新型コロナウイルスの感染拡大によって、飲食業やサービス業などは大きな打撃を受けました。ビジネスモデルの変革も迫られ、3年経った現在もその苦労は続いています。
不動産においても、店舗やオフィスは空室が増え、需要減少により賃貸価格が大きく下がったエリアもあります。
これに対して、「悪影響がまったくなかった」と言ってもいいのが都心の住宅用不動産です。コロナ禍を機に、都心から離れる人が増えるのではないかと言われた時期もありましたが、そうした動きは主流にはなりませんでした。
その証拠に、1都3県の主要都市にある賃貸住宅の家賃相場はまったく下がっていません。それどころか、契約更新時に家賃を上げるケースすら見受けられます。
そして、コロナ後も、住宅価格は上昇を続けています。
「価格が上がっている今買うと、高値づかみになるのではないか」こう心配している人がいるかもしれませんが、実は10年前も、「今は高いから買わないほうがいい」と言われていました。買わない理由を見つけて実際に買わない人は、永遠に買わない人だと思います。
逆に、今買った人は、数年後に価格が下がったとしても、「損をした」と思うのではなく、「安くなったから、また買おう」と思います。一度購入を決断できた人は、二度目の決断も容易にできます。
一方、今買わない人が、価格が下がったときに買えるかと言えば、買えないでしょう。「まだ安くなるかもしれない。もう少し待とう」などと言って、結局何年経っても買えないのです。
買った人はその間に入居者の家賃でローンの返済が進みます。それだけ早く、他人のお金で自分の資産が増えるのです。長期投資である不動産投資では、「時間」を味方にすることも大事なポイントです。
また、今買わない理由を聞くと、「もう少し勉強してから買います」という人もいます。最低限の勉強はもちろん必要ですが、区分マンション投資で重要なことはそれほど多くありません。
「勉強と実践を同時並行でやったほうがいいですよ」とよくアドバイスしています。
区分マンション投資においては、東京が最強でしょう。それはコロナショックでも減らなかったように、賃貸需要が非常に高いから。人口減少が言われ、確かに日本の人口は減りますが、東京都心の人口は簡単には減らないのではないでしょうか。
例えば最近、外国人観光客が増え、インバウンド需要が戻りつつあります。円安が進んでいることもあって、今後も多くの外国人観光客が東京に来れば、そのためのビジネスで日本人の雇用が生まれ、東京に住む人が増えます。
外国人の中には、清潔で安全な環境や食文化に魅了され、物価が安い東京に住む人が増える可能性もあります。外国人留学生も増えるかもしれません。
通貨はその国の国力を反映するので、人口減少で経済力が減退していく可能性が高い日本の円は、今後も円安傾向に動くことが予想されます。
こう考えると、東京都心の区分マンションの需要が減る可能性は低く、賃貸価格も不動産価格も下がる要因が見当たりません。賃貸価格や住宅価格が半値になってしまうなどということは、到底考えられないのです。
仮に10年後に価格が10%、20%下がったとしても、資産の目減りよりも残債の減りのほうが早いので、どう転んでも資産は増えます。
「○○ショック」が起きて価格が下がったら、それこそ買い時です。そのときのために、今から準備しておいたほうがいい。
賃貸需要がなくならない、資産価値が下がりにくいエリアに住宅用不動産を持っていることは、資産形成の確固たるベースを築くことになるのです。
(『THE21』2023年9月号特集「インフレ時代の『お金』の新常識」より)
更新:11月21日 00:05