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物語コーポレーション「コロナ禍の影響が少なかった理由の本質は『郊外』『焼肉』という業態特性だけではない」

2021年05月07日 公開

【経営トップに聞く 第47回】加藤央之(物語コーポレーション社長)

自分で意思決定をしないと「自分の物語」は紡げない

――加藤社長が、自分を表現することの重要さに気づいたきっかけはあるのでしょうか?

【加藤】学生のとき、「大きな会社がいいな」とか「格好いい会社がいいな」くらいの感覚で就活を始めました。

ある企業で面接官に「加藤さんがなりたい自分は、どんな自分ですか?」と聞かれ、そのときは即答することができませんでした。それがきっかけで、自分はどんな人間になりたいのかを深く考えるようになりました。

ひと言で言えば「格好いい自分」になりたいと思ったのですが、では「格好いい」とは何だろうと考えたときに、「笑顔で元気に、自分らしく生きられている人だな」と思いました。それを端的に表しているのが、物語コーポレーションの「Smile & Sexy」という経営理念でした。

そういう生き方をしたいという想いで入社したので、どの部署でも「自分はこう思う」ということをひたすら言い続けてきました。

私は一時期、新卒採用を担当していたことがありますが、そのときも、前任者から引き継いだ面接での質問事項に対して、なぜその質問をするのかを1つひとつ自分で考え直しました。

最近、「幹部候補生」と話す機会があって、「成果を出すポイントは何ですか?」「仕事を楽しむポイントは何ですか?」と聞かれたのですが、「自分が思ったことを言ったりやったりするだけだよ」と答えました。

どの部署でも、成果を出せる人は、仕事に自分で価値をつける人だと思います。自分で考えて表現すれば、それが価値になって成果が出る。自分が考えたことで成果が上がると一層仕事が楽しくなっていきます。

自分で意思決定をしないと「自分の物語」は紡げません。「自分だったらどうするか」を常に考えて、自分の人生を切り拓いていくことが、楽しく生きるコツだし、リーダーになるためのポイントだと思います。

――自分が考えたことが成果を上げないこと、失敗することもあると思います。

【加藤】それもマイナスに捉えることはありません。モチベーションが上がらないのは、やることが具体的になっていないからです。失敗しても、なぜ失敗したのかを分析して、次の行動を決めれば、モチベーションが上がります。

すると、その失敗はムダではなかったと思えます。前向きな思考が前向きな行動になるのではなく、前向きな行動が前向きな思考を作るのです。

「挫折した経験はありますか?」と聞かれることがあるのですが、1~2日は落ち込むことがあっても、長期的にモチベーションが上がらなくなったことはありません。モヤモヤするのは、やることを決めるまでですね。

――最後に、コロナ禍前から外食産業の問題になっていた、国内市場の縮小や人手不足の問題に対してどう対応するか、教えてください。

【加藤】国内マーケットの縮小は間違いないと思います。そこで生き残るには、先ほど申し上げたように、地域一番店になるしかありません。

人手不足については、革新性や創造性、成長性を失わなければ、入ってきてくれる人はいると思っています。以前から当社の社員は焼肉店やラーメン店に就職しようと思って入社してきたわけではなくて、革新性や創造性、成長性に魅力を感じて入社していますから。

とはいえ、海外での成長の機会も模索したいと考えています。そのために、〔株〕アドバンテッジアドバイザーズと提携して海外戦略を進めている最中です。

コロナ禍になって、「飲食業の力はやっぱりすごいな」と改めて思うようになりました。時短営業で飲食店が営業していないだけで、これだけ街から人が消えて、一気に暗くなるということを実感しましたから。飲食店が皆の活力になっていることを強く感じました。

これからも皆さんの活力になる店を作っていくことが、我々の仕事の本質だと考えています。

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