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“リスクが気になる人”のための不動産投資の始め方

2024年03月08日 公開

午堂登紀雄([株]プレミアム・インベストメント&パートナーズ代表取締役)

午堂登紀雄

不動産投資をきっかけに、様々な投資に幅を広げ、今では数億円の資産を築くことに成功した午堂登紀雄氏。「不動産投資に興味はあるが、なかなか一歩が踏み出せない」という人に向けて、「投資ローン」「空室リスク」「金利上昇リスク」といった懸念事項も含めて、投資へのアドバイスをうかがった。(取材・構成=坂田博史)

※本稿は、『THE21』2024年4月号特集「普通のサラリーマンが定年までに『お金の自由』を手に入れる方法」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2024年3月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。

 

中古ワンルームから私の投資人生は始まった

もう20年以上前の話になりますが、私はコンサルタントとして多忙を極めていました。深夜残業や土日出勤も当たり前。そんな働き方を3年も続けていると、いくら若くても疲弊してきます。もう少し時間に余裕のある働き方に変えたいと思いながら、辞める踏ん切りもつかず、あくせく働いていました。

起業への憧れもありましたが、具体的に何かやりたいビジネスがあるわけでもない。そこで、まずは経済基盤をしっかりさせなければと考えました。ただ当時、会社は副業禁止。株式投資をするにも、株式市場が開いている昼間に取引を行なう時間はありません。消去法で残ったのが不動産投資でした。

本を読むなどして勉強を始め、不動産会社が主催するセミナーにも参加。物件探しをするも、投資資金は70万円しかありませんでした。投資ローンを組むにしても、それほど高額な物件を買うことはできません。

そんな私でも買えたのが、都心の古い中古ワンルームマンション。約700万円のローンを組んで購入したのですが、「ノミの心臓」だった私は、それでも契約書に捺印する手が震えました。

現在は様々な投資を行なっており、3億円ぐらい借金がありますが、ハラハラドキドキするようなことはなく、心身ともに安定した生活を送っています。

不動産投資を実際に始めてわかったのは、信頼できる管理会社に管理を任せておけば、日常的に自分でやることはほとんどないということです。それでいて毎月少ないながらも入金があり、預金通帳の金額は増えていきます。他方、ローンの返済は入居者の家賃によって進み、残額は着実に減っていきます。

「これならもっと不動産を買ったほうがいい。ちまちまやっている場合ではない」。そう思った私は、それからアクセルをベタ踏みするがごとく、買えるだけの不動産を購入していきました。

借金に抵抗がある人、借金は怖いと思っている人が多いと思います。私もその一人でした。

それが「不動産投資では、借金を実質的に他人に返済してもらいながら自分の資産が増えていく」「つまり借金をしたほうが早く資産形成が進む」ことを実感した途端に、恐怖心が消えました。こればかりは、自分で体験してみないとわからないかもしれません。

 

買いやすく、売りやすい初心者向けの物件とは?

住宅ローンと投資ローンの比較

「自宅を購入する住宅ローンは怖くないけれども、投資目的のローンは怖い」と言う人がいます。私の考えは逆です。住宅ローンは自分の稼ぎで返済するので、何かの事情で働けなくなったら返済が滞ってしまいます。一方、投資ローンは自分がどんな状況であろうと、入居者がいれば返済が進むからです。

もちろん、空室だと自分のお金を持ち出して返済することになります。この空室リスクは、不動産投資における最大のリスクと言えるでしょう。私が最初の不動産投資物件を中古のワンルームにしたのは、毎月の返済額も少額なので入居者がつかなくても自分の給料で補填できると考えたからです。

また、都心には学校や企業が多くあり、地方から都心にやってくる人は後を絶ちません。私自身もそうでした。こうした単身者が最初に住むのが、賃貸のワンルームです。

ですから、都心のワンルームは入居率が高く、空室リスクが低い。ファミリータイプや一棟アパートに比べて価格も安いので買いやすく、何かの理由で売るときにも売りやすい。つまり撤退もしやすい。

不動産投資を始めてみたい初心者の最初の一歩として最適なのが、都心の中古ワンルームへの投資だと私は考えています。

将来的に人口減少が進んだら、都心といえども空室リスクが高くなるのではないか。このような心配をする人がいるかもしれませんが、それは杞憂に終わると思います。

なぜなら、人口減少はまず地方で進みます。都心の人口が減るのは最後の最後です。また、人口減少の中心は高齢者で、高齢者はほぼ持ち家です。持ち家の人口が減っても賃貸需要が減ることはありません。

「大地震が起きたら」と心配する人もいますが、新耐震基準が施行された1981年以降に建設されたものであれば、鉄筋コンクリート造のマンションが地震で倒壊するようなことはまず考えにくい。もちろん、「絶対にない」とは言い切れませんが、極論を前提にすると何もできなくなってしまいます。

デメリットを挙げるなら、利回りが低く、資産形成に時間がかかることでしょう。地方や郊外の一棟建て不動産に投資すれば、利回りは高くなりますが、それだけリスクも高くなります。

まずは低リスクの不動産投資で経験を積み、それから徐々にリスクとリターンのバランスをとりつつ、高リターンを求めていく。そのほうが成功確率が上がると思いますが、いかがでしょうか。実際、私はその順番で不動産投資を行なってきました。

 

物価も金利も上昇中...今始めて大丈夫なのか?

都心のワンルームが初心者に向いている理由

物価上昇と円安が続く中、この春にも日銀がマイナス金利を解除すると言われています(2月上旬現在)。金利上昇も不動産投資のリスクの一つですが、私はそれほど恐れる必要はないと考えています。

なぜなら、日銀が政策金利を上げるにしても、急激に上げるとは考えにくいからです。金利急上昇は景気に水を差しますし、何より日銀自身が抱える膨大な国債の利払い費が増えてしまいます。日銀も日本政府も、それは絶対に避けたいでしょう。

物価が上がり、不動産価格も上がっていることから、「もう少し様子を見てから」と考えている人もいるでしょう。ただ、将来の価格は誰にもわからず、過去10年を見れば今が一番高いかもしれませんが、10年後から見れば今が一番安いかもしれない。そういう可能性も十分にあります。

もちろん、高値づかみは避けなければいけませんから、周辺の物件価格や家賃相場の精査は不可欠。

そのうえで、「これならば」という物件に出会えたら、誰にもわからない「買い時」を待つよりも、無理のない範囲で実際に投資を始めてみることをおすすめします。というのも、自分で経験してみると色々なことがわかってくるからです。

例えば、投資ローンは、条件や金額が銀行によっても違いますし、融資担当者によっても変わります。投資ローンを組んだ経験がある融資担当者は、行内の稟議をあげるのがうまく、逆に初めての担当者だと稟議がおりないこともあります。こうしたことも経験して初めてわかることです。

また、不動産投資を行なっている人たちの勉強会などに行くと、そうした先輩たちの経験を学ぶことができます。不動産投資とひと口に言ってもスタイルは様々。それらを知ることで、自分に合ったスタイルを確立していくのもおすすめです。

【午堂登紀雄】
(株)プレミアム・インベストメント&パートナーズ代表取締役。1971年、岡山県生まれ。米国公認会計士(CPA)。中央大学経済学部卒業。会計事務所などを経て、戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルへ。多忙な本業のかたわら不動産投資を始め、1年で3億円の資産形成に成功。現在は起業家兼個人投資家としての活動に加え、講演や執筆活動も行なっている。

 

THE21 購入

2024年12月

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発売日:2024年11月06日
価格(税込):780円

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