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「部下に信頼される上司・嫌われる上司」を分ける3つの話し方

2023年09月12日 公開

吉田幸弘(リフレッシュコミュニケーションズ代表)

心理的安全性が確保された職場づくり

リーダーとして、より良い職場づくりに努めているつもりが、部下からの反応はなぜだかいまいち...。その原因は、あなたの「伝え方」にあるのかもしれません。「損する」リーダーから脱却し、「得する」リーダーを目指しましょう!

※本稿は、『THE21』2023年10月号特集「50代で必ず整理しておくべきこと」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

リーダーが陥りがちな2つの典型的パターン

「会議で発言を促しても、誰も意見しない」「やる気の引き出し方がわからない」――リーダーになったものの、部下とのコミュニケーションで悩んでいるという人は多いでしょう。こういった悩みが解消できないリーダーは、以下の2通りの悪循環に陥りがちです。

①諦めパターン
嫌われたり、部下が離れていくことを恐れたりした結果、何も言えなくなり、悩みを抱えたまま一人疲弊するパターンです。

②爆発パターン
頑張ってコミュニケーションを試みるもうまくいかず、そのもどかしさやイライラを部下にぶつけてしまいます。当然、部下のモチベーションにも悪影響を与えます。

かつての私は典型的な②のパターンでした。悩みを抱え、イライラし、最後はパワハラという形で爆発してしまいました。

3回もの降格人事を経験し、どん底を味わった私が変わることができたのは、異動先の上司から「伝え方」の大切さを学ぶことができたからです。伝え方を工夫したことで、冒頭に挙げたようなコミュニケーションの悩みは解消され、チームも活性化していきました。

では、具体的にはどのような伝え方を心がければ良いのでしょうか。

 

「心理的安全性」を確保した職場づくり

心理的安全を保つ3つのキーワード

皆さんは、「心理的安全性」という言葉をご存じでしょうか。

心理的安全性とは、ハーバード・ビジネス・スクール教授のエイミー・C・エドモンドソン氏が提唱した概念で、「メンバー同士が気兼ねなく意見を言い合うことができ、自分らしくいられる状態」を意味します。

そして、その状態を保つためには、「無知と思われる」「無能と思われる」「ネガティブだと思われる」「邪魔していると思われる」という4つの不安、つまり、発言や行動を躊躇させる要因を、メンバーから取り除くことが重要であると、エドモンドソン氏は指摘しています。

では、どうすればこれらの不安を解消し、心理的安全性を確保することができるのでしょうか。私は、次の3つのキーワードを意識することが重要だと考えています。

そのキーワードとは、「自己効力感(「やればできる」という感覚)」「自己重要感(「自分は大事にされている」という感覚)」「自己開示(自分をさらけ出すこと)」です。

これらのキーワードに注目しながら、どのような「伝え方」を心がけるのが良いのかを見ていきましょう。本稿では、実際の現場で起こりうるケースを想定して、特に大事なポイントを3つ紹介します。

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著者紹介

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)

リフレッシュコミュニケーションズ代表

成城大学卒業後、大手旅行会社、学校法人を経て、外資系専門商社へ転職。メンバーとのコミュニケーションに苦心し3度の降格人事を経験、クビ寸前の状態になる。その後、異動先で出会った上司から「伝え方」を学ぶことで営業成績が劇的に改善、マネジャーに返り咲く。現在はコンサルタントとして独立し、累計3万人のリーダーを育てている。

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