2012年08月06日 公開
2022年12月27日 更新
「大転換」を遂げるには、当然努力が必要だ。しかし、「目の前の仕事をこなすだけでも精一杯なのに、これ以上の努力は無理」という人は多いだろう。
実際、その点を多くの企業が問題視しています。私は昨年、『35歳からの「脱・頑張り」仕事術』(PHPビジネス新書)という本を書きました。
中堅ビジネスマンは『自分が頑張る』だけではダメ、チームで仕事を回す仕組みをつくらなければ潰れるよ、というのがテーマです。
すると一般読者だけでなく、企業からの反響が大きかった。講演や研修の依頼がいまでも多いのです。おそらく、『40代の中堅層は、目の前の仕事に追われて勉強する暇もない。
5年後、10年後に、彼らはほんとうに経営を担えるのか?』という問題意識を、多くの企業が抱えているのでしょうね。
ですから、『大転換が必要なのはわかったけれど、勉強する暇がない』という人には、『とにかく自分の仕事を減らして暇をつくれ』とアドバイスしたいですね。
自分が徹夜して頑張るのではなく、徹底的に部下に仕事を振って、チームの総力で仕事をするんです。部下にとっても、権限を委譲されれば仕事が面白くなるので、歓迎のはず。
部下がいない人でも、同僚や他部署、さらには顧客も含めたチームで仕事をしているという事情は同じです。ほかのメンバーと自分との仕事の配分を変えて暇をつくっていけばいい。
たとえば、余計な仕事は引き受けない。顧客との信頼関係をきっちりつくって、電話で打ち合わせを済ませられるようにする。社内向けの企画書なら、綺麗に体裁を登えずにA4一枚でいいじゃないか……と、業務量を減らす余地は必ずあります。
やってみればわかりますが、40代になれば、仕事を減らすのは決して難しいことではないはずです。なぜなら中堅ともなれば、『何をやるべきか』『ほんとうに大事な仕事は何か』がわかってきているはずだからです。
さらに、業務の効率化にあたってはこれまで蓄えてきた『how』の知識が活用できる。一日も早く業務を減らして、暇をつくるべきなのです。
OSを変えるほどの「大転換」を強いられる40代。しかし、これまで頑張ってきた経験は、決して無駄ではない。目の前の仕事を必死でやってきたからこそ、得られるものもある。
これは私の経験ですが、30代後半から、社内ではなく社外にネットワークが広がりました。違う業界の年長者で、『こういう大人、いいなあ』と尊敬できるロールモデルとなる人にたくさん出会えたんです。得意分野を教え合えるような仲間も増えました。
それはなぜかというと、自分に語るべきサムシングができたからです。中身がない人とは話をしてもつまらない。成功・失敗に関わらず、一生懸命仕事をして経験を積んできた人は話をしていて面白い。
実のある話をできるようになれば、人脈をつくろうなどと考えなくても、自然にネットワークは広がります。とくに、上の世代は何かとアドバイスをくれますから、勉強になりますよ。ちなみに当時、私がよくいわれたのが『仕事を減らせ、暇をつくれ』ということでした。(笑)
忙しい状況のなかで『大転換』を迫られるのは辛いかもしれませんが、みんなが目の前の仕事に忙殺されているからこそ、暇をつくって変われる人ほど有利なのです。見方を変えれば、これは大きなチャンスだといえるのです。
更新:11月25日 00:05