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プロのマーケッターも顔負け? 速攻で“ターゲティングするAI活用術”

中村ブラウン(コピーライター)

ChatGPTをマーケティングに利用する方法

マーケティングにおいて、ChatGPTは強力なツールとなります。ターゲティングやユニークセリングポイントの特定にも、ごく短い時間で、的確に助言をしてくれるのです。上手にChatGPTを活用できれば、自身のスキルアップやビジネスの加速化にも繋げることができるでしょう。本稿では、中村ブラウンさんが、ChatGPTビギナーのマーケターに向けて、ビジネスでAIを活用するコツを教えます。

※本稿は、中村ブラウン著『ChatGPT 売れる文章術』(三笠書房)より一部抜粋・編集してお届けします。

 

ChatGPTをマーケティングに活用するには?

マーケティングとは、「顧客を集めたり、商品を買わせたりする戦略」です。マーケティング初心者の方にもなるべくわかりやすくお伝えしたく、中村ブラウン流の「マーケティングの手順」を下図のようにまとめました。

ここでは、①ターゲットの明確化、②差別化ポイントの過程を紹介し、ChatGPTを実際に活用した事例をご紹介していきたいと思います。 

 

ChatGPTを使ってターゲット像を浮き彫りにする

・「ターゲットの明確化」

孫子の言葉に「彼を知り、己を知れば、百戦殆あやうからず」がありますが、ターゲットを知り、自分を知る。それは、マーケティングにおいて最も重要なことです。

たとえば、老眼鏡を売りたいのに子どもや若者も含むすべての年代をターゲットにしたら、とても効率が悪くなります。さらに100円ショップで売っているような安物を求めるターゲットなのか、それともレンズもデザインもグレードの高い高級品を求めているのかによって、コミュニケーションの方法論がまったく違ってくるわけです。

ターゲットを単に「60代から80代の男女」とするだけでは、その人たちの人物像はイメージしにくい。そこで、マーケティングのプロはターゲットのプロファイルを作ることを試みます。

たとえば、『年齢は65 歳の男性。定年退職で、今まで仕事で使っていた老眼鏡はビジネスバッグの中に入れていたが、今では外出の多くが、お散歩やスーパーでの買い出しといったご近所周りになってきた。今まで仕事で使っていた老眼鏡は自宅では使っているものの、ちょっとした外出時に持ち歩くのに不便だ。もっと携帯しやすい老眼鏡があれば、お散歩のときや、ちょっとスマホを閲覧するときなど便利なのだが......』

というストーリーを描けば、定年退職後に「携帯しやすい老眼鏡」のニーズがありそうだと実感できます。ターゲットがどのような日常を送っているかをリアルに想像できてはじめて、自分の商品がターゲットのどんなシーンで活躍するかがイメージできるのです。ここまで詳しいプロファイルはいりませんが、ChatGPT を使ってターゲット像を浮き彫りにしていきます。

 

ここでChatGPTのプロンプトに下記のように書き込みます

「新しい独立系書店を開業する場合、東京の渋谷区と武蔵野市吉祥寺だとどちらが成功する可能性がある?」

【ChatGPTの回答】
新しい独立系書店を開業する場合、東京の渋谷区と武蔵野市吉祥寺のどちらが成功する可能性が高いかは、一概には決められませんが、それぞれのエリアには異なる強みと課題があります。以下に、それぞれのエリアの特徴を挙げてみますので、どちらが適しているかを考える際の参考にしてください。

<渋谷区>
強み:人口密度と人通り: 渋谷は非常に高い人口密度と人通りがあり、多くの観光客や若者が訪れます。

・多様な文化: トレンドの発信地であり、多様な文化や趣味を持つ人々が集まります。
・アクセスの良さ: 複数の鉄道路線やバスが通っており、交通の便が非常に良いです。
課題:
・競争の激しさ: 大手チェーン店や既存の書店が多く、競争が非常に激しいです。
・高い賃料: 商業地としての地価が高く、賃料も高額になるため、固定費が高くなります。

<武蔵野市吉祥寺>
強み:文化的背景: 吉祥寺はアートや音楽など、文化的な活動が盛んな地域で、独立系書店にも理解が深いです。

・コミュニティ: 地元のコミュニティが強く、リピーター客を獲得しやすい環境があります。
・アクセスの良さ: 中央線や井の頭線が通っており、新宿や渋谷へのアクセスも便利です。
課題:
・競争の存在: 吉祥寺にも多くの書店や文化的な店舗があり、競争は少なくありません。
・スペースの限界: 商業スペースが限られているため、理想的な立地を見つけるのが難しい場合があります。

<結論>
どちらのエリアが成功する可能性が高いかは、具体的なビジネスモデルやターゲット層、提供する書籍やサービスの独自性によっても変わります。以下のポイントを考慮して決めると良いでしょう。

・ターゲット層の明確化: 渋谷区ならば若者や観光客、吉祥寺ならば地元の文化に敏感な住民など、ターゲット層に合った場所を選ぶことが重要です。
・コストの見積もり: 賃料やその他の固定費を考慮し、どちらが収支バランスを取りやすいかを検討します。
・競合分析: 既存の書店や他の競合店舗を調査し、自店舗がどのような差別化を図れるかを明確にします。
・最終的には、具体的な事業計画を基にして、どちらのエリアが自分のビジョンに最も適しているかを判断することが重要です。

