(写真:遠藤宏)
不動産投資というと、地主や富裕層向けの投資というイメージがあるが、実は不動産投資のメリットを最も活かせるのは会社員だ──そう語るのは、信頼できる不動産会社のみ掲載するメディア「不動産投資の教科書」を運営する山本尚宏氏。「ただし、それには外せないいくつかのポイントがある」とも。いったいどういうことか、詳しく聞いた。(取材・構成:石澤寧)
※本稿は、『THE21』2023年9月号特集「インフレ時代の「お金」の新常識」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
不動産投資について、「なんだか危なそう」と、あまり良い印象を持っていない方も多いのではないでしょうか。中には、「突然、『マンション買いませんか』と営業電話がかかってきて嫌な思いをした」という人もいるかもしれません。
確かに、悪徳業者や強引な営業マンが一部に存在しており、それが不動産投資全体に悪い印象を与えてしまっていることは否定できません。しかしその一方で、きちんとした会社や誠実な営業マンもたくさんいます。
そうした信頼できるパートナーを選ぶことができれば、不動産投資は「忙しいビジネスパーソンに最も適した資産形成法」だと、私は考えています。
「不動産投資の教科書」という専門メディアを9年前に立ち上げたのも、不動産投資に対する誤解や偏見がある中で、その本当の魅力を伝えたいという想いからでした。それ以来、わかりやすく、中立な情報発信と信頼できる不動産会社の掲載を心がけてきました。
私が不動産投資をお勧めしたいと思うのは、主に3つの理由があります。
まず1つ目は、「長期的に安定した収入が見込めること」です。
不動産投資の収益には、「物件を売って得られる収益=キャピタルゲイン」と「家賃収入=インカムゲイン」の2つがありますが、注目してもらいたいのは後者です。
不動産投資というと、「安く買って高く売るもの」と思っている方がいますが、家賃収入で堅実かつ長期的に利益を出していくのが本道。また、インカムゲインが優れているのは、将来自分が稼げなくなったときも物件が稼ぎ続けてくれることです。
2つ目の理由は、手間がかからず、「ほったらかし」にできるという点です。
物件購入後の管理や入居者募集は、手数料を払えば管理会社にお任せ可能。そうすれば、自分ではほぼ何もしなくとも月々の家賃収入が入ってきます。また、家賃は上場株式のように乱高下しないので、日々の値動きを気にする必要もありません。
不動産投資は、時間や労力を割かなくてよい分、仕事に集中できるため、まさに忙しいビジネスパーソンにとってうってつけと言えます。
3つ目の理由は、「金融機関からの融資を使って投資を始められる」という点です。
株式投資はまとまった自己資金があれば、分散投資をするなどして増やしていくことが可能ですが、株式投資をしたいと言っても銀行はお金を貸してくれません。
一方、不動産投資ならば物件そのものの資産価値を評価してくれ、それを担保に融資を受けられます。つまり少ない自己資金でもレバレッジを利かせた運用ができ、資産形成に要する時間を短縮できるのです。
ただそうは言っても、誰もがお金を貸してもらえるわけではありません。そこで活きてくるのが「会社員」という立場。安定した給与収入がある会社員や公務員は金融機関からの信用が高く、優遇された条件で融資を受けやすいのです。
中でも上場企業の社員は最も好条件で融資を受けられるので、他の金融商品などにはない、その人の属性を活かした特権だと私は思います。
融資を受けるのは嫌だなと感じる方もいるかもしれませんが、物件に住む入居者からの家賃収入で返済していくので、実質的な返済者は入居者になるのです。
しかも、返済が終われば物件はあなたの資産。このように、他人(金融機関)のお金で投資ができ、他人(入居者)が返済してくれて、自分の資産となる──これこそが不動産投資の最大の魅力と言えるでしょう。
また、金融機関から融資を受けて不動産を購入することは、インフレ対策にもなります。
「インフレ=お金の価値の下落」ですから、インフレになれば借金の実質的価値は下がります。一方、現物資産である不動産の価格は、インフレ時には上がりやすいと言われています。
ここ最近、不動産投資に関心を持つ方が増えていますが、デフレからインフレへの転換が大きく影響していると思います。
更新:11月23日 00:05