部下はリーダーの態度を非常によく見ている。だからこそ、普段のふるまいに気をつけておかないと、知らぬ間にチームメンバーの気持ちが離れてしまうことも。ここでは、上司が取るべき「3つのふるまい」について解説する。
※本稿は山本真司著『チームを動かす すごい仕組み』(PHP研究所)から抜粋・編集したものです。
リーダーが取るべき「ふるまい」の最初は、「カミングアウト」である。
カミングアウトとは、自らの失敗や誤りを率先してカミングアウト(明かす)することで、周囲の信頼を得るリーダーシップ術のことである。これは、チームのメンバーに自分自身の人間性を見せることで、信頼関係を築くための非常に重要な手段である。
なぜなら、リーダーはチームの中心であり、その言動はメンバーに大きな影響を与えるからである。
リーダーが自分自身の誤りをカミングアウトし、それを受け入れ、改善する姿勢を示せば、メンバーはそれを受け止め、自分自身も同じような姿勢で取り組もうと考えるようになる。失敗を恐れなくていいのだと気づく。その結果、チームはより協調的で成果を出すことができるようになる。
例えば、ある会社でプロジェクトに携わるリーダーがミスをした際に、それを隠さずカミングアウトしたとする。そして、率先して失敗を認め、改善策を提示したことで成功に導くことができれば、その他のメンバーの信頼はむしろ高まることになるだろう。
失敗した時こそ、部下はあなたのことをよく見ている。そのとき、隠さずに「カミングアウト」できるかどうかが、求心力を決めると言えるだろう。
次のふるまいは「わからないふり」である。
特にミーティングにおいて、「わからないふり」をすることで、リーダーはチームメンバーから意見を引き出し、ダイバーシティな意見やアイデアを取り入れることができる。
チームメンバーは一人ひとり、異なった経験やスキルを持っている。しかし、リーダーのみが意見を出すと、それに偏った結論や意見になる可能性が高い。組織ではどうしても、立場の高い人の意見が尊重されるからだ。
しかし、そのリーダーが「自分自身が何も知らない」「わからない」という態度を取れば、自然とチームメンバー全員からアイデアを出してもらうことができ、多様性を取り入れた意見やアイデアの共有ができるのだ。
例えば、グローバル企業でのビジネスチームを想像してみる。チームメンバーは、異なる国や文化、背景を持ち、多様性が高い。しかし、リーダーが自分の知識やスキル、そして出身地の常識だけに頼ってしまい、その地域の文化や習慣を理解できていなかった場合、重大なミスを犯す可能性がある。
一方で、リーダーがわからないフリをして意見を引き出し、多様性を取り入れた結論を導き出すことができれば、貴重な成果を上げることができるだろう。
リーダーに求められるのは、自分の知らないことを学ぶことや、オープンマインドな姿勢を持っていることである。「わからないふり」は、それらのスキルを持つことにもつながる重要な手段である。
更新:12月10日 00:05