脳が一番フレッシュな朝の時間帯の2~3時間を使って、計算問題にじっくり取り組んでいました。

――自分のやりやすい方法で勉強を続けてこられたのですね。4回目で合格したとき、いかがでしたか。

【八木】やっぱり嬉しかったですね。ただ、1級は学科のあとに実技試験が控えていましたから、その対策が心配で、手放しでは喜べませんでした。何とか実技は初回で合格できましたが。

――八木さんのFP1級取得はメディアでも話題となりました。お仕事に変化は?

【八木】ありましたね。TBS「Nスタ」や「ABEMA的ニュースショー」といった報道・情報番組のコメンテーターとして呼んでいただいて。資格がなければ、こういうお仕事は絶対にいただけなかったと思います。

多いのは、講演会のお仕事です。銀行員の方向けにFP取得の体験談をお話ししたり、JAさん主催の会では相続税のお話をしたり。商工会議所では経営者の方向けに営業の極意と資産運用のお話を、住宅展示場のトークショーではファミリー層の方々にお金の知識をお伝えしたりもしました。

――狙い通り、お仕事の幅が広がったのですね。

【八木】本当にありがたいことです。ただ、資格はあっても90分の講演をするためには相当の準備が必要ですし、勉強すればするほど、「まだまだわからないことだらけだな」「生半可な知識でしゃべってはいけないな」と怖くなることもあります。

僕はFPといってもやっと白帯から青帯になったレベルです。もっと成長していつかは黒帯になりたいですね。

 

学生より社会人のほうが資格取得では有利なことも

ミドルならではのメリット

――資格取得を目指したが続かなかったというビジネスパーソンは少なくありません。どうしたら継続できるでしょうか?

【八木】勉強を「趣味」にすることですね。娯楽と思って楽しくするのが一番いいと思います。

ただ、どんな勉強法が合うかは人それぞれですから、僕のやり方が万人に合うとは限りません。人間嫌なことは続けられませんから、自分がどういう性格かを冷静に見て、自分に合ったストレスのない勉強法を見つけてみてほしいと思います。一度時間を取って、最初から難しい資格に挑戦していないか、無理な勉強をしていないか、振り返ってみてもいいかもしれません。

ジムで挫折しがちな人は、最初から2時間とか頑張りすぎる人なんです。最初は良くても、天気が悪かったり、ちょっと足が痛くなったりしただけでもう行かなくなってしまう。勉強がしんどいなら、やり方を変えたほうがいいと思います。

資格勉強は時間がふんだんにある学生のほうが有利と思うかもしれませんが、実は社会人のほうが有利なこともあります。それは「受かっても落ちても状況があんまり変わらない」ということです。

ビジネスパーソンは仕事もあるし、すでに結婚していて家族がある人もいる。ほとんどの人は試験に落ちたからといって、生活がガラッと変わるということはないんじゃないでしょうか。そういう意味では学生さんのほうが、受けるプレッシャーは大きいかもしれない。資格の有無で就職先が変わり、その後の人生も大きく変わってくる可能性が高いですよね。

だから、受かっても落ちても何も変わらないという安心感を持って、時間がかかっても自分が納得する勉強をしてほしいなと思います。僕もまだまだ勉強を続けるんで、皆さんも諦めないでほしいですね。健闘を祈っています!

 

【八木真澄(やぎ・ますみ)】
お笑い芸人。1974年生まれ、京都府出身。吉本興業所属。93年、高橋茂雄とお笑いコンビ「サバンナ」を結成。趣味はトレーニング、空手、柔道など。特技はギャグ。2022年からFP(ファイナンシャルプランナー)の資格勉強を始め、24年、最高難度のFP1級を取得した。近年は、資格を活かした講演やテレビ出演も増加している。著書に『FP1級取得!サバンナ八木流 お金のガチを教えます』(KADOKAWA・ ほんださん(本多遼太朗)と共著)などがある。

 

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