資産構築コンサルタントの戸塚真由子さんは、「ギャンブル性の投資では、お金持ちにはなれない。"本物の大富豪"が行っている習慣や思考法を真似することこそが、お金持ちになるための近道」だと言います。
大富豪たちは、ギャンブル要素の強い投資は決してしないし、お小遣いにしかならない少額投資もしない。彼らの世界には、一般人が全く知らない「投資の常識」があるのだとか。
戸塚さん自らも、高年収を稼いでいた会社員生活をバッサリと捨て、裸一貫で「投資の世界」を志したひとり。世界中の大富豪やVIPに教えてもらった「本物のお金持ちになる極意」をまとめたベストセラー『1年で億り人になる』より、「お金持ちの時間の使い方」をご紹介します。
※本稿は、戸塚真由子著『1年で億り人になる』(サンマーク出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
かつて会社員だった頃のことです。
当時私は、バリバリの営業職として成績を挙げていたころで、誰にも負けないほど「歩くのが速いこと」が自慢でした。駅までの道のりで次から次へと人を抜かして、一度も抜かされたことはありません。
そんなあるとき、不動産賃借業や老人ホーム経営をしている資産家ヨシキさん(40代男性)と、名古屋で食事をする機会がありました。
恰幅がよく、中肉中背。なぜかくるんと上向きのまつ毛。ダブルスーツに、幅広の金の指輪、少しはだけた胸元に、お決まりの裸足に革靴スタイル。豪快に笑います。
「あらら、ザ・不動産業って雰囲気だわ」と、心のなかで思っていました。
予約した料亭に向かう途中一緒に歩いていると、幹線道路の大きな横断歩道の信号が点滅し始めました。周りにいた人達も私も、急いで渡りました。一度赤になると、かなりの時間は待つことになるからです。
振り返ってビックリ。ヨシキさんは、はじめから渡るのを諦めていたのです。さらに驚いたのは一度で渡れないことです。
そこは横断歩道が2つつながっている幹線道路で、うっかりすると離れ小島のようなところでもう一度待つことになります。
「歩くのがすごく遅いですね。それでよく仕事ができますよね」
と私が少し揶揄を込めて言うと、急に真顔で口をとがらせて、こう返されました。
「そうなんだよ。自衛隊に入ったんだけど、そのせいか、クビになってね」
「自衛隊!?」
吹き出しそうになった私にヨシキさんは、
「その後も、どの仕事もすぐクビになってさ。3カ月以上続いたことは......果たしてあったかな」
と言うではありませんか。心のなかでこっそり、それはそうかもしれない、と思いました。彼は肉厚で福々しい顔を、七福神のようにほころばせて、「でもね!」と話を続けました。
ヨシキさんは、信号を待つ間に話してくれました。
「昔から、計算だけは速くてね。投資を始めたら、どうやら向いていたようで。(※ここだけ声を小さくして)おかげさまで資産がどんどん増えて、右肩上がりなんだよ。何にもしなくてもお金が入ってくるって、暇だね。あはは」
意外なところからくらったパンチで、ショックでした。真面目に一生懸命に働いて、お金をたくさん稼ごうとしている私がバカみたいに見えて、ぐったりとしてしまったのです。
一週間後に、同じ場所で待ち合わせをすると、ヨシキさんはポロシャツにデニムのカジュアルなファッションで軽快に現れました。彼は息を切らしながら、さらに驚くことを言うのです。
「この前、横断歩道を渡っているときに見つけた不動産があってね。今日は10分前に着いたから、ちょうど見ることができて、すぐに買うことにしたんだよ」
私は絶句しました。
「横断歩道を渡っているとき? あのときか......」
大切なのは歩く速さではないのです。本当のお金持ちは日頃の行動はゆっくりで、仕事も一見できなそうな人がいます。
けれど、それはかりそめの姿。未来のための種まきは、いつなんどきも、決して怠っていないのです。
更新:11月22日 00:05