2021年12月23日 公開
読み方も大事ですが、本の選び方も大事なポイントです。YouTubeで発信していると、「本の選び方がわからない」という質問をよく受けます。「ネットで買って失敗した」という話も多いです。自分に合わない本を選んでも、内容が身につかないのは当然のことでしょう。
本選びでは、選ぶ基準を持っていることが大切です。基準は大きく分けて3つ。まず自分の読解力で理解できる内容かどうか。背伸びして読んでも、難しくて頭に入らないのでは、あまり意味があるとは言えません。
2つ目は信頼性があるか。アマゾンのレビューで評価が高く、さらに出版社も力を入れて売り出しているようなら、信頼度が高いと見ていいでしょう。
3つ目は、年月を経ても価値が落ちないかどうか。何度も重版されていたり、ロングセラーになっている本は、経年的に価値が下がりにくいと言えます。
そして、こうしたことを総合的にチェックするためにも、実際に書店に足を運ぶのがいいでしょう。私自身、外出先で書店を見つけたら極力立ち寄るようにしています。
書店に行けば、平積みにされている本やベストセラーの棚から、今の人々が求めているものがわかります。つまり世の中の動きをつかめるのです。
また、思わぬ本に出会うのも書店の良さですね。ふとページを開いた瞬間、心揺さぶる一文に出会うこともあります。これはネット書店でAIが勧めてくる類書ではあり得ません。
それと私の場合、他にも文字の大きさや本の厚さもチェックします。隙間時間に読むことが多いので、何分くらいで読み切れるか判断したいからです。
なお、本選びでは古典的名著を必ずチェックしましょう。古典にハズレはほぼありません。長く読み継がれるに足る、普遍的な知恵が凝縮されています。
内容もほとんどは何度も読み返すに値するものですし、年齢によって刺さる部分が違ってきます。一生付き合っていけるのが古典の良さだと思います。
ただし、古典には理解が難しい場合があるのも事実です。そこで古典を読むときは、最低3種類の副読本を同時に選ぶことをお勧めしています。すべてを買う必要はなく、図書館を上手に利用してもいいでしょう。
まず、内容が簡単にわかる易しいものを1冊。2冊目は原文と、その詳細な解説本。これは全部を読まなくていいので、いわば辞書的に使えるものです。
そして3冊目に、時代背景がわかるもの。例えばエピクロスの『教説と手紙』を読むのであれば、当時の時代背景が分かる歴史書や、ヘレニズム哲学を俯瞰できる参考書があると便利です。このように3方向から補えば、難しい古典の理解も進みます。
皆さんの中には、読書が苦手という方もいるかもしれません。しかし、本は全部読まなくて構わないし、内容を全部覚える必要もないものです。私も少し読んで違うと思ったものは、そのままメルカリに出してしまったりもします。
とにかく、もっと気軽に本を手に取り、食事のような感覚で読書習慣を身に付けることが大切です。本を読んだ日時や簡単な感想を記録する「読書ログ」をつけるのも一案です。そうすれば、それを内容の整理や、編集に向けた足がかりとすることも可能です。
何よりそうした記録は「こんなにたくさん読んだ」という成功体験の蓄積にもなります。一冊の本を読むのは、小さな成功体験にすぎないかもしれません。でもそれが積み重なることで、成功への道筋が出来上がり、自信へとつながっていくのです。
【プロフィール】
アバタロー/Abataro(書評YouTuber・Book Community Liber管理人)
早稲田大学文学部卒業。趣味である読書の延長として、書評YouTubeチャンネルを始めたところ2020年1月に大ブレイク。「読書が苦手な人でも、古今東西の難解な名著がラジオ感覚で楽しめるチャンネル」として、ネット上で話題となり、本格稼働からわずか1年で登録者数は20万人を突破。また、21年8月よりオンライン読書会(Book Community Liber )を立ち上げ、管理人を務めている。著書に、『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』(クロスメディア・パブリッシング)がある。
更新:11月22日 00:05