2023年08月04日 公開
2024年12月16日 更新
入居者が家賃を滞納した場合、オーナーへの家賃支払いを立て替えてくれる家賃保証会社。今や不動産オーナーと入居者双方の安心のために欠かせない存在だ。
20年以上前から同サービスを展開してきたフォーシーズ(株)の丸山輝社長は、保証サービスの手厚さとともに、「どんなときでも保証が切れないこと」の重要性を力説する。(取材・構成:林加愛、写真撮影:長谷川博一)
――フォーシーズ(株)が手掛ける「家賃債務保証」とは、どのような事業なのですか?
【丸山】ひと言で言うと、不動産を所有する方々のセーフティネットです。オーナー様が月々の家賃収入を得るにあたり、「滞納」は言うまでもなく一大リスク要因。
そこで我々のような保証会社が役立ちます。保証会社は入居者様から年1回の「保証委託料」を受け取り、滞納が発生したときは金融機関の3営業日以内に、オーナー様へ家賃分の現金をお支払いします。
――オーナーにとって安心なシステムですね。
【丸山】はい。入居される方にとっても同様です。入居者様の「信用力」は千差万別ですが、保証会社がそこを担保するため、賃貸契約がスムーズに進みます。
――滞納時の保証というと、一般的には「連帯保証人」という個人のイメージが強いですが。
【丸山】その点は近年、かなり様変わりしました。2020年に民法が改正され、連帯保証の契約時には保証内容や極度額について合意を得るよう義務付けられました。
多くの場合、極度額は高額なので、連帯保証人を引き受ける人が激減し、保証会社へのニーズが高まったのです。特に事業用物件の場合は家賃も高額ですから、保証会社を利用するのが当然、という考え方が主流になっています。
同様に、「敷金」のシステムも減っています。入居時にまとまったお金を納め、もしものときに充当するという手法から、保証会社に任せる方向へと変化したことで、入居者様の負担が減り、オーナー様の安心にもつながっています。
――不動産関連事業にはほかに「仲介会社」や「管理会社」がありますが、保証会社とはどのように違うのでしょうか。
【丸山】仲介会社は、オーナー様に入居者を紹介して契約を取り結ぶという、入居「まで」のサポートをし、管理会社はメンテナンスや入居者管理など、入居「後」のサポートをするというのが基本です。
保証会社は原則的に、管理会社から委託を受けて保証を行ないますが、管理会社が系列子会社の保証サービスをパッケージで提供するケースもあります。
とはいえサービスの手厚さには差があるので、オーナー様は保証会社を自ら選ぶことをお勧めします。管理会社がどこを紹介するかに関わらず、「この会社に」と意志を示すことが大事です。
――手厚さに差がある、というのは?
【丸山】複数の保証会社を検討する際、多くの方は保証範囲、つまり、「どこまで立て替えてもらえるか」が気になるところでしょう。滞納分の家賃、法的手続きの費用、明け渡しにかかる費用などなど。これはもちろん大事なポイントです。しかしさらに見逃してはならないのは、「どんなとき保証が切れるか」です。
――場合によっては保証しないことがあるのですか。
【丸山】はい。例えば入居者様の死亡、破産、逮捕、事業用物件のテナントの用途変更などで保証が切れる会社は少なくありません。オーナー様が管理会社を変えたときに系列子会社による保証がなくなることも。これらは決して珍しいケースではないですから、こんなふうに「すぐ切れる」ようでは、最初に設定された保証範囲が広くとも意味がありません。
その点、当社は保証範囲の広さのみならず、「切れない保証」が特徴。死亡・破産・逮捕、その他あらゆる不測の事態においても保証が続きます。そうした場面こそ、オーナー様にとって保証が必要なはずだからです。
――それは大きな強みですね。
【丸山】当社のもう一つの特徴は、物件グレードの幅広さです。家賃数千万円の事業用物件、例えばショッピングモールやオフィスビル、個人用でも家賃100万円レベルの高級賃貸の保証を行なう一方、ごく普通のマンションや家賃3万円のアパート一戸の保証もします。
――月々3万円から、上は個人用でも100万円! 途方もない高級物件ですね。
【丸山】事業用なら、5000万円を超える物件も保証しています。全国には多くの保証会社がありますが、このグレードの保証が可能な体力やノウハウを持つ会社は少数です。
当社が高額な家賃の保証リスクに対応できるのは、多くの管理会社やオーナー様にご支持いただき、業界トップクラスの健全な財務内容を維持しているからです。
また、高級賃貸はスペースも広く、荷物の量も多いですから、もし滞納から立ち退き、となれば明け渡し費用は膨大になります。多くの保証会社では明け渡し等の作業をアウトソースするため、負担が多すぎてビジネスとして成り立たたせるのが困難です。しかし私たちは、こうしたケースも自社内ですべて対応・処理できるため、コストを抑えられています。
――滞納等の立て替えだけでなく、実際の作業も社内で?
【丸山】その通りです。当社は最初から最後まで、すべて内製化されています。未払い発生時に入居者様に連絡をとるところから始まり、現場に赴おもむいてご相談に乗ったり交渉したり、訴訟となればその手続きも、すべて同じスタッフが対応します。
困った場面でも最後まで責任を持ち、お部屋を原状回復してオーナー様にお返しするまでが私たちの仕事。煩わしい仕事はすべてお任せいただけます。体を動かす労働もありますので、スタッフは皆、専用の「つなぎ」も持っています(笑)。
――交渉事や裁判、明け渡し執行といった局面に対応するには、高いスキルが必要となりそうですが。
【丸山】そのためにも社員教育に注力しています。こちらもアウトソースは一切ナシ。入居者様とのやりとり事例の共有など、社員同士ならではのノウハウを随時蓄積しております。また、荷物搬出の適切性を競う「ワークコンテスト」を毎年行なっているのですが、その部屋も社員がしつらえています。
――教育熱心で、かつ、楽しく働ける会社でもあるのですね。
【丸山】社員自身が、スキルだけでなく幸福度も高いことが大事だと考えています。ちなみに当社は女性管理職が40%を占め、LGBTQの社員も働く、ダイバーシティの進んだ会社でもあります。
多様な立場や視点を持つ人間が、それぞれ充実感を持って働くことで、様々な環境にあるオーナー様や入居者様、すべてのお客様のことを考えた、手厚いサービスができるのです。
更新:12月21日 00:05