2024年08月06日 公開
不動産投資を始めるにあたり、空室リスクと並んで不安に思う人が多いのが、入居者の家賃滞納リスク。そんな不安を軽くしてくれるのが、家賃支払いを立て替えてくれる保証会社だ。25年間にわたり保証事業を展開してきたフォーシーズ(株)の丸山輝社長は、「不動産のインフラと言えるこのサービスにおいて最も重要なのは、保証が切れないこと」だと語る。
取材・構成:林加愛写真撮影:長谷川博一
──不動産投資に関心を持つビジネスパーソンが増えていますが、「保証会社」については、まだイメージの湧かない人も多くいます。フォーシーズ(株)が手掛ける事業について、教えていただけますか。
【丸山】保証会社は、不動産を所有する方々にとってのセーフティネットの役割を果たします。簡単に言うと、家賃滞納が起こった際の「肩代わり」です。
──どのような仕組みなのでしょう。
【丸山】当社の場合で言うと、入居者様から年1回「保証委託料」を受け取り、滞納発生時は金融機関の3営業日以内に、オーナー様に家賃分の現金を全額お支払いします。このシステムを「家賃債務保証」といいます。
──それは心強いですね。
【丸山】オーナー様にとってもそうですし、入居者様も知り合いの方などに保証人を頼まなくとも賃貸契約を結べて、住まいや事業所を確保できます。つまり保証会社は、貸主・借主双方の課題を解決する「不動産のインフラ」。当社を含め、全国に300社以上あります。
──数ある保証会社の中で、フォーシーズの強みは?
【丸山】保証が切れない事です。会社によっては「こんなときは切れる」という条件づけをするところもありますが、私たちは違います。
──「こんなとき」とは?
【丸山】例えば入居者様が死亡・破産・逮捕されたとき。また、不動産管理会社の子会社として保証事業を行っている場合、オーナー様が管理会社を変えると同時に切れる事もあります。我々は独立型の保証会社なので、そうしたことも起こりません。
──入居者の死亡や逮捕でも切れないとは驚きです。切れる条件を設定するのは自社を守るためでもあると思いますが、フォーシーズはなぜ、「切れない保証」を提供するのでしょう。
【丸山】背景に「"人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事"を率先して行う事により、人々に喜びを与え、世紀を越えた社会貢献企業であり続けます」という企業理念があります。入居者様の死亡・逮捕・破産といった煩わしい状況をカバーする事で企業理念が実現でき、オーナー様に喜んでもいただけると考えています。家賃が高額になればなおさらです。
これを可能にしているのが、業界トップクラスの健全な財務内容です。安定した財務内容が評価され、家賃が高額になるオフィス・店舗・高級賃貸の分野ではありがたいことにトップシェアです。また、保証している物件の家賃は、高価格帯に限らず、数万円から数千万円まで様々です。
──幅広いですね。ノウハウも多様に蓄積されそうです。
【丸山】それで言うと、もう一つ強みがあります。それは「内製化」です。多くの保証会社では、明け渡しに伴う作業をアウトソースしますが、広くて荷物の多い事業用物件は費用も膨大、とても採算が取れません。当社ではそれらを自社内で行うノウハウがあり、コストを大幅に抑えられます。
──社員の方々が、明け渡しの作業もするのですか?
【丸山】荷物の搬出・撤去も、すべて行います。そのほか、未払い時の交渉や訴訟沙汰になった際の手続きも。最初の契約時から、最後の退去とオーナー様への引き渡しまで、すべて同一のスタッフが担当します。
──社員の皆さんには高いスキルが求められますね。人材育成については、どのような考えをお持ちですか?
【丸山】一貫して社員に伝え、採用ホームページでも強調しているのが「全員経営」というスタイルです。職階にかかわらずフラットな関係性を築き、皆が経営の当事者として意見を出し合うよう、社員に求めています。
──全員の当事者意識を育てるのは難しいと思いますが、秘訣はありますか?
【丸山】一番大きいのは、利益やコストを全社員に公開していることでしょう。役員報酬も取締役会の決定事項も、すべて丸見えです(笑)。それにより社員は会社全体の仕組みを知り、経営の視点に立つことができます。
──自分の仕事の、社内での位置づけもわかりますね。
【丸山】はい。それも正しい規模感で把握できます。例えば、自分は毎月何百万円も売り上げているから、会社はさぞ儲かっただろう」といった驕りや勘違いに陥ることがありません。自分の部署、他部署、会社全体の収支が見えていれば、コスト意識も高く保つ事ができます。
──1年目からそうした環境で働けば、成長も早そうです。
【丸山】そうですね。ですから2年目からマネージャーに立候補できますし、実力があれば登用します。その実力には、実績だけでなく、本人に「部下のため」という視点があるかどうかも含まれます。立候補の動機が「成長したいから」「昇進したいから」など、「自分のため」に終始している場合、まだ早いと判断します。
──高い水準を掲げつつ、すべての社員にチャンスを提供する姿勢がうかがえます。
【丸山】当社では育児中の社員にも大いに活躍してもらっています。女性管理職は4割を占め、育児をしながらマネージャーを務める社員も多数。3人の子どもを育てるお母さんもいます。
それが可能なのは、育児中の社員を周囲が支える風土があり、管理職でも時短勤務ができるから。男性の育児休暇取得も盛んです。配偶者の意識は、女性活躍の推進を大きく左右します。家庭や育児に関する「夫の当事者意識」はさらに喚起したいですね。
性別と言えば、当社にはLGBTの社員も多くいます。性的少数者が働きやすい環境を早くから整えてきたため、そうした社風に惹かれたと言って応募してくれる学生さんも毎年いらっしゃいます。ただ、これまた「自分のため」だけを求める方では困ります。
どの性別......のみならず、どんな国籍・年齢・立場の人であれ、働く仲間や、「お客様のため」という意識を持ってほですね。採用や登用の最重要基準は、その人の属性ではなく「ロイヤルティ」だと言えるでしょう。
──厳しい場面もある仕事だからこそ、ロイヤルティは不可欠ですね。
【丸山】フォーシーズは、「人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事を率先して行う」という企業理念を掲げています。家賃保証のみならず、不払いにまつわる交渉、手続き、部屋の整理、逮捕された入居者様の対応に至るまで、世の方々がやりたくない事を、私たちはしています。それはとりもなおさず、「世になくてはならない仕事」であり、社会貢献です。社員一人ひとりがその誇りを携えて、皆さまの役に立ってほしいですね。
更新:12月10日 00:05