2023年08月04日 公開
プロ野球選手として16年間活躍された里崎智也さん。現在は野球解説者として活動しながら、YouTubeなどでお金についての考え方を発信しています。里崎さんは1億円プレーヤーでありながら、お金に関しては"超堅実"。その意外なマネー観について、お話をうかがいました。(取材・構成:林 加愛)
※本稿は、『THE21』2023年9月号特集「インフレ時代の『お金』の新常識」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
――里崎さんのお金の才覚は、いつ頃、磨かれたのでしょう。1998年のプロ入りのときには、すでに「早く試合に出られるから」という理由で当時弱小と言われていたロッテを逆指名するなど、「稼ぐ」意識を持っていますよね。
【里崎】それは、在籍していた帝京大学野球部の監督が、そう助言してくださったからです。ちなみに、帝京への進学も、高校の先生が「試合に出られる大学がいい」と勧めてくださったから。
ついでに言うと、実践してきた貯蓄術も税理士の先生のアドバイスです。周りの方々が線路を敷いてくださって、僕は実行に移しているだけです。
――それらの助言も、鵜呑みにするのではなく、自分で判断していると思いますが、何か基準は?
【里崎】「結果が伴うかどうか」に尽きます。先生の言葉通り、帝京大学では2年生でレギュラーになれました。そして、監督の助言通りにロッテに入ったら、やはり2年目には一軍の切符を手に入れ、その後、2度日本一にもなれました。結果につながりそうなことを実践し、それを繰り返してきただけです。
――良い結果が出なくて、やめたことはありますか?
【里崎】山ほどありますよ! 成功より失敗のほうが、はるかに多いですよ。でも、失敗も成功の一部になるんです。いくつも失敗して、これじゃダメだと気づいて、別のやり方を実践して、ついに成功! となったら、それまでの道のりで何度失敗していようと、すべて成功体験の中に含まれます。定めたゴールを達成できたら、途中の失敗は全部消えてなくなるんです。
――ゴールに達するまでは、ひたすら試行錯誤ですね。
【里崎】はい。「実践」が非常に重要です。いますよね、ゴール設定をするだけで終わる人。「俺は○○になる!」と夢を語っておいて、そのための行動を何もしない......ってそれ夢は夢でも、寝ているときに見る夢やんか(笑)! と。
――でも、実際にチャレンジするには勇気がいります......。
【里崎】いやいや、自分の能力を高めればいいだけです。現時点の能力が低くたって関係ありません。1万円のものを買いたいときに、「今1000円しかないから無理」とは思わないでしょう? 月に1000円ずつ貯めたら、1年もかからずに買えるんですから。
――貯蓄に例えるあたり、里崎さんらしいです。
【里崎】能力の伸ばし方は、貯蓄と似ています。目標を設定して、行動することが大切だということ、そして、どちらも「すぐには増えない」ということ。堅実にコツコツ蓄積あるのみです。
――コツコツと言えば、里崎さんは「お小遣いは月々5万円もあれば充分」と発言していますね。
【里崎】皆さん、いったい何にお金を使っているのか疑問です。家族と旅行するときに使うとかならともかく、普段の生活で使う場面、あるのかな?
――何でしょう。着るものとか?
【里崎】服だって何着も必要ないでしょう。僕が今着ているのは、ユニクロの上下各3000円程度。テレビに出るときはスーツですが、3着あれば着まわせます。
――クローゼットの中には、わずかな服だけしかないのですか?
【里崎】いえ、実は現役時代に買った服があります。体型が変わって着られなくなりましたが(笑)、当時は良いものを買っていたので、なかなか捨てられなくて。でも、今はリーズナブルなものばかりです。子どもと遊ぶときは、汚れても気にならないものがいいですしね。
――高価で高品質なものを経験されたからこその境地でしょうか。
【里崎】ハイブランドにはハイブランドの良さが、ノーブランドにはノーブランドの良さが、それぞれありますよね。
価格に「高い・安い」はありますが、商品そのものの品質の良さがわかれば、価格なんて気にすることなく持つものを選べます。自分の生活スタイルを崩してまで高価なものを身につけるより、自分に合う最上のものを選ぶことも大切ですよね。
(『THE21』2023年9月号特集「インフレ時代の『お金』の新常識」より)
更新:11月22日 00:05