2012年07月05日 公開
2022年12月15日 更新
クルーとのコミュニケーションを通じて目標を達成する、
今の仕事が大好きです。
石井未来
(いしいみく)
日本マクドナルド(株)
経堂駅前店 豪徳寺駅前店 店長
1981年生まれ。15歳からマクドナルドでアルバイトを始め、18歳のときクルーの技能コンテストAJCC(オールジャパンクルーコンテスト)で全国2位に。高校卒業後、演劇活動のかたわらアルバイトを続ける。一度別の企業に就職したのち、再びマクドナルドへ。2008年に社員となり、10年に豪徳寺駅前店店長就任。2011年11月より経堂駅前店店長も兼務。
「やっぱり、ここだな」
1年半ぶりの古巣に、石井未来さんはそう思ったという。15歳からアルバイトとして働き続けてきたマクドナルドを離れ、一度は地元の眼鏡店に就職した。自ら商品を売り込む接客を経験したいと考えたからだ。コミュニケーションを通じて信頼を重ねる接客業の楽しさを再認識し、マクドナルドに戻り、現在は2店舗の店長を兼任している。
「接客業が大好き」という石井さん。3交代制で、遅番の日は22時に出社する。でも、ほんのりとピンクがかった頬とキラキラした笑顔からは、深夜帯の勤務がある生活など感じられない。レジではよく「スマイルください」と頼まれるそうだ。
もちろん、大好きな接客業と店舗の運営は別の仕事。「マクドナルドで“店長”になりたいとは思ったが、“管理する側”になりたかったというわけではない」と話すが、結果的に部下の主体性をぐんぐん引き出すマネジメントを実践できている。
たとえば、店長になってすぐ、アルバイトクルーの休憩室とマネージャールームのあいだにある扉を外し、1つの部屋にした。自らの事務作業に集中するより、オープンなコミュニケーションのほうがもっと重要なことだと考えたからだ。
部下にも画一的な指導はしない。何よりも大切にしているのは部下のキャリアプラン。「1年後に店長になりたい」など個々人の目標とその時期に合わせて指導する。「部下が6名なら、コミュニケーションも6通りある」と語る石井さんからは、部下へのホスピタリティすら感じられる。クルー(アルバイト)や部下にも「接客」をしているのかもしれない。
原点は、10代のころに汗を流した演劇活動にあるという。各メンバーが、コミュニケーションをとりながら1つの目標に向かう姿は、いまの仕事にも通じるという。
「演劇の道は諦めたけれど、共通点が多いと思っています」
毎月の売上げ目標の達成や予算管理も店長の大事な仕事だ。予算達成が難しくなると、自らチラシを配ったり、「ストリートファイト」と呼ばれる路上での呼び込みも行なう。昼食には毎日異なる商品を食べ、品質チェックも怠らない。そんな重責と目標が、石井さんを逆にいきいきさせ、チームを率いる原動力になっているようだ。
半年前から、“新世代デザイン店舗”(右写真は一例)の店長を兼任している。カフェのような内装に、落ち着いた色合いのユニフォーム。従来とは違う環境にメンバーが迷わないよう、「誰もが認める3ツ星レストラン」というビジョンを考えた。サービスをワンランク上げたい、という思いを共有するためだ。
「私にとっては、お客様と同じくらい、クルーも大事。クルーとコミュニケーションをとりながら、ひとつの目標に向かう。この仕事が大好きなんです」
とびきりの「スマイル」でそう語ってくれた石井さんの仕事にかける思いは、部下にもよいかたちで伝わっているだろう。
<取材構成:齋藤麻紀子/写真撮影:長塚 健>
「話しかけないで」オーラは出さない
上司が不機嫌になると、部下は意見をいわなくなります。ですから、オープンなコミュニケーションをとるため、私の気分にムラが出ないよう心がけています。忙しくても笑顔で接し、「話しかけないで」オーラが出ないように気をつけています。
業務終了後の10分を大切に
業務終了後、必ず10分間程度は客席ですごします。TODOリストを整理することが目的ですが、毎日違う席に座り、お客様の視点で店内を俯瞰する時間としても使っています。クルーの動作も客観視できるので、この10分がいいインプットにつながります。
部下の目標に合わせた指導を
現在、2店舗に6名の社員の部下がいますが、全員の目標とそれに対する期日を把握し、個々に異なった指導をしています。1年後に店長をめざしている人と5年後を目処にしている人では、指導内容が異なるからです。
[今月号の読みどころ]
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更新:11月27日 00:05