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「結論は最初」が逆効果になることも? 編集者が使う“読まれる文章術”

2022年10月05日 公開
2023年02月08日 更新

竹村俊助(株式会社WORDS代表取締役/編集者)

竹村俊助

重要な文章を作成するときは、一人で黙々と書く、という人が大半だろう。しかし、多くのベストセラーを世に送り出した編集者の竹村俊助氏によると、「伝わる文章」「読まれる文章」を書くためには、むしろ積極的に他人の協力を仰ぎ、客観的な視点や「会話」の要素を取り入れることが重要なのだという。(取材・構成:前田はるみ)

※本稿は、『THE21』2022年11月号特集「生産性2倍の『文章術』」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「書く目的」を明確にすることの絶大な効果

文章がわかりにくく、伝わらない。その原因は「書く」こと自体が目的になってしまっていることにあるかもしれません。

「書く」というと、一人でじっくり、というイメージがありますが、文章はコミュニケーションツールの1つです。ということは、そこには「書く目的」があるはず。

上司に何かを伝えるために書くのか、不特定多数の人に読んでもらうために書くのか、あるいは、読んだ人の心を動かすために書くのか、といったことです。

こうした「書く目的」を明確にしたうえで「じゃあ、どうコミュニケーションすればいいのか」と考えてみると、「書く」から「伝える」に意識が切り替わります。

小さなことのようですが、「伝わる文章」に近づくためには、かなり意義のある一歩です。これがないと、読み手を想定できていない、ぼんやりした文章になってしまいます。

 

書く前に話してみると情報の過不足に気づける

では、書く目的を意識したあと、どうやって文章を書けばいいのか。「文章が苦手」という人にお勧めのやり方は、ペンを持つ前に、誰かに口頭で説明してみることです。

例えば、上司に提出する報告書を書く前に、同僚にその内容を説明してみます。わかりにくければ、「え、どういうこと?」「もう少し詳しく」などの反応が返ってくるでしょう。あるいは、ここは重点的にと思って丁寧に話したら、「それはもうわかってるよ」と打ち切られることもあり得ます。

つまり、自分では気づけなかった情報の過不足に、相手を通じて気づけるのです。そうした情報を携えてから文章に取りかかるほうが、論理的でわかりやすい文章になるのは自明と言えます。

あるいは、書いた文章を同僚や友人などに読んでもらい、伝わり度合いを確認するのも手です。「このつながりが不明瞭」「これどういうこと?」など、しっかり指摘してもらえる人に頼みましょう。

そこで、「こういう前提があって...」とあらためて説明してわかってもらえたら、その説明をそのまま文章に入れればいいだけです。

何も、自力で文章にするだけが文章術ではありません。書けないことにお悩みの方は、ぜひ他の人の視点をフル活用して、文章をブラッシュアップしてもらえたらと思います。

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