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価格高騰する東京の物件 これから始める“不動産投資”を成功に導くには?

2024年09月02日 公開

玉川陽介(個人投資家)

不動産投資の疑問

不動産投資に興味はあるけれど、投資金額も大きいし、不安でなかなか一歩が踏み出せない──そんな人も多いだろう。『THE21』2024年9月号では、まずはほかの投資とは異なる不動産投資ならではのポイントを学ぶべく、100億円を超える資産を運用中の個人投資家・玉川陽介氏に、不動産投資初心者が抱きがちな疑問をぶつけてみた。

※本稿は、『THE21』2024年9月号特集「老後のお金『これで安心!』講座」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2024年8月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。

 

不動産投資を始めるべき2つのタイミング

Q1.2024年現在、不動産価格は上昇傾向にあります。この傾向は今後も続くのでしょうか?いま始めても大丈夫ですか?

A.一般論で言えば、利上げやテーパリング(量的金融緩和の縮小。インフレのリスクが高まるときに実施される)は不動産市況を冷やすために実施するものなので、金利上昇局面でも不動産価格がずっと上がり続けるということはありません。

また、現在の都心のタワーマンションなどは、中華系からの需要で沸いている面もあるので、いまからの長期投資には適さないと思います。しかし、個別に選別すれば、勝機はあると考えています。

例えば、郊外の一棟マンションなどにはまだ投資妙味がありますし、借入金利を大きく上回る純利回りの物件を見つけることができればコアプラス型投資は成立するので、検討してもいいでしょう。金利は上がるとは言っても急騰する可能性は低いので、まだしばらくは不動産投資でスプレッドを得られる日々が続くと思います。

 

Q2.不動産投資に「始めどき」があるとすれば、それはどんなときですか?

A.一つはスプレッドがプラスのときです。保有しているだけで利益が出るため、初心者でも手掛けやすいでしょう。ただし、計算上、スプレッドがプラスになるパターンは、いくつかしかありません。

一つは、賃貸利回りが高く、借入金利が低いとき。コロナ禍前の東京が該当しますが、いまはなかなかないパターンです。もう一つは、金利は高いが賃貸利回りも高いとき。大阪郊外などが該当します。大阪には「金利が高い&借りやすい」という特殊な金融機関があるのですが、東京ではそうした金融機関は少なく、「低金利&狭き門」という組み合わせが基本です。

では、不動産市況が落ち着くまで気長に待つべきか、というと、そうとは限りません。不動産投資を始めるなら、「少しでも早い時期に」をお勧めします。

というのも、現在の低金利ならば、物件を保有しているだけで利益が生まれます。そのため、早く購入して利益を蓄積することにより、将来の価格下落を計算に入れても、まだ利益超過となることもあります。将来、買いたいときに融資が出るとも限りません。買えるときに買うのは悪くありません。

 

東京と地方の物件、いま買うならどっち?

Q3.賃貸ニーズの高い東京の物件がお勧めとよく聞きますが、物件価格が上がり続けて、普通の会社員には手が出しにくくなっているように思えます。いまから始めるなら、東京以外の物件のほうがいいですか?

A.東京近郊で良い利回りを得られる物件が減っていることは間違いありません。しかし、神奈川県、埼玉県、千葉県など、「大東京圏」までを含めれば、まだ計算が合う物件を見つけることはできます。また、大阪、名古屋、仙台など、東京以外の都市にも、土地勘があれば進出してもいいでしょう。私も近年は、東京よりも大阪の物件を多く買っています。

東京の物件のメリットは、東京在住の方なら、近いので管理が容易なこと、地元の金融機関で融資を得られることが挙げられます。また、賃貸需要が尽きないこと、どこを買ってもはずれが少ないので、高度で専門的な判断をしなくても良い点は初心者向きとも言えます。

一方で、すでに物件価格が高騰しており高止まりしていることが、最大のデメリットと言えるでしょう。地方物件のメリットは、探せばまだ割安の物件もあり、シミュレーションで黒字を見込める物件が見つかりやすいことです。

ただし、居住地から離れたエリアの物件に共通するデメリットとして、地元の人でなければ賃貸需要の予測が難しいことや、融資を得られる金融機関の開拓が難しいことが挙げられます。地元をよく理解していなければ把握できない人の動きや需要が多く、土地勘のない人には見通しが困難なことが少なくないのです。

私が現在注目しているエリアは大阪です。東京よりも高利回り物件が多く、融資も出やすいからです。ただし、どこでも一等地と言える東京都心と違って、エリアの良し悪しが激しいので、物件の選別が難しいという面があります。

 

Q4.不動産投資で成功する人・失敗する人には、どのような共通点がありますか?

A.成功する人の共通点としては、自営業的な精神を持ち合わせていることが挙げられます。証券投資では投資家の努力がリターンに与える影響は限定的ですが、不動産は投資家の行動と考え方次第で結果が大きく変わります。

人脈を作る、ルールを学習する、金融機関と連携・折衝する、物件や財務情報を管理する――これらがうまくできるか否かが、不動産投資の向き不向きとも言えるでしょう。

また、不動産投資は、大きな金額でやったほうが、安定かつ高収益を得やすい特殊な投資であることも知っていただきたいところです。日本人にありがちな、失敗するリスクばかり考えるより、うまくいく夢を描いて行動したほうがいい。リスクを論じてやらない理由を唱え始めたらキリがない――これは、不動産投資に限らず、人生全般に言えることではないでしょうか。

著者紹介

玉川陽介(たまがわ・ようすけ)

個人投資家

コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ㈱代表取締役。1978年、神奈川県生まれ。学習院大学卒。大学在学中に情報処理受託の会社を創業し成長させる。M&Aにより上場会社に同社を譲渡後は、国内外の株式、債券、不動産など多様な種類を取引する個人投資家となる。現在は100億円を超える資産を運用中。主な著書に『不動産投資1年目の教科書』(東洋経済新報社)、『Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて』(技術評論社)などがある。

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2024年12月

THE21 2024年12月

発売日:2024年11月06日
価格(税込):780円

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