 

ユニークセリングポイントを明らかにする

次に「差別化ポイント」、「あなたの商品やサービスが競合に比べて何がいいのか?」を考える過程になります。「なぜ、あなたから買う必要がある? 他との違いは何?」

商品やサービスの購入を考える顧客は、他の企業からではなく、なぜ、あなたの企業から買う必要があるかを知りたいのです。

つまり、「何が魅力か?」「他との違いは何か?」「顧客にとって、どんな嬉しい変化をもたらしてくれるのか?」を知りたいわけです。この競合他社との差別化ポイントを、マーケティング業界ではユニークセリングポイント(USP)と呼んでいます。

このUSPですが、企業の内側にいる人間にとっては意外と見つけ難いことがあります。たとえば、第三者がその企業の優れた魅力について指摘しても、「そんなこと、当たり前だから」と、自社の魅力を客観的に見つめることができないのです。

 

【ChatGPTのプロンプト】
「東京武蔵野市の吉祥寺で独立系書店を開業します。このお店の差別化ポイント(USP)を強めるアイデアをください」

【ChatGPTの回答】
「吉祥寺で独立系書店を開業する際に、差別化ポイント(USP)を強めるためのアイデアをいくつかご提案します。

1. テーマ特化型書店

特定のテーマやジャンルに特化した書店を目指すことが差別化につながります。
例えば:
アートとデザイン: 吉祥寺の文化的な背景を活かし、アートやデザインに特化した書籍や雑誌、関連グッズを揃えます。
環境とサステナビリティ: 環境問題やサステナビリティに焦点を当てた書籍や商品を取り扱い、エコフレンドリーな店舗運営を行います。

2. コミュニティスペース

地域コミュニティと連携し、書店を単なる書籍販売の場以上のものにすることが重要です。
イベントスペース: 地元の作家やアーティストとのトークショー、読書会、ワークショップなどを定期的に開催します。
カフェ併設: カフェを併設し、読書を楽しむリラックスした空間を提供します。

3. キュレーション

個性ある選書が独立系書店の魅力です。
スタッフのおすすめコーナー: スタッフが選んだおすすめの本を紹介するコーナーを設けます。
地元作家の作品: 吉祥寺や武蔵野市出身の作家や、地元を舞台にした本を積極的に取り揃えます。

4. デジタルとリアルの融合

現代の消費者に向けたデジタル技術の活用も考慮します。
オンラインストア: オンラインでも書籍を購入できる仕組みを整えます。
デジタルコンテンツ: 電子書籍やデジタル版の雑誌、オンラインイベントを提供します。

5. 独自のサービス

特別なサービスを提供することでリピーターを増やします。
会員制度: 会員限定の割引や特典、ポイント制度を導入します。
パーソナルショッピング: 個々の顧客の好みに合わせた書籍を提案するパーソナルショッピングサービスを提供します。

6. コラボレーション

地元の他のビジネスやアーティストと連携することで、独自性を強化します。
地元企業とのコラボ: 吉祥寺のカフェや雑貨店と提携し、相互に集客を図ります。
アート展示: 書店内で地元アーティストの作品を展示販売し、文化的なつながりを深めます。

7. ブッククラブと読書会

定期的にブッククラブや読書会を開催し、顧客同士の交流を促進します。
テーマ別読書会: ジャンルごとにテーマを決めた読書会を開催し、同じ興味を持つ人々が集まる場を提供します。

8. 持続可能な経営

エコフレンドリーな店舗運営を心掛け、環境意識の高い顧客層を取り込みます。
再生紙やリサイクル品の利用: 書籍や商品に再生紙を使用し、エコバッグの販売なども行います。
環境教育プログラム: 環境問題に関する教育イベントやワークショップを提供します。
これらのアイデアを組み合わせ、独自のコンセプトと顧客体験を提供することで、吉祥寺での独立系書店の差別化を図ることができるでしょう。」

 

いかがでしょうか? 新規で独立系書店を開業するために2つの質問をし、上記の回答を導き出すのにかかった時間は本当に数分でした。もののターゲットの明確化、差別化ポイントなど新規で商売をするためのアドバイスが的確に得られるのです。

ChatGPTが第三者の視点でしかもプロのマーケッター顔負けのアドバイスするのですから、使わない手はありません。

新規ビジネスだけではなく、社内の新しいプロジェクトの立ち上げ、社長へのインタビューテーマ、副業ビジネスのアイデアなど、ChatGPTにいくらでも投げかけてみてください。

私のようにライターとして生きた人間は、多くの仕事をChatGPTに奪われていく未来に、多少の不安を感じています。しかし、不安がっているだけでは生活できなくなってしまうでしょう。もっと広い視点から言わせてもらうなら、「今後、AIとどうやってつき合っていくか?」を、みなさんが考えるひとつの道標になればいいとも思っています。

 

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