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終身雇用は望んでいない...Z世代に見放される「旧来型企業」の特徴

山本真司(立命館大学ビジネススクール教授)

フラット型組織とは

「ピラミッド型組織」と「フラット型組織」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「ピラミッド型組織」は、旧来型、昭和型企業の代表とされることが多いが、対して「フラット型組織」は自律性や柔軟性を重視する新たな組織形態だ。現代にはどちらの組織がより成果を出すことができるのか。立命館大学ビジネススクール教授の山本真司氏が解説する。

※本稿は山本真司著『チームを動かす すごい仕組み』(PHP研究所)から抜粋・編集したものです。

 

同じ会社員でも働き方に大きな違いが

同じ会社員であっても、実は組織の形態によって人々の働き方は大きく異なる。その象徴ともいえるのが、「フラット型組織」と「ピラミッド型組織」の違いである。

ピラミッド型組織においては、上司が指示を下し、部下がそれを受けて業務を遂行するという明確な上下関係がある。情報の伝達は一方的であり、強い指導者が情報を独占することがしばしばある。また、部下同士を競争させる場合が多く、双方向性は薄い。

フラット型組織においては、リーダーとチームメンバーが協力して仕事を進め、自律性や柔軟性を重視する。情報共有についても比較的広く行われ、誰もが自分の意見を述べやすい環境がある。また、協力的で柔軟な文化を育成することで、創造力やイノベーションを生み出すことができる。

端的にまとめると、こういうことになる。

ピラミッド型組織では、上司が部下に命令し、部下はその指示通りに働く。
フラット型組織では、リーダーはチームメンバーの自発性に任せ、そのサポートをする。

ピラミッド型組織では、上司の発言権が一番強く、部下はそれに従う必要がある。
フラット型組織では、立場に関係なく誰もが言いたいことを言う。

ピラミッド型組織では、社員に会社への貢献を求める。
フラット型組織では、チームメンバーに自分自身の成長や顧客・社会への貢献を求める。

ピラミッド型組織では、組織内で部下同士を競争させる。
フラット型組織では、チーム内で助け合いをする。

ピラミッド型組織では、トップが情報を独占する。
フラット型組織では、チームであらゆる情報を共有する。

このような違いがあるため、ピラミッド型組織で働いている人と、フラット型組織で働いている人とでは、その仕事の進め方に大きな違いが生まれる。転職した人がカルチャーショックを受けることもしばしばだ。

 

どちらがいい、悪いではないのだが...

この違いはそのまま、昭和型の年功序列の企業と、新しい企業の違いともいえる。ただ、実はこれは「どちらがいい・悪い」の話ではない。ピラミッド型組織にはピラミッド型組織の良さがある。

例えば、大量生産、大量消費の時代に求められた、多くの製品を安く作るといったことのためには、定型の業務やオペレーションを正確にこなしていくことが求められる。

そのためには、ピラミッド型組織によって上位者が指示、命令、統制を行い、ルールやマニュアル通りにものごとを進めていくという形が最も適している。

しかし、現代はむしろ、いかに世の中にないような新しい製品を作り出すかが問われる。いわゆるイノベーションだ。さらに、時代の変化が激しいため、一度決めたこともすぐに変えなくてはならない場面が訪れる。

そうした場合にはやはり、ピラミッド型組織よりもフラット型組織のほうが、変化への対応がスムーズに可能になる。

昨今のIT企業の多くがフラット型の組織形態を採用しているのは、そのためだ。従来の企業のような上下関係は薄く、社員一人ひとりが個性を発揮できる環境を重視している。社員同士が協力して問題解決に取り組み、より高い成果を上げることが可能になる組織形態だ。

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