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部下に慕われる管理職が実践する「わからないふり」

2023年09月04日 公開

山本真司(立命館大学ビジネススクール教授)

 

リーダーは「二重人格」であれ

最後のふるまいは「二重人格」である。より具体的には、「超楽観主義と超悲観主義を同時に持つ」ということだ。

私たちは、一般的に楽観主義的な見方をする人が好まれると考える。そして、それは確かにその通りで、リーダーが暗い顔をしていたら、チームの士気は上がらない。だから私はかつて、会社の入り口で笑顔を作ってから入るようにしていた。

ただ、リーダーにとっては失敗を事前に予測することが不可欠であり、そのためには楽観主義だけではなく、「本当にうまくいくだろうか」「あの件は大丈夫だろうか」という悲観主義も必要となる。

つまり、「超楽観主義と超悲観主義を同時に持つ」という二重人格になることが必要なのだ。

超楽観主義と超悲観主義を同時に持つことが重要な理由はいくつかある。まず、楽観主義過ぎると、過大な期待を抱いてしまい、実現不可能な目標を設定してしまうことがある。一方、悲観的であることによって、目標やプロジェクトの弱点を発見できるため、修正する時間を確保することができる。

また、超悲観主義的な見方ばかりしていると、過剰な失敗への懸念から重要な活動を行うことを避ける傾向がある。しかし、超楽観主義的な見方を併せ持つことで、リスクを踏まえた上で、行動に移すことができるのだ。

例えば、新しい商品を開発する場合、超楽観主義的な考え方で「素晴らしい商品が開発できるはずだ」と考える。そして、戦略を立てる段階で、超悲観主義的な視点で、競合商品や市場のニーズを分析し、問題点に対応する。こうした二重人格が必要なのだ。

メンバーはあなたが思っている以上に、リーダーのことをよく見ている。だからこそ、普段からこうしたふるまいに気をつけておいてほしい。

 

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