2021年01月15日 公開
2023年03月31日 更新
同じように真摯に語られるアドバイスなのに、言っていることは正反対。仮に両方に相談したとしたら、混乱する人もいるかもしれませんね。
では、なぜこうも正反対のアドバイスが返ってくるのか。答えは簡単です。
「独立はやめておけ」と言う上司や先輩には独立した経験がありません。彼らが語るのは、企業で雇われて働き続ける人の論理なのです。人が誰かのキャリアに関して相談に乗るときは、自分が知っている範囲、信じている範囲のことでしかアドバイスはできません。
そもそも人は自分の生きてきた人生を肯定したいものです。また変化を拒む傾向もあります。相手のことを思って真摯に答えようとすればなおさらです。
しかし、あなたが何かのアドバイスを必要としているとき、その件に関して何の知見も経験もない人に話を聞くことは正しいでしょうか。
例えば、上手に魚を釣るにはどうすればいいかを知りたいときには、少なくとも釣りの経験がある人に話を聞くはずです。子どもの教育で頭を悩ませているなら、子どもを育てた経験がある人に話を聞くでしょう。
そう、独立した経験のない社内の上司・先輩・同期に、そもそも独立について相談をすることがお門違いなのです(不義理のないように報告はすべきでしょうが)。
一方、企業を飛び出して独立した経験がある人は、企業で働くことのメリット・デメリット、独立して働くことのメリット・デメリットの両方を知っています。
企業からの独立について相談するのであれば、このような経験者にこそ話を聞くべきでしょう。
一方で、家族の存在や反対意見が理由で、独立に踏み切れない人もきっと多いはずです。
「これから子どもを大学に進学させないといけない。今、会社を辞めるわけにはいかない」
「妻に相談したらきっと猛反対されるだろう。独立なんて無理だ」
という声もよく耳にします。
実際、ミドルの年齢だとまだまだ子どもの教育にもお金がかかります。1971 年には1万2000円だった国立大学の授業料は、2017年には53万5800円と44.6倍にも高騰していますし、晩婚・晩産の人も増えています。
自分のわがままで子どもに犠牲を強いることはできない、と考えてしまうのも無理のないことかもしれません。妻の反対意見も、もちろんないがしろにすることはできません。
しかし、企業に居続けること自体がもはやノーリスクではないのです。家族のために独立を踏みとどまり、会社にしがみついたとしても、結局は早期退職勧奨を受け、プライドがボロボロになって辞めざるを得なくなるかもしれませんし、会社がいつまでも存続する保証もありません。
企業で働き続けることのリスクが年々増大していることを認識できれば、「家族のために会社を辞めるわけにはいかない」という理由がもはや成立しなくなっていることがわかるはずです。
家族のことを思うなら、むしろ新たなリスクヘッジ策を考えないといけないとも言えるのです。それが独立という選択肢であってもいいはずです。
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更新:11月22日 00:05