リーダーとして、より良い職場づくりに努めているつもりが、部下からの反応はなぜだかいまいち...。その原因は、あなたの「伝え方」にあるのかもしれません。「損する」リーダーから脱却し、「得する」リーダーを目指しましょう!
※本稿は、『THE21』2023年10月号特集「50代で必ず整理しておくべきこと」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「会議で発言を促しても、誰も意見しない」「やる気の引き出し方がわからない」――リーダーになったものの、部下とのコミュニケーションで悩んでいるという人は多いでしょう。こういった悩みが解消できないリーダーは、以下の2通りの悪循環に陥りがちです。
①諦めパターン
嫌われたり、部下が離れていくことを恐れたりした結果、何も言えなくなり、悩みを抱えたまま一人疲弊するパターンです。
②爆発パターン
頑張ってコミュニケーションを試みるもうまくいかず、そのもどかしさやイライラを部下にぶつけてしまいます。当然、部下のモチベーションにも悪影響を与えます。
かつての私は典型的な②のパターンでした。悩みを抱え、イライラし、最後はパワハラという形で爆発してしまいました。
3回もの降格人事を経験し、どん底を味わった私が変わることができたのは、異動先の上司から「伝え方」の大切さを学ぶことができたからです。伝え方を工夫したことで、冒頭に挙げたようなコミュニケーションの悩みは解消され、チームも活性化していきました。
では、具体的にはどのような伝え方を心がければ良いのでしょうか。
皆さんは、「心理的安全性」という言葉をご存じでしょうか。
心理的安全性とは、ハーバード・ビジネス・スクール教授のエイミー・C・エドモンドソン氏が提唱した概念で、「メンバー同士が気兼ねなく意見を言い合うことができ、自分らしくいられる状態」を意味します。
そして、その状態を保つためには、「無知と思われる」「無能と思われる」「ネガティブだと思われる」「邪魔していると思われる」という4つの不安、つまり、発言や行動を躊躇させる要因を、メンバーから取り除くことが重要であると、エドモンドソン氏は指摘しています。
では、どうすればこれらの不安を解消し、心理的安全性を確保することができるのでしょうか。私は、次の3つのキーワードを意識することが重要だと考えています。
そのキーワードとは、「自己効力感(「やればできる」という感覚)」「自己重要感(「自分は大事にされている」という感覚)」「自己開示(自分をさらけ出すこと)」です。
これらのキーワードに注目しながら、どのような「伝え方」を心がけるのが良いのかを見ていきましょう。本稿では、実際の現場で起こりうるケースを想定して、特に大事なポイントを3つ紹介します。
更新:12月04日 00:05