種銭を作ることができたら、いよいよ投資です。日本株は基本的に100株単位での売買ですが、価格が低い銘柄もあり、NTTなら1万5000~1万6000円、三菱UFJフィナンシャル・グループなら17~18万円ほどで買えます。
単元未満株(1~99株)も、以前に比べれば売買しやすくなっており、極端な話をすれば、バス代を節約して歩いて帰った翌日は、NTT株を1株(150~160円)買うというのも、節約+投資+健康を兼ねていい選択肢だと思います。
そうして、コツコツ買いためた株式からの配当金は少しずつ少しずつ育っていきます。初めは数百円からですが、企業による増配、配当金を再投資、新規資金による投資によって、やがて数千円、数万円と大きくなります。 日々の株価には揺さぶられず配当金を増やすことに意識を集中しましょう。
「マーケット全体が不調で株価が下がれば、株式を安く買えるから嬉しい」「株価が上がれば、評価額(つまり資産)が増えるから嬉しい」。どっちでも嬉しいというメンタルが、楽でいられるコツです。
あと、投資は一つ二つの銘柄に集中投資せずに分散投資をお勧めします。初期は数銘柄から、資産額の増加とともに10~25銘柄程度に分散されるのが良いと思います。
株式投資は、売上が伸び続けて、利益が伸び続ける企業に投資することが大原則です。また、超長期で保有することを前提として10年以上つきあうつもりで銘柄を探しましょう。そのためには、その企業が事業を営む業界の市場が拡大することが必要です。
そして、その業界でトップか2位の会社を選ぶこと。それはきっと時価総額が大きな企業であり、経営が安定していることが多いです(時価総額は1兆円以上が目安)。営業利益率は20%あれば優良企業ですが、10%あれば合格ラインです。
配当金にも目をやりましょう。配当利回り、連続増配年数などです。配当利回りが3%以上と高いに越したことはありませんが、連続増配しているなら2%台であっても長期保有によって、高配当化する可能性があります。株価の推移にも注意を配りましょう。5年チャートないし10年チャートが下降トレンドなら投資を見送ります。
また、株式は全銘柄で儲けることはできません。損する銘柄も出てきます。時には損切りも必要になるので、自分なりに損切りルールを設けましょう。
私のルールは2つ。①不祥事を起こしたら即売却、②投資時に分析して評価したポイントが(悪いほうに)変化したときも売却、です。 例えば、売上シェア1位を評価したのに2年連続で3位以下に陥った場合、その業界を独占していたのに競合企業や代替品を作る企業が出てきた場合などです。
損切りのルールは人それぞれですが、一度ルールを決めたら「銘柄への愛着」といった感情は入れずに、その時がきたら無感情で損切りしましょう。
なお、冒頭で紹介しましたが、投資は必ずNISA口座を使うこと。通常かかる約20%の税金がタダになるからです。投資から100万円の利益を得た場合、課税口座なら約20万円が税金で引かれ、手取りは約80万円になってしまいます。これがNISA口座なら一生非課税なのです。私には、国から「新NISAで大盤振る舞いしたので、老後資金は自分で何とかしてください」と言われているようにも感じます。
投資に慣れたら、米国株も有力な投資先です。米国企業の成長は日本企業よりスピード感があります。その根源は、世界的なブランド力、もしくは世界一のイノベーション力です。マイクロソフト、アップル、ビザ、P&Gなど、ワールドワイドに事業をする巨大企業が多く存在し、株価を大きく上げたり連続増配したりしています。
さらには、米国以外にも世界で稼ぐ企業があります。熊本に進出したことで有名になった台湾のTSMCは半導体製造において世界トップです。そのTSMCに半導体製造装置を提供するオランダのASMLは世界1位の座を米国アプライド・マテリアルズと争っていますし、半導体の微細化に必須とされるEUV露光装置を世界で唯一製造できる存在です。
糖尿病ケア製品の世界1位で、最近は肥満症治療薬で注目されているのはデンマークのノボ・ノルディスクです。世界三大資源メジャーは、オーストラリアのBHPグループ、英国のリオ・ティント、ブラジルのヴァーレです。これら企業はいずれも世界で稼いでいます。
ただし、米国株やその他外国株への投資には注意点もあります。投資に関する情報が英語になることです。グーグル翻訳などを使えば、英語が理解できなくても投資はできますが、自分が後期高齢者になったとき、「今の自分」が簡単にできるネット検索および銘柄分析が、困難になる可能性があります。
また、投資通貨は米ドルになりますし、配当金も米ドルです。生活費にするとき、日本円に両替する操作も要します。これも後期高齢者になるとハードルが上がる可能性があります。
なお、NISA口座であっても、配当金に対しては各国で課税され、完全非課税とはなりません(非課税の国もあります)。 ただ、これらの注意点を理解して行なうなら、外国株はたいへん魅力的な投資先です。投資に慣れてきたら、選択肢として入れても良いですね。
更新:10月14日 00:05