2020年11月12日 公開
2023年02月21日 更新
「あの人の部下になって、大変な目に遭った」「あの人の部下にだけはなりたくない」。誰しも、そんなことを思ったことがあるのではないだろうか。
しかし、当の本人はそう思われているとは気づいていないもの。もしかすると、あなた自身も思われているかも……!? メンタルヘルスの専門家・見波利幸氏に、部下を潰す上司のタイプを教えていただいた。(取材・構成:前田はるみ)
※本稿は『THE 21』2020年11月号より内容を一部抜粋・編集したものです。
私は、産業カウンセラーとして、メンタル不調の方々のカウンセリングや職場復帰支援を行なってきました。その活動を通して感じることは、メンタル不調者や離職者が続出する職場には、問題のある上司がいる確率が高い、ということです。
部下のメンタル不調の原因となる上司には、二つのタイプがあります。
一つは、マネジメントスキルが不足している上司です。この場合は、本人が経験を積み、会社がバックアップすることで、解決することができます。
厄介なのは、もう一つのタイプである、本人のパーソナリティに問題のある上司です。パーソナリティは、生まれ持った性格傾向に加え、成育歴や育った環境などを背景に構築されていくものなので、そう簡単に変えられるものではありません。
「パワハラ上司」と呼ばれる人の大半がパーソナリティに根差した問題を抱えていますが、本人は無自覚だったり、罪悪感が欠如したりしているために、部下のメンタルヘルスに深刻な影響を与えているのです。
パーソナリティに問題のある上司には、いくつかの共通する特徴があると感じています。
まず、たいてい、自己本位、自己中心的であり、職場の環境や部下の様子に無関心です。他者の気持ちに思いを馳せない人も多くいます。
また、一般的な上司であれば、チームの目標達成はメンバーと共に喜び、部下の労をねぎらうものですが、問題のある上司は、部下をねぎらうどころか、部下の成果を自分の手柄にしてしまうことも少なくありません。
その他、身だしなみやデスク周りの乱れなど、コミュニケーション以外の部分でも特徴が見られることもあります。
問題のある上司をさらに詳しく見ていくと、次の四つのタイプに大別することができます。
(1)部下の感情を汲み取れない「機械型」
(2)相手を「敵」と認識すると感情的に攻撃する「激情型」
(3)「自分の優秀さ」をアピールし続ける「自己愛型」
(4)部下を自分の出世の道具としか見ていない「謀略型」
どれか一つのタイプが独立して発現するというよりは、実際には複合型が多く存在しているという印象です。また、それぞれのタイプについて、どこからが問題で、どこまでは問題ないといった境界は存在しません。
問題のある上司は、この先もずっと問題を抱えたままかというと、そうではありません。パーソナリティが過去の育成歴や環境によって形成されてきたように、これからどんな人生を歩むかによって、その人が変わる可能性はあります。
例えば、自分の欲求がある程度満たされた環境にいれば、問題の傾向は弱まるかもしれません。反対に、置かれた環境が自分の欲求に反していれば、悪化しやすいでしょう。
また、本人が自分の問題に気づける可能性も十分にあります。今はパワハラへの問題意識が強く、上司本人のキャリアにも大きなリスクとなります。この記事を読んだ読者の中に、「もしかしたら自分はこのタイプかもしれない」と気づいた人がいるなら、ぜひ自分を見つめ直し、変わるきっかけにしていただきたいと思います。
《各タイプとも、チェックリストに3つ以上チェックがついた人は要注意!》
更新:11月24日 00:05