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「部下に信頼される上司・嫌われる上司」を分ける3つの話し方

2023年09月12日 公開

吉田幸弘(リフレッシュコミュニケーションズ代表)

 

ケース1 承認欲求を満たす「声かけ」

損:ほめて伸ばす
得:ほめないで伸ばす

部下を指導するときに、「ほめる」という選択肢が浮かぶ人は多いと思いますが、実は注意が必要です。「叱るよりほめて伸ばせ」と、様々な場面で見聞きするので、意外に思われた人も多いのではないでしょうか。

ほめること自体は決して悪いことではありませんが、ほめ方次第では逆効果になりかねません。例えば、「Aさんって、気くばり上手だね」と、部下をほめてみたとします。そこで「え、どこがですか?」と聞かれたら、具体的に答えられますか?

抽象的なほめ方をすると、言われたほうはかえって「心にもないことを...」という印象を持ってしまいかねません。

心がけるべきなのは、単にほめるよりも「変化や成長に気がつくこと」です。「資料に目次を入れたことで全体像が一発でつかめるし、レイアウトも余白の使い方を工夫したことで、圧迫感がなくなったね」といったように、解像度の高い言葉で変化を指摘しましょう。

相手は具体的に成長を認められたことで承認欲求が満たされると同時に、「この人は自分の成長をしっかりと見てくれている」と認識してくれます。そして、承認欲求が満たされた部下は自己効力感、つまり「やればできる」という感覚を得ることができます。

 

ケース2 悩み相談の正しい「聞き方」

損:「わかる、わかる」と共感する
得:静かに「あいづち」を打つ

悩みを抱えた部下から相談を受けることも、リーダーの大切な仕事であり、そこにもポイントがあります。

相手が話し終わらないうちに、「要するに、こういうこと?」と、話を遮るようにまとめるのは、悪手です。「この人は自分の気持ちを受け止めてくれない!」と思われる可能性があります。

相手はアドバイスを求めているのではなく、人に話すことで感情を整理したいだけかもしれません。

相談を受けるときのポイントは、「感情に寄り沿う言葉+確認質問」です。静かにあいづちを打ちながら最後まで話を聞き、「そうか、迷っているのか。○○の状態に不安を感じているのかな?」と確認しましょう。

解決策を示すことを急ぐのではなく、相手の感情に寄り添って理解に努める姿勢が、何よりも重要です。

ただし、理解を示すといっても安易な共感はNGです。相手に満足してもらおうと「わかる、わかる」とリアクションを取ることで、「とってつけたようなリアクション」と受け取られ、逆に信頼をなくすケースも考えられます。

 

ケース3 部下と仲良くなる「雑談」

損:「最近、どう?」と明るく話題を振る
得:「最近、疲れ気味で...」と愚痴をこぼす

雑談の中から部下の本音を引き出そうとするときにも、注意が必要です。

部下からすれば、雑談とはいえ、リーダーにヘタなことを言えないという緊張感があります。そのため、いかに明るく「最近、どう?」と聞いてみても、簡単に本音を話してはくれません。仕事のことか、プライベートのことか、わかりにくい質問なのもマイナスです。

そこでお勧めなのが、「愚痴」を利用することです。この場合の愚痴の目的は、誰かの悪口を言うことではなく、あえて自分の弱い部分を見せる「負の自己開示」です。

多くの人は隙のない完璧なリーダーを目指しがちですが、「企画書の進捗、実はまだ30%しか終わってないんだよ」というように、人間らしい一面を見せてくれるリーダーのほうが、話しやすい印象を与える傾向があります。

ネガティブなことも遠慮なく言える雰囲気をリーダーが率先してつくっておくことで、トラブルなどが起こったときにも、部下はすぐに報告してくれるようになるでしょう。

 

著者紹介

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)

リフレッシュコミュニケーションズ代表

成城大学卒業後、大手旅行会社、学校法人を経て、外資系専門商社へ転職。メンバーとのコミュニケーションに苦心し3度の降格人事を経験、クビ寸前の状態になる。その後、異動先で出会った上司から「伝え方」を学ぶことで営業成績が劇的に改善、マネジャーに返り咲く。現在はコンサルタントとして独立し、累計3万人のリーダーを育てている。

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